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将希の異世界日誌  作者: 雄太
リベリシュ編
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伝書魔法と勇者と団長

 

 サンディは早足で自室に戻ると、窓が1人でに開き、白い封筒のようなもが飛び込んでくる。伝書魔法である。


 その精度は術者によっては建物の上下を判別できるほどの高精度の魔法である。これの利点と言えば本人以外には受け取れないよう結界が張ってある。その結界を被る魔法は未だ開発されていない。


 その少し厚い手紙をスパッと受け取ると封蝋をすぐさま確認する。


 その封蝋は王都から送られてきたものを意味する金色であり、模様は女王専用のものである。


「陛下からの手紙ですか」


 すぐさまその手紙を開封し中身を確認する。


 その内容とは。


 サンディへ


 来週、勇者が凱旋すると連絡がありました、で話はわかると思うけど、その護衛に貴女達にも協力の要請をここに致します。

 詳細は王都で話します。


 いつも通り要請を受けるかどうかはサンディに一任する。


(要請なのに詳細は王都、いつも通りですね)


 それが何を意味するのか知りたくない。


 読み終わる前に裏に隠れていたもう一枚の手紙が床にひらひらと落ちる。


 それを拾い上げると、


 追伸


 最近、連絡が来ないけどまさか出来ちゃたの?


「チッ」


 サンディはすぐさま手紙を被ろうと上下に力を込めるが、裂けない。全力を込め続けるが破ける様子はない。


 サンディは被ることを諦め1枚目の手紙に戻る。


「質が悪い。」


 握りつぶすとそれはクシャクシャになるが手を離すとすぐ折り目がひとつも無くなる。


 〜〜


 パルクでの盗賊討伐の報告がパルク領主ニハムスから届きました。いつも通り騎士団には臨時支給金の支給をします。額は契約書通りで変わりありません。


 金額交渉なら王都で。


 それとギムレットからの新人団員の勧誘、そして入団予定との連絡が伝書魔法で届きました。サンディが入団を認めたのならば連絡をしてね、私にもやることがあるから。


 連絡なしなんて可哀想な女王よね、私


 サンディは最後の一言など無視して1番重要な事を抜き出す。


「勇者の凱旋ですか、また私たちも駆り出されることになりますか・・・拒否しますか・・・拒否しても面倒なことになりそうだし諦めるしかないか」


(ここから王都までタイムラグが出るはずだからこれを陛下が出したのは昨日か一昨日、ラグがあるから・・・明日にはここを出るべきね。そうしないと間に合わないかも)


 伝書魔法の最大の欠点がこれである、輸送距離にもよるが1日から2日どうしてもタイムラグが出てしまう。


 この世界の常識に当て嵌めれば王都からリベリシュまでは馬車で1週間程度掛かる距離なので、これはもの凄く早い方だが。ちなみに一般所有のカイブロスでも3日程度かかる、このスピードに慣れてしまった王国上層部にとってはこれでも遅いと感じるのである。便利とは不便である、言い得て妙だ。遅すぎるのは嫌だが。


 ●


 その後すぐに全騎士団員に集合が掛かり臨時宿泊所の大広間に集められた。その中には将希や先日スカウトしたナナサがいた他の2人は未だ荷物の準備中との事で今回は欠席。


 少し薄暗い大広間、1番前にはお立ち台のように少し高くなった所がある。そしてギムレットがそこの上でさっきから有難いお話をしている。騎士団員達の目は真面目だが1人いや2人眠そうな顔がある。


「ふぁ〜、ふぁ」


 将希は先ほどからこの眠りやすい温度といい感じの暗さ、ギムレットの子守唄のおかげで欠伸しか、かいていない。それにタチの悪いことに将希は大広間の1番後ろに陣取った。それもあり騎士団員にもギムレットにも見つかることはないが、とうとう、将希の居眠りにも終焉の時が来てしまった。ゆっくりと大広間のドアを開けてサンディが入ってくる。


 うとうとと、している将希と目が合うと、すぐに目を逸らす、


「あれ?サンディさん、何で俺まで呼ばれたんですか?俺、騎士団員じゃないのに」


 そもそも何で陛下専属の料理人やってるかも謎だけど。俺何で本当にここに居るんだろ・・・。将希は現実逃避して目の前の災厄から逃れようとする。何でだろうな?


「居眠りとは良い度胸ですね。お二人とも」


 サンディの全く温度の感じない微笑み、将希は完全に言葉に詰まる。そしてもう1人ナナサは反論にもならない悪足掻きをするが結果など変わるはずもない。


「私はその少し、少し考え事をしてました。」


「何を?」


 絶対に逃がさないとその目が言っている、その耳には声でも聞こえてくる。


(絶対に逃がさないわよ、)


 ついでにエコーがかかる。


「別に怒っているわけじゃないわよ後ろの1人を除いて」


「ヒェ・・・」


 体中に鵞皮が立つ。全身の神経から最大限の危険信号がものすごいスピードで伝わる。


「まぁ、眠いのは仕方ないわよ、この薄暗い中じゃ眠くなるでしょうね、そうでしょう将希殿、ナナサ」


「・・・お、おっしゃる通りかと」

「そうですね」


 2人ともどうにか言葉を紡ごうとするが出てきたのは単なる普通の言葉であった。


「でさ・・・」


 サンディはチラホラいや、かなりの数が立ちながら寝ている騎士団員の方を見て一息吸う。


「ちょっと寝てる奴ら多過ぎないか。少し見てないうちに、何故、こうなったら。誰か説明しろ。」


 その声と共に集まった騎士団員のうち寝ている奴らは一斉に飛び起きる。その数約半数近く。


「団長、お戻りですか、もっと早く戻ってきてくださいよ、時間稼ぎも大変ですよ」


 マイクを通じてギムレットの声が会場内に響く。


「ギムレット、私は少し遅れると言ったが時間稼ぎをしろなどと言っていない。そもそも副団長が部下の居眠りを放置してどうする。」


 サンディは相当この前の用事でイラついているのかそのイライラを全面に押し出す。



「それを放置したのは団長かと」


 そのギムレットのところまでは聞こえないが深〜いため息をつく、


「はぁ〜はぁ、はぁ、さて、言い訳を聞こうではないか・・・〆た後に、言い訳のある者は挙手しろ、話は聞いてやるぞ話はだが覚えとけ結果は決まってる。」


 手を挙げる者は1人たりともいない。


「ギムレットはどうだ?なんか文句がありそうだったがあるなら言ってみろ、聞くだけ聞いてやる」


 その声はギムレットのところまで届いているが聞こえないのか耳に手を当てる。


 古典的だな〜。異世界でこんな古典的なの見るとは思わなかった。そもそもここって異世界なのか?いっそのこと中世ヨーロッパの方がまだ現実味、現実味・・・ないな。

 剣と魔法the異世界。結局異世界みたいなもんかここって、だけど中世ヨーロッパにマキシア王国なんて聞いたことないな。ミタンニ王国ならどこかで見た記憶がある。それエジプトか。どっちも違う。


「では将希殿何か質問は?」


 誰も手を挙げないのを見て比較的狙いやすい将希にサンディの視線が向く。


「それは〆られる前提の話ですか?それとも単なる質問です?」


 サンディ「うーん」と少し考える。


「どちらかと言えば前者です。しかし内容によっては後者にもなりえます。」


「それ答えになってないじゃん」

「それも質問ですか?」


 間髪入れずにすぐ返答が来る。


「いいえ、何でもないですよ」


「なら次、文句ある奴いるか!いるなら早くしろ、次が詰まってる。」


 サンディの檄で無音になった会場には誰かのくしゃみの音が響き渡る。


「居なそうだな、」


 サンディはそう言い。周囲を見渡すと群衆となった騎士団のど真ん中を割って歩く。サンディが進むと騎士団員達は練習したかのように左右に分かれサンディ専用の道が出来る。そこを堂々とヒールとカッカッという音を立てながら突き進む。


「だ、団長・・・」


 その圧倒的強者の貫禄にギムレットは無意識に一歩後ろに後退する。


「マイク貸せ、ギムレット」


 お立ち台に着くとギムレットからマイクを奪い取る。もちろんクリアに音声がマイクに乗っていた。


「誰でも良いから早く電気をつけろ!」


 サンディは3人の騎士を睨むとその3人と一部の騎士が急いで転びながら電気のスイッチ強奪戦を繰り広げる。


 そしてすぐに会場内が明るくなると。先ほどは薄暗く不鮮明だったサンディの表情が鮮明に見える。ものすごく怒っている。


「さてお前ら、居眠りしてた件は後だ」


 団長がそう言うと安堵のため息が漏れる。

 その数の多さにまたも団長の表情が濁る。


「そうだ今ここにいる奴ら全員後で罰を与える、」


 そして団長は悪魔の決断を促す。


「居眠りしていない者は前に出て来い、」


 何人かの足音がチラホラとズレるように聞こえてくる。


「私は誰が寝ていたか知らないからな〜もし嘘でもついて前に出てきたらわからないな〜」


 マイクのスイッチが入っているのを知りながら団長はボソッと呟く。その呟きを聞いてから何個かの足音が止まる。それを見て団長はニヤッと笑う。


「今止まった奴らは自覚あり・・・ブラットリー、カール、ダミアンあと、もう1人見えたような気がするな〜」


 団長の目には4人目はしっかりと捉えらえている。しかし、そのスキンヘッドは自分じゃない感を出しゆっくりと影に入るように後ろに下がる。


「まぁ、良い」


 団長が居眠りしてる奴はを睨み見つけている間にも居眠りしてないと言い切れる者は前に集まってくる。その多くは部隊長と副隊長クラスであった。


「よし、これで全員だな、起きていたのは部隊長クラスだけか、まぁいい、お前ら連帯責任だ自分の部下の1匹や2匹、叩き起こせ、潰しても問題なかろう。」


「私はこんなことに割いてる時間はないのだかな。後で部隊長全員私の執務室に来い、眠ってた奴の処分を言い渡す。戻って良し」


 前に出てきた部隊長達は元いた場所に戻っていく。


「さて、つまらんことは終わりだ、こっからが本題だ、今朝、陛下より緊急の連絡が来た。また、厄介ごとだ」


 ため息をつくとマイクにギリギリ音声が乗る。


「私は勇者なんか好きではないがな。」


 そんなぼやきが聞こえる。が誰もそのことを指摘しようとしない。


「緊急の連絡とは勇者が凱旋するそうだ。皆もわかっている通り、勇者とは魔王を倒すうんたらだ私は好きではないがな、あいつら自分の力に溺れてある意味魔王より厄介だ。まぁ、魔王を倒したのは先代勇者で今の勇者はそれの孫に当たるがな、だからいつも口癖は『俺の爺様は魔王を倒した。だからゴミ虫どもは跪け』だ私もやられた。その時はつい。お前じゃないだろって首元にこいつを突きつけてやったがな」


 団長は右の腰に付けた予備のレイピアの鞘を撫でる。


「漏らしてたな、フッ。今、思い出しても笑えるあいつにとっては消し去りたい記憶だろうな。」


「団長、心の声が漏れてます、過去に何があったか知ってますが、今は置いといて、お話を」 


 流石に公然と勇者批判をする団長をギムレットが止める。勇者を批判すること自体は法律には違反はしないが言っている人物が大問題である。


 町の年寄りの話ではほとんどの市民が先代勇者は凄かったとみな口を揃えて言う。礼節と礼儀の違いがわかっており、『無礼だ!』とお決まりのギャグを叫ぶ小うるさい貴族共から市民の助けたり、勇者として魔王を倒す前も後も性格は変わらず、勇者という権力に溺れることなく目の前の助けられる命を助けることに尽力していた。しかしその裏では助けられない命も多くあったと伝えられている。そのことで本人は葛藤していたとも語る。


 しかしその一方先代勇者の孫は完全に権力に溺れてしまった。幼き頃から周りにはイエスマンと自分がやれと言ったら何でもしてくれる執事、メイドに囲まれその権力を自分の権力だと悲しい勘違いをしてしまった。呆れた勇者である。ここ最近は金で買った三下を部下に花街に入り浸っているとの噂もある。いつ殺されてもおかしくないが。腐っても勇者である。無駄に力がある。と言ってもサンディには負ける程度に。


「そうだな、でだ。先ほども言ったがその連絡とは勇者の護衛出そうだ。皆も知っての通り次の祝日は先代勇者の命日に当たる、だからその孫である勇者が先代勇者の墓参りをする、だからその護衛をしろとの事だ。私はやりたくないがな。詳細は王都に着いてからだ」


『私はあんな奴、死んでもらってもかまわんがな。誰も困らんだろ、権力に溺れた貴族共以上に嫌な物はない。』


 マイクがついてるのを知りながらわざと呟く。



相当団長は勇者を嫌ってるんですね、まぁ権力に溺れた奴ほど嫌な奴はいない。


人物紹介


リナ・ハリガー

年齢17歳

薄い赤い髪のショートボブ。体格は将希が好きそうな出るところ出て引くとから引くと言ったところである。そこまで大きくはないがそれは他にあることを主張する。

誠に残念なことに将希の部下として陛下専属料理人となる。


なぜリナが騎士団の料理人になろうとしたのかははっきりとしない。団長も無理に聞く気はないのかそれ以上は掘らない。元から陛下直轄騎士団には有能だが訳ありの人材がサンディのコネでよく入ってくることもあり、団長も扱いに慣れているようだ。

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