グランドの過去
そして剣を取って来たグランドはさっそくサンディと手合わせしたが惨敗した。いや、動けなかった。
グランドが一歩踏み込んだ時にはすでに首筋に伸ばした剣の背が当てられていた。
「負けたぜ!サンディ。・・・刀身が伸びる?さっき見たのに理解できねぇ。見た目は短剣だがリーチは槍を超えてきやがった。初見じゃ回避不能だ、あははあははあははは。久しぶりだ!こんな気分!。こんなに胸が高鳴るなんて!初めて狩りに出た時以来だ、いつかこれを超えてやる。
がはは!まじかよ間合い無視かよ!短剣の間合いで入ったらすぐにやられるかと言って槍だと思えば懐をやられる。そんなもんどうしろって言うんだよ。
悪魔だ。ドワーフの奴らなんて面白いもんをつくりやがる!!
俺はそれを使わずにお前を超えてやる!」
グランドの目には新たな闘志の炎がメラメラと沸る。
グランド自身自分の限界というものを感じ始めていたが、まだ飢えがあると知った。だがサンディの短剣を使う気にはなれないようだ。
●
「あちゃーグランド、壊れたみたいね」
いつもじゃありえないテンションのグランドを見てそうつぶやく。
しかしグランドはこんなことではへこたれないとサンディは確信している。
グランド自身ここまでズダボロにやられるのはいつ以来だろ、不気味に笑いながら考える。始まりの日、グランド少年は冒険者登録をしまずFランククエストに行っていた。その日依頼を受けた仕事は誰でもできる薬草採取であった。
薬草を探しに山の奥に足を進める。
目的の薬草を見つけ採取し終えふと周りを見渡すとそこは知らない山奥であった。目の前には切り立った崖、洞窟が人を飲み込むように口を開く、奥から何か獣か魔物なのかわからないが低い唸り声が幾つにも反響し若かれしグランド少年の耳に届く。
ズダ、ズダと何かが洞窟の中からグランド少年の方に近づいてくる。真っ暗な洞窟中の様子はわからない。しかし着実に何かの足音は大きくなる。よく目を凝らすと光る丸い物体が二つ地面から1Mほどのところに浮いている。いや巨大な胴体から伸びた首顔、そして光る目、牙が血に染まり、歯の隙間には靴を履いた足が引っかかっている。赤いヨダレがたら〜と滴り落ちる。
グランドの脳は全身に逃げろ!と全身に命令を送るが手足が反応することはない。恐怖で動かない。
新たな食べ物を見つけたそいつはゆっくりとグランド少年に近づく、グランド少年は無意識に手に持った短剣を向けるがそんなおもちゃで勝てる相手ではないしかしそれでも向ける。
そいつはグランド少年の5M前で止まり、グランド少年を品定めする。そして判断したそいつは助走をつけ、グランド少年に襲い掛かろうとする。
「少年!伏せろ!」
誰かの声が聞こえグランド少年の体は無意識にその声に従い伏せる。
ベチャ、
グランド少年の頭には生暖かい鉄臭くドロッとした液体がべっとり付着する。
グランド少年はゆっくりと頭を上げ、先ほど伏せろと言ったと思われる人の方を見る。
「少年もう大丈夫だ。こいつはもう死んだよ」
グランド少年の目には血に塗れた長耳と首だだけどなった狼だけが視界に入る。
「・・・・・・」
「早く山を下るんだ。そうして風呂にでも入れる」
長耳の人はグランド少年にそう言うと首を刈り取った狼に近づき血抜きを始める。
首筋に光るサンディ専用のギルド証。
グランド少年はいろんな感情と恐怖が入り混じり、急いで山を駆け降りていく。
グランドに古い記憶が蘇る。
海馬の奥底に眠っていた恐怖と今何故冒険者を目指したかその答えが溢れる。
「あんた、だったのか、あの時あの洞窟で俺を助けた長耳は」
グランドの目には涙が浮かぶ。
「あら、やっと思い出したの?ちびり少年。」
そんな昔のことは忘れた。グランドはそう思いたかったがそれもついでに蘇る。
「サンディ。お前だったかのあの時の長耳は」
「血まみれ少年元気だった?」
「なんで、あの時俺を助けた」
グランドは封印していた過去の記憶、いつかその人にあったら絶対に聞きたかったことを今ようやく聞ける。
「私の目の前に今この瞬間、狼に襲われようとしている子供が居たから、私は剣を振るっただけ。まさか私もその時助けた少年がこんなおじさんになって再開するとは思わなかったわ。」
「俺は・・・俺は何度もあんたを探した・・・」
(また過去、バナ?)
「狼に襲われ血まみれで山を急いで降った。そしてすぐにギルドに向かった。あんたがつけてたギルド証を言ったがそんな物ないと言われた。あはは。夢でも見たんじゃないかって言われたよ。だが・・・居たんだな。
あの時、言えなかった事がある。
ありがとう。助けてくれて」
「安っぽいわね」
さて、連載ペース落とす事を検討中。




