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将希の異世界日誌  作者: 雄太
リベリシュ編
40/139

将希の観光日誌 第五話 終

 


「にいちゃん、金あるんだろ。さっき自慢げに言ってたよな、」


 麻袋の上から胴体にボディーブローが入ると『ヴァ』と言う鈍い音が聞こえる。


「これ外さないと聞こえないか」


 頭は強引に麻袋を引き剥がす。


「で、にいちゃん 金 あるんだろ。別に痛めつけようなんて思っちゃいない、死んだら金の在処も分からなくなる」


 首元を押さえつけ例のブツを待つ。


「お頭持ってきましたぜ。」


 賊のお仲間が刃渡り20cm近いナイフを頭に手渡す。


「おぉ、サンキュー、」


 冷たいナイフの背を将希の首元に滑らせる。


「どうだ、冷たいだろ、」

「それはおもちゃか」

「痛めつけないが傷つけないじゃない、吐かないならゆっくりと斬られるだけだ」


「あぁ、わかった言う」

「そりゃー言うわ・・け・・なんだって?」


 つい、頭は聞く。普通なら手足の一本二本切ってやっと吐き。その後金を頂いて解放し後ろから残った手足を斬り落として始末するのに。


「だから言うって言ってんだよ、このアホが」


 将希何故かわからないが太々しく堂々と吐き捨てる。


「おい!お頭に向かって!何言う!」


 お仲間のスキンヘッドが無駄に幅の広い剣を鞘から引き抜く。


「やめろギーズ、吐くなら吐いてもらおうじゃねえか、その後〆ればいい、でどこだ?」


「家にある」

「その家、どこだ」

「口で言ってもわかんないだろ」

「そうだな。あれ持ってこい」


 賊のお頭はそう言い。将希の視界はまた黒く塗りつぶされる。


 視界を奪われた将希は担がれどこかに投げ捨てられる。


 ●


 しばらくして何人かの足音がカタカタと響くと声が聞こえる


「前はいけるなギーズ」


 さっきのお頭が部下に怒鳴る。


「ええ行かますぜ」


 偵察から戻ってきたギーズは馬車に乗り込みながらそう言う。


「マズリー!お前が馭者やれ、細身のお前が一番やり易いだろ、」


「了解ですボス。着替えてきます」


「あぁ、だがこの馬車に合わせたの着ろ無駄に高そうなのじゃない奴だ」


 マズリーと呼ばれたすらっとした細身の男はボスにそう言われ、2階に向かう。


「馬、もってこい」

「今来ます」


 その声と共に2頭の馬が入り口から入ってくる。


「早いな珍しい」


 ●


 数分時間が経ち馬車がゆっくりと動き出すのが体感でわかる。


(これは馬車か?俺は今馬車の中にいるのか。)


 今通っている道は荒地なのか上下に馬車らしきものが跳ねる。


 そして将希に着けられていまた麻袋が無理やり剥がされる。


「でお前どこに住んでるんだ」


 将希の背中には鋭い物が突きつけられる。


「そこを右」


「チッ曲がり難いところだぜマズリー行けるか」


「厳しいです。すみません。」


 マズリーは馭者の役割を全うしようとしている。


「次、曲がれ」


 その言葉通り馬車は右に曲がる。


 ●


 その後諸々ありそ着いた場所は騎士団臨時宿泊施設であった。


 着いて馬車から降りた頭は騙されたことに気づく。


「おいここって」


 馬車から降りた頭にはすぐさま待ち構えていた騎士団員の持つ槍先が向けられる。


 時、既に遅しここに不審な馬車が近いた時には既に見張りが確認しており。すぐに昨日のイライラを部下達にぶつけていたサンディの元に連絡が行き、騎士団が待ち構えていた。


「おい!待て!」


 頭は油断してしたのか急いで剣を握るが構える前に槍が首元に迫る。頭は最後の一瞬叫び、それが賊の頭の最後の一言となり、首のない胴体を見ながら地面に転がる。まだ意識はあるようだが、その眼は白く濁り始める。


 ●


 時は戻る。


 見張り台の上では3人の騎士団員が監視にあたっている。


「ん?あれはなんだ」


 見張りの騎士団員が将希が乗っている馬車を双眼鏡発見する。


 そして真ん中のテーブルの上に置いてあるファイルの紙を上から捲る。


「今、15時34分、」


 その紙はこの付近を通る全馬車の名簿であった。


 その紙を一番上からなぞるように指を滑らす。


「この時間帯は通行予定はない」


 指の先には15時の時間帯は馬車の通行は書かれていない。


「緊急の様子もない」


「どうしましたワジル隊長」


 声をかけたのはワジルの部下であった。この時間の監視任務はワジルの部隊が任されていた。


「あの馬車、少し気になる見てみろ」


 ワジルは馬車を指差し双眼鏡を貸す、部下はその双眼鏡でワジルが指差した方向を見る。


「俺には普通の馬車に見えますが」


 部下はそう言う。見た目だけなら普通の馬車と遜色ない物に見える。


 乗っている馭者も馬車に合わない怪しい格好ではなく、よくいる運び人の馭者の物であった。ここまで見るに不審な点はない。


「この時間帯に馬車の通行予定はない」

「では、緊急では?」


 部下は必然的にその答えを出す。


「緊急ならばここに伝書魔法が来ることになる、今の所それはない、俺は団長の所に行くここは頼む。」


「わかりました」


 ●


 見張り台を降りたワジルはすぐさま団長が部下達を地獄にしてる運動場を目指す。


 建物内部を突っ切り出ると団長はいまだに部下達を扱いている真っ最中であった。


(うわー、ここに入りたくねぇな)


 つい心の声が漏れる。


「ワジルか、どうした」


 その声に反応したのかそれとも脅威的な野生の勘で背後に居るワジルの気配を感じたのか。ワジルは後者であることを祈る。


「団長」


 ワジルは走り出す。


「どうしたそんなに急いで」


 何故ここにワジルが居るのか謎に思っているサンディは言外に何故お前がここにいると言うニュアンスを込める。


「不審な馬車が正門付近に向かっています。」


「馬車だろいてもおかしくないだろ」

「いえ。この時間帯は通行予定もなく伝書魔法も来ていません。」


「・・・わかった私が行くワジル、お前と部下数名を借りたい良いか」


 その一言で対応を決めたのかサンディはすぐさま行動に移す。


「わかりました準備します。5分ください」


「正門扉裏に5分後、見張り台との連絡は私がやる。」


 ●


 5分後の現在に戻る。


 ワジルと暇だったその部下5名が準備を終え正門前にやってきた。


「ワジル今、こっちに動いてるみたい、なんか嫌な予感がするわ。」


 伝書魔法で見張り台とのやり取りをしていたサンディは嫌な連絡を受けていた。その手にはレイピアではなく槍が握られる。


「と、言いますと」


「あの馬車の登録はヴィーアス商会の馬車ね その馬車は先日盗難されてた、盗んだ犯人はここ最近リベリシュ市場を荒らしてる賊みたいなの、そして今そこには将希殿がサムウェルとあと2人誰だっけ、まぁ良いや、と買い物に行っているって置き手紙が置いてあった。そしてそのうち1人はさっき、のこのこと帰ってきた。この様子だともう1人も何処かに消えたでしょうね」


「お、おっしゃる通りかと」


「教育が必要だわ」


 流石に話が飲み込めない、ワジルは将希達がどこに行っているかは知らなかったみたいだ。


「結論を言うと、あの馬車には将希殿が乗ってる、と言うよりも金目的で連れ去られて将希殿はここを案内した、そしてそれに見張りが気づいたのはたまたま。」


「私のおかげですな」

「そうね、よくやった」

「珍しい」


 いつもは絶対に褒め言葉など言わないサンディが珍しく褒めた。(お身体どこか悪いのでは)と思ったが言葉にはしなかった。


「そうね、もう2度とないわよ」


 それは正解だった。


「そうで、」

「待って」


 ワジルが話し出そうとすると団長はそれを遮る。そして目線を下に下げ何か合図する。


(馬車の足音が聴こえる、もうすぐそこにいるみたいね、)


 団長はワジルを指差し、手を広げ、何か合図を出す。


(私は前からですか、美味しいところは団長が、)


 サンディの指示はこうだ馬車が見えたら私が一番槍を入れる、そして賊の頭を殺る。ワジル達の部隊は前の馭者の拘束と誘拐されている将希の確保。



 そして団長達の前をゆっくりと馬車は通過するし止まる。


「おいここって」


 そう叫ぶか時既に遅し。


 目の前には待ってましたとばかりに団長が現れ、手に持つ槍が頭の首元を捉える。


「おい!待て!」


 完全に油断していない賊の頭の首が刎ねられる。


 その頭は首のない自分の胴体をじっと見つめる。いまだに痛みは感じない、それよりも何故俺は自分の首のない胴体を見ているのか謎に思っている。


 わずか1秒にも満たない時間、何分にも感じられる時間、自由落下していった頭は地面にごろっと言う鈍くもある意味軽い音を立てくるくると転がる、やっと痛みを感じたのか声を出そうとするがその頭には声帯は付いていない。


 胴体の切り口からは鮮血がまるで噴水のように吹き上がる。それが数回繰り返されるとその勢いは弱くなり頭を失った胴体はぐらっと前のめりになり地面に落ちる。


 頭を失った胴体は動く。子鹿のように立てないが地面に手をつき立ちあがろうとする。


 しかし、すぐに手にかけていた力を無くしていき、ぴくっとしか動かなくなる。


「将希殿何故ここに」


 血に塗れた槍を持ち馬車にに乗り込む団長。まさに地獄絵図と言ったら所だろう。


 団長の視線の先には将希に刃物を突きつける大男。


「それ以外近づくとこいつ殺すぜ。そいつ下ろしな」


 将希の首元に当てられた刃物に鮮血が流れる。


「そう。わかったわ」


 団長は大人しく槍を床にそっと置く。


「物分かりがいい・・ヴッ!・・・」


 大男の胸元から剣が突如、生える。いや、大男の胸元を剣が貫通した。その剣はゆっくりと体内を切り裂きながら肩元に上がっていく。


 大男はそれを止めようと必死に剣を掴むが、剣が止まることはなく、指がゴトゴトと言う音を4回、立て床に落ちる。そして止めようとする力を失った剣はそのまま肩を突き抜く、突き破った瞬間剣は向きを変え首を断つ。切り落とされた胴体を失った首はゆっくりと落下し将希の靴の上で跳ねてゴロッゴロッと鈍い音を立て行ったり来たりし止まる。


「団長終わりました」


 倒れた大男の裏にはワジルが剣に着いた鮮血を拭いながら立つ。


 後ろからの逆光がワジルの影を伸ばす。手に持つ剣は逆光に照らされドス黒い黒から金色へ光る。まさしく悪の化身のような佇まいで団長を見下ろす。


将希の観光日誌は終わりを迎える。将希が野盗をここに連れてきたのはただの偶然かそれとも必然か。

本人にすらわからないだろう。


そういえばサムウェルどこ行ったんだろ。まぁ良いやサムウェルだし、今頃心臓バクバクだろうな。関係ないってなんて楽なんだろう。

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