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将希の異世界日誌  作者: 雄太
リベリシュ編
32/139

団長vsギルド支部長 前編

 

 闘技場は独特の緊張感が包み込み将希体にチクチク刺さるそう神経が誤解するような、緊張感が2人から溢れ出す。


「お飾り騎士団、良い名前だ」


 グランドは手始めにジャブから始める。


「隠居支部長。納得ですな」


 サンディも応戦し、下からのアッパーを入れる。


「いつになったらお飾り騎士団から脱却出来るんだ?」


 グランドはまだ手数があると言わんばかりにジャブを打ち込む。


「そう言えばいつから隠居を?」


 サンディは余裕があるのか軽口を叩く。


「団長はいつ引退するんだエルフだから見た目は若いが相当歳食ってんだろ」


 グランドも負けじと一歩踏み込む。


「グランドは葬儀の予定立てた?私寿命が長いから、早くしないと来れないかも」


 グランドの踏み込みを躱し、横腹に殴り込むサンディ。


「お前なんて呼ばねーよ、俺は一生現役だ」


 サンディの打撃は浅かったか、グランドはすぐ言い返す。


「魔物に食い殺されて死ぬの?」

「あぁ、あんたがな、」

「私、強いわよ」

「俺もいつかお前さんと決闘してみたかったんだよ、」

「それは光栄な事ではないですね、だって勝てるから」


 サンディはそう可愛げのある笑みを浮かべるが。それを見ている将希は寒気しか感じない。(なんでこうなったの?助けて)将希の目には既に2人が殴り合っているような幻覚が見える。


「逃げるのか?」

「逃げる?、それは貴方ではなくて」

「ならやってみてから言わないとな、」

「真剣で?」

「そうだ。将希を見届け人にして」

「良いわよ受けて立つ」


 サンディは振り返り歩き出す


 グランドは目を瞑り、歩きます


 適度に2人が距離をとったところで止まり


 サンディは愛剣の柄を丁寧に握る。


 グランドは背中に掛けた大剣の柄を握り力の限りを込める。


 緊張感漂う空気の中1人将希はただ茫然と見ているがその時脳内に機械音が響く


『オーラを可視化しますか?』

(またこの声かよ!あんた誰だ!)


 将希はそう叫ぶか、


『オーラを可視化しますか?』


 機械音の返答は変わらない。


(だから誰たって!)

『オーラを可視化しますか?』

(やれば黙るのか?)

『許可確認可視化します。』

(おい!許可なんてしてない!)


 機会音と共に将希の目にはスキルのより可視化されたオーラと言う不思議な存在が2人を取り巻く、


 優しい緑のオーロラに近いようなものがサンディの周りを回る、そう錯覚する


 グランドは現役の頃よりか燃え方が違うが今でも紫に近い青、ギラギラと燃えるガスのように身体中を取り巻き、サンディを侵食しようとしている。


 その中心から外れた安全圏に立っている将希は到底受け止めきれない何かを本能で感じる。それでもスキルの補正が効いている。


(おい、これは何だ!)


 将希はそう脳内で叫ぶ。


『オーラと言うものは極一部の人間が極度の緊張又は臨戦態勢に入った時にのみ現れる、魔素の乱れです。常人の目には見える事はなく、不快感として間接的に伝わります。』


 機械音は将希の思惑とは違うことをピンポイントで言う。


(だからアンタは誰だって言ってんだよ)

『その問いに答えることはできません』


 チッ、役立たずが。


『その権限自体がロックされています』

(誰に?)

『その問いには答えられません』


 そんな脳内での会話を続けている間も目の前で対峙する2人の圧が強まる、一種の恐怖からか将希の手が震える。


「止まらねぇ、止まんねー。なんだよこの震え」


 手首を押さえているが震えは連鎖する。


 何だこの2人睨みあってるだけなのにこっちまで気圧される、やばい。マジで震えが止まんない、この空気に飲み込まれたら、やばい、


 ふと、2人の圧が消え、殺気に近い視線が将希に向かう。


「将希、始めって言え」


 グランドは脅迫に近い声で促す。


「え?あっはい」


「・・・・えっと、始め!」


 将希の不自然な間が空いた合図をお互い全く聞くことはなく、2人の姿が将希の目から消える、




「グランドも変わらないですね馬鹿力だけは」


「アンタこそ騎士団長の地位に甘えていると思ってたが強くなってやがる。だがまだ弱い」



 2人の動きは将希の目には見えないが2人の声と剣がぶつかり飛び出た火花だけが目に映り甲高いく鈍い音だけが耳に入る。



『行動補正を作動します』

 は?


 機会音と共に2人の動きが見え始める。


「何これ見える、けど見えない、」


 スキルの補正はある程度効いているが、悲しい事に本体の性能の悪さつまり動体視力の悪さで細切れの静止画を繋げ合わせた感じに将希の目には映る。


『本体の性能が悪いため、画像が不鮮明です』


 ディスるな!


『高度補正、作動します。なお使用限界は10分です』


 またも機械音と共に将希の目に映る映像がなめらかな映像となる。


「さっきより良くなったよ、」

 そう機械音に対し悪態をつく。


 先ほどよりも格段に見やすくなった将希の視覚には2人が髪の毛一本に分の隙間を縫うような素早く重い斬り合いが行われているのが見えるが本人は目の前で何が行われているのか正確には理解していない。


 サンディが間合いを図り踏み込むとグランドはその分、後ろに下がり、力すぐでサンディの剣を弾き返す。


 一方、グランドもタイミングを見ながら剣が受け止めにくい場所へしつこく狙っているがサンディはその剣に刃を当て力を分散させるように流す。


 そんな、攻守が激しく入れ替わる攻防が続く。


 熟練の冒険者であるグランド。


 歴戦の騎士団長であるサンディ。


 共に相手の間合いが簡単に読めることから膠着状態に陥る。


 グランドは剛の剣を力で押してていくタイプだがそれは経験に裏打ちされた歴戦のものであるだからこそ隙が少ない。力で押すグランドはサンディとの相性が悪いのか攻めてを欠く。


 サンディは柔の剣をだが小さなダメージも同時に与えようとする剣である。対魔物、対野盗戦で鍛えられた、判断力で一瞬の隙を見逃さないようにグランドに攻め込むがその隙自体が見当たらないみたいだ。


「どちらも攻め手を欠く。そう言う事ですか」


 剣がぶつかり合い、(やっと通常時の将希が見える速度まで止まった。)止まった時、サンディは余裕があるのか挑発するがグランドは乗る気配はない。


「お前が攻め込んでくれば楽なんだけどな、」  


「グランドが攻め込んでくれば?私は動かないわよ」


「動けないの間違いじゃないか?、それに生憎だが無駄に攻めても隙を増やすだけだ、お前さん、現状把握も出来ないのか」


「グランドはこの先の手考えてないの?」


 2人はお互いの剣を交差させながら自分にとって有利になるように仕向けるが、お互いこの手の間合いには慣れているのかどちらも相手の挑発に乗ることはしない。


「俺の好きな言葉は『その場に合わせろだ』挑発に乗るなんて以ての外だ」


「私もね『機を見るに敏』なんて言葉が好きなの、グランドを一瞬でも止めれば勝てる」


「ほら人の油断を誘おうとしてる、だから油断なんねぇギャハハ」


 グランドは独特の笑い声を上げサンディの剣をわざと受けていたとばかりに弾く、

 弾かれたサンディは自分でも後ろに飛び距離を取る。


「隙がねぇ、本当早いな、攻め込むタイミングがほとんどない。」


 サンディの剣を弾き上げ、剣を戻したグランドだが体勢を立て直すとすでにサンディも体勢を整えたあとであった。


「あらら、それは無駄な動きが多いから遅いのでは?」


 剣を構え直しにっこりと挑発をするが内心は違った。攻め込むタイミングがない動こうとすればすぐ狙ったところを剣を持っていく、嫌な動きを毎回正確にするわね、もう少しズレてくれれば、撃ち込めるけど、そんな隙作るとは思えない


 剣を構え直し、にっこり笑顔で挑発する。


「つくづく嫌な奴だぜ、」


 グランドは左の頰がピクリと上がる。

 サンディの思惑通り、相当イライラが溜まってきているみたいだ、


「あら、相当イライラしている感じがするわね、そう言う時は隙が出来るのでは?」


 サンディは先ほどから狙い通り少しずつグランドにイライラを溜めさせ、グランドが痺れを切らし攻め込む時を待っている。


「そう言うお前さんこそ、喋る余裕があるんだなそう言う時が1番隙が生まれるんだぜ、サンディ」


 このままじゃどうせ押し切られるな、なら先に動くか、だがコイツの狙いはそれだからな敵の作戦ど真ん中、それを真っ向から潰すのは嫌いじゃねぇがこいつ相手には悪手だな。グランドはそう思考する。グランドはサンディの狙いがわかっているだからこそ無駄に攻めることはしないが。このままではどこかで押し切られる事まで考えがついている


「ならその隙を付かないといけないのでは?」


「お前さんこそ、隙があるなら攻め込んでくればいいじゃないか、そこを撃ってやるからよ」


 2人はお互い、攻め手を欠く。

 そのせいかお互い距離を取り、剣の応酬ではなく言葉で間合いを図る。


 グランドが動きそうな気配を見せるとすぐにサンディが反応し、隙を潰す。


 サンディが間合いを詰めるとグランドはその分下がり膠着状態に持っていく。


 その膠着状態に痺れを切らしたグランドはサンディが瞬きをしたほんの僅かな隙を図り強引に切り込みにかかる。


「このままじゃ埒があかねぇ。」


 グランドの声が聞こえると同時にサンディの目の前で火花が激しく舞い上がる。


 グランドは上から力づくで剣を振り下ろしサンディはグランドの剣を滑らすようにして流すが流しきれない。その勢いからかどちらの剣からわからないがミシミシと言う甲高い嫌な音が響くと


 ほぼ同時にサンディの剣が折れ、サンディは折られた剣と共に地面に膝をつくと同時にグランドの剣の柄が裂くように折れた。



結局強さとは力なりなのかも知れませんな、


歴戦の騎士vs熟練の冒険者


主戦場は別だがその知識と経験は豊富だからこそ無駄な攻めをせず守りに徹し、一撃を狙わずダメージを蓄積させ、自分の体力をいかに削らないかを基本とし相手の動きを縛る。それが勝負を決める。


多くの上位者はこれをわかっているいるからこそ強い。


無駄に動きが多ければそれだけ隙を生むこととなり、

一方守るだけでは勝てないと言うことも把握済み

そして単純作業になり易い。


だからこそ一瞬の油断が全てを分かる。

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