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将希の異世界日誌  作者: 雄太
リベリシュ編
46/139

45話 薔薇園にて

 

 薔薇園にポツリと置かれるティーセット。

 サンディに招待されてやってきた将希。

 最初は普通にコーヒーの香りと薔薇の香りを楽しんでいたが風向きが変わる。


「将希殿、先日言った言葉覚えていますか?」


 唐突にサンディはそう聞いてくる。


「へ?・・・・あ!そう、あれだ、あれ、うんわかってる・・・」


 啄木鳥のように超高速で頷くき口から出鱈目を言っているが、今、将希ら過去最速でその小さな脳みそをフル回転で回しているが全く関係ないことばかり浮かぶ。


(グランドさんの事?俺が弱いって事?いや違う。それともサンディに稽古つけられ時の事か?いや。あれは違う絶対にあり得ない。わからんどこの話だ?色々ありすぎてわからん。やばいやばいどうしようやばいやばい。え?どれだ。)


 必死に思考している将希の脳内に一筋の光が見える。


『将希殿、戦いは何だと思います?』


 薄暗い廊下をゆっくりと時間をかけて外に向かう途中サンディは脈路もなしに聞いてくる。


『ん?ん〜人殺し』


 将希は一瞬、何の話が飲み込めないみみたいだが、『戦い』と言う言葉から『人殺しを結びつける。』


『その通りです』

『まぁ、違うよ、ね?えっ?』

『その通りと言いました』


「・・・戦いとは何かって話か」

「はいその通りです、」


 サンディは静かに頷く。そして将希の目を見る。


「それがどうしたの?」

「戦争とは人殺しです」


 うん、まぁ。そうだね。そこに異論はないけど。


「ではなぜ人は戦争を起こすのでしょうか?」


 なぜ人は戦争を起こすか?、


「そりゃまぁ、資源とか、川も争いの種になるな、あとは過去の憎しみ。でもそれが何だ?」


「では人は1人で生きていけますか?」


「その生きるって言うことにもよるな。今の生活をしたいなら無理なんだろうな。でもまぁ、無理だな人は1人じゃ生きていけない。」


 繁殖と言う意味であれば最低男女1人ずつは居ないとそれでもいつか近親になる。

 別にそんなことを気にしないなら問題ないけどな。


「では人は1人では生きていけないなのになぜ、群れると敵対するのでしょう。」


「力があるって勘違いするからか?」

「少し違います。」


「人が群れると争い出す理由は簡単です、他人よりも上に居たいから、他人を見下したいからです。人は1人では生きていけません。だから人は人と共存する、だからこそ人は人と敵対する。皮肉なものです。人は1人では生きていけないのに群れると敵対し争いをすぐに始める。この4000年と言う長い間ずっとそうでした。この国も私にとっては赤子同然です。まだこの国ができて数百年も経っていない。その中でも何回も争いは起きている、ここ最近は落ち着いていますが、しかし私が生きていた4000年と言う間争いがなかった事はありません。たとえ1秒たりとも全世界で争いが無くなった事はありません今この時も人は争う。


 しかしそれは人間特有の話ではなくエルフもドワーフも亜人も魔物も皆同じです。我々エルフも対人間強硬派である簡単に言えば人間など滅ぼせという強硬派と人間には無干渉を貫く中道派、そして過去は変えられないだからこの先を変えると言う新世代に分かれていました。私は新世代に近い思想ですが、日々争いは絶えませんでした、住む場所を分けるだけならばまだ楽な方です、しかし次第に家族内でも派閥は分かれ親と子が殺し合ったことなど何回もありそんな事が続き今ではエルフも減っています。寿命が長いため生殖についていつかやれば良いと考えている私たちエルフはその数をかなり減らしています。今エルフの里に残るエルフは1万を切ると言われています。これも500年前の話ですが、我々にとってはおとといの話ですが」


 エルフも人間も変わらないのかもしれません。サンディはそう言う。


「ドワーフなどもそうです、ドワーフは元から工芸品作りが好きで人間に比較的近い種族でした、やはりそれを悪用する奴らは出てきます。


 誘拐同然にドワーフ達を連れ去り、密室で永遠に刀鍛冶として刀を作らせて、作らせて、作らせて、作らせて、本来ドワーフは武器を作る種族ではありません。必要最小限、または生活の為に作る事はありますが本筋は工芸品作りを主とする種族でしたが、やはり仲間内でそう言った人に対する悪評は広がりいつしかドワーフと言う種族は歴史の表舞台から姿を消しました。今もどこか人が絶対に立ち入れないように魔法を使い見つからないよう生活をしていると噂はありますがこの1000年姿は見ていません。」


「約1500年前、人間と言う種族は亜人達に対しても迫害を行なっていました。今では条約により禁止されましたが地方ではいまだに差別が残っているところもありますが。そのせいで一部の亜人達は独自の国を作り人間の出入りを完全に禁止しているところもあります。もちろんその国に人間が入れば即死です。


 その昔クマリアのような亜人達は綺麗と評判になり、亜人達もそれを使い人間相手に金儲けをしてました。そんな亜人達にも人間の魔の手は襲いかかりました。その主犯はやはり貴族共です今までは亜人達も人間達も限界線を守りそれ以上は手を出さない、聞かないそれがマナーでした。それで両者の安全を保っていましたが、しかし貴族共は金を積み、強引に亜人達を連れ去りました、もし拒否すれば生かしておく理由がなくその場で家族諸共殺す、そうやって無理やり対象となった亜人を連れ去る、そう言ったことが横行しており、その貴族共は亜人により殲滅されましたが亜人達の対象は貴族共だけではなく。


 今まで普通に接していた人間にも向くようになり、その町の住人であった人間と言う種族を滅ぼしました。一部、この地に乗った人間もいます。その人達は一応、居住権があると過去に決められました。


 そこに新たに国を興しましたそれが亜人の国アグラスです国の北部から南部まで弧を描くように標高5000mクラスの山々が行く手を阻み西部は海に面している完全な要塞です、その山々も当時はそこになく、亜人達が魔法で作ったと歴史には残ってますね。


 まぁ事実ですけど。そもそも私も手伝いましたし、当時人間に対して敵対していたエルフ、ドワーフは亜人達と協力し山を作りました。我々エルフは対人間結界を開発し人間の侵入を監視するようになりました、そのほかにも山を作るための資材を魔法で製作していました。ドワーフ達は工芸の力で土木作業に従事していました、工芸というのは幅広く土木作業も工芸としてドワーフ達は得意としてました。」


「ここだけの話エルフの国と亜人の国アグラスそして表に出てくる事はないですがドワーフも同盟を結んでいます。そして、一応人間の国の使者も2人ずつ対等な関係として派遣されています。まぁ、反感は今も強いですが、時々首無し胴体が送りつけられることもありますが、」


「1人話が長くなりましたね、この辺にしときますか、」


 白く細い作り物みたいな指がカップを持つ、「冷めてしまいましたね、」空を染める夕陽のような赤い水面を見ながらそう呟く。


「結局、何の話だっだんですか?」


「何の話でしょう」


 フッと微笑む。


「お茶会を続けましょう」

「俺はそんなキャラじゃないですよ。」

「ええ。似合いません。」


 何だよなら呼ぶな、そんな良い笑顔でそんな事言うなっーの。


「帰って良い?」


 サンディの答えも聞かずに立ち上がるがすぐ止まる。


「くまちゃん、パルクの料理人辞めたみたいよ。」


「は?何だってくまちゃんが?」


 帰ろうとした将希だがサンディの一言によりその場に釘付けられる。


「どう言うことだよ辞めたって」


「昨日私のところに手紙が来たの内容はこうよ『将希様のおかげでこの世界にはもっとたくさんいろんな料理があることを知ったの、だからもっと見てみたいのだから少しの間王城から離れることにした』って、」


「それ見せて」

「それは無理です」

「何でだよ」

「手紙の最後にはこう書かれていました『将希様には言わないでください』とだけ書いてあったわ、私は言わないといけないと直感で感じでこうして伝えてるのだからそれ以上のことは出来ない。」


 その後、将希が適当にわざとらしい雑談を交えて聞こうとしたが、


「くまちゃんは今どこに?」


「うふふ、何のことですかね、少しわかりかねます、」とはぐらかしてもいないがはぐらかした。


「そう言えばサンディさんと女王様の関係ってどんなの?」


 如何にもさっきの話は水に流してお茶会を続ける。


「陛下との関係ですか、その昔私は前国王と面識がありそこで陛下のお顔を拝見したことがあり、簡単に言えば少し遊び相手になっていたのです、私が遊び相手になったのはその一度きりでしたが。陛下はそのことを忘れていなく、女王に即位した時に私を騎士団に登用してくださいました。」


「じゃあさ、くまちゃんとの関係は?いつなの?」


 このまま口を滑らせて喋ってもらえばラッキー程度にしか思ってないが、その見込みもなさそうだ。公私共にガードが固いサンディには聞かない。


「くまちゃんとはパルクの王城で出会いましたね、陛下の護衛役として、即位して10年程度経ったころ、陛下の視察に着いて行って、立ち寄ったがパルクでした。そので当時まだ10歳程度でしたかね、王城を走り回っていたくまちゃんが陛下にぶつかって、当時ね大臣達は殺せと騒いだのですが陛下は気にした様子はなく、その子を私に預けて少し外で散歩をしてその時からの付き合いですね、」


「くまちゃん今どこに」

「唐突ですね将希殿、それともせこいと言った方がよろしいでしょうか?」


 将希の胡散臭い策略などすでにお見通しみたいだ、またも完全に撃沈。


「そう言えばサンディさんって今、何歳?」


 サンディの額に怒りマーク浮かぶ幻が見える。その瞬間将希の全身に刺すような痛みを感じる。目では何も刺さっていないのに神経は感じてる。


「将希殿。死にたいですか?死に方、選ばせてあげましょう。どうですか?」


 絶対零度いや絶対殺意の声がまっすぐ刺すように飛ぶ。


「い、いやその結構です間に合ってます。」


 何が間に合っているのか謎だが、逃げようと必死だ。それだけは伝わる。


「何でも大丈夫ですよ、首を絞めることも真っ二つにすることも水を永遠に飲ませて爆発させる事も、睡眠薬を飲ませ、手の血管を切り、おねんねしたまま旅立つ事も可能です。それとも崖から落ちますか?証拠がなければ罪には問われません。何なら私が捜査をし、何も無かったことにすれば問題ありません。」


「そ、それはまずいよサンディさん騎士団長がそんなことしたら。」


「そんなことしたら?、将希殿、犯罪はバレなければ犯罪ではありません、ここに今居るのは私たちだけですし、そもそも人を殺してもその殺された人が見つからない限り裁けません。この国の法律はそうなっています。」


「それ騎士団長が言ったらいけないやつじゃないの?」


「秘密裏に処分すれば問題ありません」

「答えになってない!」

「そう言えば将希殿とくまちゃんの馴れ初めは?」

「話を変えるな!」

「うるさいですよ、騒ぐと花達が萎んでしまいます。」

「そりゃ悪かったねって違う!」


 お二人さんはお馴染みの掛け合いをしているとサンディは何か思い出したのか手をポンと叩く


「あっ、そのそろそろ次の仕事があるので失礼します、では」


 サンディは立ち上がり、しれっと帰っていく。


「あっ、待って!」


 振り返ることなく立ち去る。将希は力尽くように椅子に座り込む。


「もしかして、な、そんなわけないか。」


 背持たれに全体重をかけ、白い天井を見上げる。


「くまちゃん、会いたいよ」


 純白より少し汚れた天井に向かってもう2度と会う事のない相手に向かって、力無く呟く。


4000年 

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