20話 ワジル
…
「……殿、……将希殿起きてください」
「ん?にゅにゅにゃ〜?」
「将希殿今すぐ避難を!」
アレクに起こされた将希だがその返事は要領を得ないものであった。アレクは少しため息をつくと将希の顔を一切の躊躇なくおもっきり叩く。
「痛!何すんだよ!」
痛みで飛び起きた将希は頬に手を当てながら怒鳴る。
「将希殿11時の方向を前を見てください」
1人冷静なアレクは11時の報告を指差す。そこには不自然に止められた馬車が5台止められている。
「車輪でも壊れたんじゃないの?こんなところに止まってるなんて」
現代人の将希はそう言うがここは異世界そんな優しい話ではない。
「いえ、そんな優しい物ではありません、盗賊です。サンディ様の報告によればこうして困っている商人に見せかけて、寄ってきた他の商人を襲うと、なので将希殿は上に向かってください、サンディ様の下にいるのが安全です。」
アレクはそう言い立ち上がる、
「急いでください、多分サンディ様も見ているでしょう」
上に向かう将希を見送りアレクは連絡筒を使い連絡を取る。
「サンディ様に聞こえますか?」
少しして返答がある。
「……あぁ、聞こえてる、盗賊だ」
「今上に将希殿を行かせました、そちらの方が安全だと判断しました。」
「……あぁ、今来た、アレクの判断に間違いはない、私は騎士団を率いて盗賊討伐に向かう、ギリギリまで普通の商人のように振る舞え、細かい指示は無しだアレクに任せる、我々はタイミングを見て討伐する」
「わかりました、しかし、カイブロスに乗っている時点で怪しまれるのでは?」
「奴らは金に目がない、カイブロスに乗れるほどの金の持った商人と奴らの目には映るだろ」
サンディはそう言い、登ってきた将希を呼び寄せる。
「将希殿こちらへ」
「へぇ?俺、俺何もしないよ前線になんか出ない、」
「ヘタレでは前線に出たところで最初の一歩でつまづくことでしょう。」
「な〜んか他の言い方なかった?」
「間違いではないかと」
「……正解にも程遠いかと?どこ行った。」
「少し下がうるさいな」サンディそう呟き防具やら剣を取りに行き、将希が振り返るとすでにそこに姿はなく将希の呟きは空気の中へ消え去った。
●
時ほぼ同じくして全員が集合した騎士団員達の興奮が最高潮達する。
「お前ら!いつもいつもお飾り騎士団と呼ばれてどう思う!」
臨時副団長ワジルは拳を天に突き上げる。
『『ぶち殺せ!!』』
「そうだ!見返してやれ!俺たちがお飾り騎士団ではないと!逆らう者は!」
『『ぶち殺せ!!』』
「俺たちはなんだ!」
『『陛下直轄騎士団だッ!!』』
「俺たちの前に立ち塞がる敵は!」
『『ぶち殺せ!!』』
騎士団らしからぬ暴言を吐きながら勝手にやり切った感を出すワジル、
「いやはや。こう言うのもいい物だな、団長を引き摺り下ろして俺が上に立つ。」
その影からワジルを睨む1人の女性、サンディは将希と胡散臭い話をしてた時、部下の不自然な声を聞き、将希との話を切り上げ、ここに向かった。
「よっ、ワジル騎士団長!」
「がはは。もっと言え!」
「よっ、ワジル騎士団長!」
「いい気分だな!いい気分だな!お飾り団長などこの俺が捻り潰す!」
サンディは少し声のトーンを変えてワジルを乗せる、その目は腑が煮えくりかったような目をしているがもう少し泳がせる気みたいだ。
「次期団長は?」
「俺だ!」
ワジルの後ろから笑い声が漏れる。
「プププ」
「何がおかしい!」
ワジルは後ろを振り返り、腰を抜かす、
「だ、だだだ、ダダダダ、団長、そ、そのこれは違いまして、あのですね私はちょっと士気向上のためにこいつらに持ち上げられましたて、やれって言われて、その誤解です!」
しどろもどろになりながら後退りしながら適当なことをほざいているが、そんな簡単には本当の団長は見逃さない。
「ふ〜んノリノリだったような気がするがな、もう一回行ってみろ、 次期騎士団長は?誰?」
騎士団長の目は赤く燃えている。ここにいる団員達は生きた心地がしなかっただろう、
「い、いえ、そ。その、その、あの……」
「ワジル君、君に栄誉を与えよう1番槍の権利をあげる。受け取ってくれ」
1番槍のつまり死ねと言われた事と同然、
戦場で最も死亡率が高いのは1番槍と、しんがりの2つ。後の混戦では背後から仲間に殺されたり流れ弾などが当たり死ぬなど直接戦闘とは関係ないところで死ぬことが多く、1番槍と、しんがりが直接的な死因と言う意味では1番高いのだ。ついでに言うと拒否出来ない。
「た、大変な栄誉でありますがその私には実力不足かと」
どうしても逃げたいワジルは最大限の丁寧さを出し、ゆっくりと後退りする、それをサンディがゆっくりと追いかける。
「君だからこそだよワジル君、君は次期騎士団長なんだろう、ならそのぐらいやらないと、まさか次期騎士団長が逃げるとでも、」
「滅相もない、私が言いたい事は私よりも適任者が居るかとそう言う事です。」
「誰?」
「……」
「次期騎士団長が逃げるの?」
「……・」
ノックアウト!勝者サンディ、今回は団員達の中での賭け事は行われなかった。流石に出来なたかったか、やれよ!
「まぁ、いいわ、いつも通り私が出るわ、ワジルもいつも通り二番隊で追いかけてね」
サンディは説明を始める。
「今、上でアレクが商人に見せかけて助けて、その時に私たちは裏から飛び出て野盗を拘束すると言うシナリオで話つけといたわ、その通り行うよ、ニッキーとサムフォンドは上で将希の護衛」
『『はい!』』
呼ばれたニッキーとサムフォンドが前に出てくる。
「2人は今すぐに上に向かって護衛フル装備ね、後ろの警戒も任務に入れとくわ」
「わかりました。」
「了解、団長」
ニッキーは女性用の更衣室に向かう、
サムフォンドはいつも通り上で着替えるみたいだ。
「これで自由に動けるのが48人予備は置いときたいから。敵の人数が気になる。」
サンディはそう呟いた時魔法による通信が入る。
『サンディ様。見えている範囲での敵、人数20前後後ろにも不自然な馬車が一台います。』
操縦席に座るアレクからの魔法通信がそう伝える。
「わかった、アレク、さっきの作戦全部なし、まず警告してから返答がどんな者でも私たちが討伐する。」
サンディはそう言いすぐに騎士団員に指示を出す。
「アレクから連絡、敵数約20、背後にも不自然な馬車有り、私たちの配置は先ず警告して返答がなんであれ討伐する警告が済み敵が動いたら主砲を撃つ、主砲はその後背後の敵に照準を合わせておいて、」
「了解」
「了解」
「新人はどうしますか」
カール、ハモンド、ニードル、前回ブロリア戦の時に砲撃を任された3人が敬礼する、ニードルは敬礼した後に質問する
「今回は砲弾補充の方に実戦はまだ早い、これで新人が使えないから、今いる40人全軍で討伐する。作戦は以上!」
『『了解!』』
「5分後 Aハッチに集まれアレクが警告したあと私たちが襲撃する!」
その声と共に騎士団員達は各員装備を整えに走り出す。
サンディは魔法通信をし、アレクに詳細を伝えて、ニッキーとサムフォンドには守りを固めるように指示を出し、サンディは一度見張り台に向かう。
ワジルも可哀想・・・じゃないな、
こういう奴は団長よりNo.2の方が自由が効くし動きやすいと思うけどな、
上に居ても。ワジルやらの面倒見ないといけないし苦労が多そう




