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将希の異世界日誌  作者: 雄太
リベリシュ編
42/139

グランドの災難。

 

「副団長交代も視野に入れるべきかしら」


「団長ジョークは置いといて次は、ここリベリシュで昨日スカウトしたグランドです彼には騎士団の指南役を務めてもらいたいとおもいます。」


 グランドはフードを脱ぎその顔をあらわにすると先ほどからずっとサンディから放たれている冷たいオーラが冷たさを感じなくなるほどに冷たく鋭くなる。


 あ〜ぁ、だからサンディさんはさっきからずっと不機嫌なんだ〜なんであんなに嫌そうな顔をしてたのかやっとわかった。目深にフード被ってて気づかなかったけどサンディさん気配で気づいたのか?グランドさんだって。


「何故俺がお前らに教えないといけない?立場を弁えろ、若造」


 相当不満なのかイライラMAXみたいだ。

 導火線にすでに着火済み、今にも爆発しそうだ。だがその火を消すほどの怒鳴り声が、会場内に響く。


「無礼だぞ!」


 名前も知らない王都からのお目付役のthe貴族が声を上げる。


「サンディ殿、早く無礼者を追い出せ!こんな無礼なやつなど騎士団に入らない!ただでさえお飾り騎士団と呼ばれている騎士団の名誉に関わりますぞ!陛下に無礼を働く無礼者は四肢を落とし見せ物にすべきだ!」


 サンディは誰にも聞こえないように小さく呟く。


「はぁ、やれやれまたですか」


 しかしそれも貴族の怒鳴り声にかき消される。


 先ほどは怒り出す前にサンディが会議を止めたおかげで命拾いしたが今度は止める前に怒鳴り出す。


 the貴族は追い出したいのか追い出したく無いのか良くわからないが顔を真っ赤に染め叫ぶ。その貴族はテーブルを思っ切り叩き立ち上がる。


「サンディ殿!」


「わかったワジル連れてけ」


 サンディは意味深な視線をthe貴族に向け隣に座るワジルにそう言い、ワジルは立ち上がる。


「かしこまりました団長」

「そうだ連れてけそんな無礼者!貴族である俺に楯突いた罪で八つ裂きにして殺してやる!」


 the貴族は自分が騎士団を動かしていると思い込み調子に乗り勝手に同調する。


「あはは!無礼者め!陛下に逆らった罪で死ね?・・・」


 ワジルはグランドではなくthe貴族の首元をその太い腕で持ち上げる。


「何をする!無礼者!貴族に手を出したな!サンディ!こいつを殺せ!早くしろお前達は貴族の犬だ!命令が聞けないのか!おい!」


 全力でthe貴族は叫んで藻掻くが何十年も訓練を積んでいるワジルと産まれてから訓練など怠り、貴族としての責務を完全に放棄している貴族。どちらが勝つなど赤子でも分かる。通常であれば金積んでる貴族に傾くのかも知らないが、ここに居るのは陛下にのみ忠誠を誓う陛下直属騎士団。いつもなら虎の威を借る狐でみたいに『無礼だ!』と叫べば金を積まれた騎士団や衛兵はすぐ集まり、赤子だろうと貴族が『殺せ!』と一言叫べばすぐに首が飛ぶ。


 しかし今回は残念なことにその貴族はいつも通り「無礼だ!」と叫びその通り、無礼者として首を掴まれたまま足掻いているが、シャツで首が締まり抵抗力をなくし、ワジルに連行されていった。


 殺される事はないと思われるがこの後、王都に送られ、陛下の御前で釈明をする機会を与えられ、どんなに正当な理由だろうと騎士団に金を積んだ罪で貴族位を剥奪されることが確定している。ついでにその衛兵やら当該騎士団員も同じように解雇させられる。その記録は国家人事院に送られ誰でも閲覧可能な状態にされる。そして多くのものはその胡散臭い無駄に硬いプライドが邪魔し自分で働くなどせず野垂れ死に魔物の餌となるかどこかで自死し魔物の餌となかである。


 貴族共は騎士団に金を積み色々な悪事をもみ消しているがサンディ率いる陛下直属騎士団は絶対に金では動かない。もしかしたら一部金を積まれている奴らもいるかもしれないが、金だけ貰い。悪事はバラしている。そもそも何故か知らないがサンディは金の流れを知っている。


「では貴族も退場しましたし、会議を続けましょう、」


 サンディは貴族の退場が予定調和だと言う感じで話を何事もなかったように会議を続ける。


「グランドの指南役は無し、本人にその気がないし、私は強制させる事は嫌い。」


 そもそもグランドにいて欲しくない。


「気が合うなサンディ、そういや、剣、直ったか?」


 グランドにとっては軽口の部類だかサンディにとっては2度目の屈辱の記憶を呼び覚まされる。その証拠に空気が冷たくなる。サンディの表情は変わらないがそのはらわたは煮えくり返っているだろう。


「グランドは?この間のお昼代と修理費払えたの?」


 サンディは「お金ないんでしょ?隠居支部長」と付け加える。


「あぁ、ギルド支部長割引で安く済んだぜ、そのおかげで俺はまだ剣を新調出来ねぇがな、ふん、お気楽騎士団は良いぜ。」


 グランドはサンディの嫌味など全く聞いていないのか無視する。


 ギムレットはグランドがギルド支部長だと知らなかったのか「えっ?支部長?」と団長が何を言っているのか飲み込めないのか呟く。


「知らなかったのね」

「知ってると思うがな」


 2人の声の呆れた声が重なる。将希など面倒ごとだから、俺関係ないと我関せず焉。と言ったところみたいだ。まぁそれが正解だね、面倒ごとに首突っ込んで良いこと無し。


 その間にどうにか話を飲み込めたギムレットは丁寧に喋り出す。


「・・・ではグランド様はお帰りいただいて結構です」


 なんかすごい酷いことをギムレット言ったが帰りたかったグランドは今は飲み込んだみたいだ。サンディも早く帰って欲しいのか何も言わない


「おう、そうするよ、ここまでの交通費は出してもらうがな」


「連れられてきたのでしょう」


 が、サンディは帰り際にお得意の嫌味を入れる。


 サンディはグランドが交通費なんか使うわけないと知っている。どうせギルド所有の馬車かギムレットにでも半ば誘拐されたのだと勘付いている。


「いいじゃねぇか慰謝料ぐらい、お前達の給料に比べたら安いもんだろ」


 騎士団の給料は一般兵だと約60万マキシア、騎士団の宿舎と朝昼晩3食が付き遺族手当なども充実している。


 サンディなど団長クラスになると200万マキシアを超える。朝昼晩はもちろん一戸建てにハウスキーパーも付いてくる。その給料も騎士団持ちである。


 ワジルなどの部隊長でも100万マキシアを超え、1人一部屋もらえる。


 もちろん全騎士団員は筋トレルーム使い放題、プールでの水中運動、陸上トラックなどでの脚力強化など至れり尽くせりである


 一方ピーなピーなピーなところには出入り禁止、部屋でのピーなピーなピーも禁止である。


「そうねギムレットの給料から減らしとく。」

「おぉ、ありがとさん、」

「あとで請求書送っとくから」

「おい!」

「冗談よ」


 サンディは気分がいいのはいい笑顔で笑う、一方のギムレットはまだ自体が完全には飲み込めないようだ

 


 グランドは鼻息を荒くし、ギルドに帰っていく。



後日ギルド宛に請求書が本当に届いたが受け取り主は騎士団の文字を見ると同時に届けに来た郵便屋にこう言った「送り主に返送だ」そのやりとりが2、3回繰り返された。



「ではグランド様がお帰りになったので今回スカウトしたのはこの2人です」


 ギムレットは何事もなかったかのように話し出すがそうは問屋が卸さない。


「その前に何故グランドを連れてきたの?説明を」


 団長は相当ご不満なのか知らん顔して話を進めるギムレットの話を遮る。


「そ、その、先ほども言った通り指南役としてここリベリシュにいる間だけ臨時でやってもらうと考えた次第です。」


「で、彼の実力をどう思った?ギムレット」


「私は彼と一戦ギルドで戦いました。彼の前に私は10戦5勝しか出来ませんでした。なので指南役として登用しようと。検討してましたが。団長の御心を損ねた事お詫びします」


 そういいギムレットは素直に頭を下げる。


「そう、彼の実力を見た上で指南役への推薦だったのね、」


「はい」


「彼の実力は確かなものよ。それは私が認める。私でも半分勝てたら良い方、それだけ彼との相性は最悪なの。だから顔も見たくない。」


 相当グランドを嫌っているのか語尾に行くほど声が低くなっていく。


「そ、そうですか、ではグランドさんはお帰りになり貴族もどこかに散歩に行かれましたので次は2人の実力を確かめていただきます。よろしいでしようか」


「わかった、外で?」


「ええ。それぞれ得意分野がありますし、

 」


「会議は中断ギムレットとギアラ、ナナサ、ワジルは私についてきて、将希殿もついてきてください。」


「え?俺も?」



貴族ってみんなこうなんだろか。所詮フィクションはフィクションであるのか。話を聞いてくれる貴族など存在しないのかもしれない。


過去の誰かの華々しい過激な栄光に縋り、過去の栄光を自分では何一つ成し遂げていないのに自分の成果だと他人に喚き散らす。よくある話である。



案外会社なども同じである。これを製作しているのは下請けなのに企業は自分の新製品だと大々的に宣伝をする。名前も知らない企業が作り上げたものを掻っ攫う。まぁ、今は下請けにも頼まないで自社で一括生産か。


会社も政治家も人もみんな同じである。人間、誰かを下に見ないと自分を維持できない。自分より下のものが居るから自分はまだ底辺ではないと安心する。


なぜこんなことを書いたんだろ。不思議だ。

(個人の意見です。苦情は受けません。)

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