サンディの過去
「将希殿、指定席はどうぞ」
自称ウェイターのサンディが声をかける。
「それやめてくんない、」
「それは無理です、」
「……わかったよ行けば良いんだろ。」
諦めた将希はいつのまにかデリバリーされたコーヒを飲みきり立ち上がる。
「運転はまたアレクさん?」
「はい、そうですよ、この子カロンの専属運転士ですからアレクは、」
こいつカロンって言うんだけど見た目に反して可愛い名前だな。だけど子か?
「そんなのあるんだな、」
将希はそう呟き、サンディに先導されるように歩き出す。
「カイブロスは心を開いた人以外の操縦を受け付けません、もしいつもと違う人が上に乗ったら。暴れ出し手が付けられなくなります。」
「そう、怖いなそれ」
「なので定期的に違う人を乗せ心を開かせようとしてます。将希殿も実験だーーではなく。心を開かす訓練に付き合ってもらってます。」
「ねぇ。今実験台って言おうとした?したよね。ねぇ。おーい聞いてる?」
「なんのことでしょ?」
サンディはわからないと言い、そのまま前を歩く、将希が回り込もうとするたびに、背中に目があるかのようにガードをしいつしか将希は回り込むのを諦めた。
そして、クマリアの蜃気楼を追いかける
(くまちゃん、また会いたいな。今すぐにでも、悲しいよ、たった数分前に別れたばかりなのに、くまちゃん、また会いたいよ、)
将希はもう見ることのない幻影を追いかける、無知とは罪なのかもしれない。この場合は知らない方が正しいかもしれない。
「アレク。またこいつを隣に置いてやってくれ、うるさいなら手段は問わない」
「了解しましたサンディ様、」
「おい!手段は問わないってなんだよ、アレクさんもなんで了解なんて言うんですか?」
不公平だ!と将希は駄々を捏ねているがこの程度、アレクは毎日カイブロスと格闘しているし、サンディも部下と毎日口喧嘩やら、真剣での恨み晴らしで斬り合いをしている2人にはこの程度の不公平は日常茶飯事、そもそもサンディはそれ以上に胃がキリキリする案件(つまり将希の護衛を持っている)があるし。
こんな事で狼狽えてたら胃がもたないって言う話である。そんなどうでも良い押し問答はサンディの勝利、将希はまたアレクさんの脇でおすわりをする事となった。
「また、ご一緒ですな将希殿、」
「光栄だよ。またアレクさんと一緒になれて、」
そっぽ向きながらそう毒づく、
「いえいえ滅相もない、そう言えばサンディ様からお聞きになりましたか?」
ん?あぁ、湾岸都市リベリシュに向かうって話か。
「聞いたよ、王都に帰るんじゃなくて、湾岸都市リベリシュに向かうって話だろ、帰っても良いと思うけど」
「陛下はお魚も食べますよ、なのでサンディ様は湾岸都市リベリシュに向かうことを選択されたのでしょう、将希殿は陛下がお食べになる料理を作るのですから、それなら知っておいて損はありません。それが将希様のためにもなります。」
「……そうだな、あの女王が俺の作った料理で死んだら俺がカイブロスに踏みつけられて死ぬんだもんな」
まぁ。世界で初めて料理で暗殺されるって前例を作るのも、……ダメだなそう言うことは、うんそう、
「?・・また、サンディ様のイタズラですか、あのお方の酷いものですな。」
アレクは内心。不思議そうな顔しギリギリ将希に届くボソボソ声で、言う。
「なんか言ったかアレクさん?」
「いえ。何も、しかし、昔のことを思い出しただけです、」
「昔?」
「はい。それはまだサンディ様が小さき頃、それはもうお転婆でしたな、何度も何度もカイブロスの口元に行くなと言っているのにわざわざ前に行って噛まれかけることもしばしば、それをゲームみたいにやって、その度に私はコイツを止めるで大変でしたよ。本当、一回噛まれれば良いのにと思ったこともよくあります。」
「ふ〜ん、あんな、強くて綺麗で真面目そうなのに、そんな事があったんだな、でもよくカイブロスの前に行く気になるな、」
「理由は簡単です。私がコイツの上にノ乗ってる時は制御できるので味を占めたのでしょう。サンディ様が面白がってやっていたのです、なので他のカイブロスに同じようなことはしませんでしたね、わかっていたのでしょう。どのカイブロスが安全なのか。
そもそもコイツも本気で襲う気はなかったみたいですが。コイツもサンディ様が驚く様子を面白がって、構って居たみたいですが、」
「他のやつは絶対に前に行かないのか?」
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「なんか、鼻がムズムズするな、嫌な予感がする、後で部下共を〆る必要があるな、」
サンディって思ったよりやんちゃしてるんですね。
カイブロスのモデルどうしよう、考えてない。
まぁいいか、気にせず、気にせず。




