表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
将希の異世界日誌  作者: 雄太
パルク編
10/139

市場

 日中、将希はクマリアと約束した通り市場に王家所有の馬車ではなく徒歩で向かっている。なぜか将希は荷車を引っ張っている。先ほどクマリアから渡されたのであった。


「なぁ、馬車で良くねえか?」

「それは無理ですね、」

「なんで〜」


 将希あからさまなオーバーリアクションにクマリアは嫌気が刺す。


「もし、市場に馬車で行ったら降りる前に盗まれますよ、そもそも護衛なしで馬車は動かせません。山道には山賊、盗賊が普通に居ます、たとえ護衛をつけても襲われることがあります、」


 クマリアはそう説明する、が将希は納得していない。


「ここって山道じゃないぞ、」


 俺たちが泊まってる王家所有の城か?まぁ、良いやそこから文字通り目と鼻の先だ俺の部屋から市場が見えるほどに。



「どの道、市場に馬車を止める場所はありません、もし止めれたとしても帰る頃には姿形なくなくなります。」


「そう、怖いね」

「この世界では当たり前のことです。王都周辺では比較的治安は良いですが離れれば離れるほど、こう言ったことは珍しくありません。いわば日常です。」


 日常、ね〜、俺には考えられないな、窃盗が日常茶飯事か。将希がそんなことを考えていると、クマリアは「ですが」と繋げる


「ですが、陛下は今そう言った事を改善しようとしてます。一時期に比べれば安定し始めています、その昔は騎士団の騎士でさえ単独行動は慎むようにと言われてましたので、それに比べ今は力もない私が1人、街中を歩いても襲われるようなことは減りました、それでも山道や路地裏には絶対に近づかないようにしています。」


「あの、女王、緩そうな見た目に反してキチッと女王やってんだな」


 俺には食いもんに目のない、ワンコのようなイメージしか無いけど。


「それでも陛下はこの世界を変えようと努力をしています。そして着実に変化しています。」


「そうかい、そう言えばあの女王、俺にこの世界の食事を変えろって命令されたな」


「将希様なら、必ず変えられます」


「信頼が厚いな、会って2日目なのに」


「美味しい料理を作る人に悪人はいません」


「…………・」


「見えましたあそこが市場です」


 俺の沈黙を埋めるようにクマリアは何事もなかったかのように声を出し、クマリアの指差す先には人でごった返した広場みたいなスペースが広がる、ここからでもわかるほどに多種多様な種族が食材を買い求めている。


「いろんな種族が居るんだな」


「ええ、そうですよ、私みたいなクマ耳がついてる熊耳族、ウサギのような耳をつけた兎耳族、男性になりますと出し入れ可能な爪を持ったり。うさぎのような跳躍力、女性でもそれに準ずる力を持っています、あとは王都の図書館でお調べください」


「そう、結構いるんだな、種族って」

「はい。以前王都の図書館の書物には部族などを入れたら100は超えるのと書かれていました。そして一つだけ、海に住んでいる魚人に絶対に 魚 と言ってはいけません。それをもし言ってしまった場合戦争になります」


「本当⁈」

「はい、本当です今から100年ほど前実際に戦争が起きました。その時はその当時、魚 と言ってしまった王子の首で解決しました。」


「わ、わかった言わない。」


「大丈夫です魚人は主に海の中央付近の水深50Mに住んでいます、日常生活では会うことはないです、たまに王宮に人型になり出入りしていますが。普通に接していれば問題ありません、お魚も食べますし」


「そ、そうなの、じゃぁ俺も会っていたかもしれないか」


 ●


「将希、」

「えっ?」

 なんだって呼び捨て?早いな、もう少し手順があるような、無いな。


「ここでもし殿やら様と呼んだら怪しまれたます」

「そ、そうなら良いけど」


 急にそう言うのやめて、ドキッってくる。文字通り。そう言う不意に見せる無防備なのが世の男達を死の淵に追い込むんだよね、わかって欲しい。切実に。


「では今日の買い出しは主に野菜とお肉ですね、将希への説明もしないといけないので時間がかかるので野菜からですね、まずは手前から行きますね」


 クマリアは一歩先に歩き出す、それを慎ましく二歩後ろをピッタリと浮いて歩く将希。


「これはアンガスロと言う、オールラウンダーな野菜です。煮物、漬物、焼き物、合わないものはありません、味的にはほんのり甘味があり、出汁なども良く吸い、他の食材の邪魔をしませんが香りが立ちます。」


 少し縦長の大根に近い色をした緑色の野菜、クマリアはそれを指差し説明する。


「俺の世界の大根っていうのに近いな、これってどうやって食べるんだ?」


「一部地方では保存が効くので冬の年越し野菜として、重宝されています。私はいつも、ブロリアの肉と煮て、肉大根として出しています。」


 大根だな、年越し野菜、つまりたくあん?みたいな物も、鳥大根、まぁ、美味いけど。そんなことを考えいる将希だだかクマリアはすでに店主からアンガスロを5本買って荷車のカゴに乗せている。


「次はこちら、葉物ですね、マクシル、ですね、これもオールラウンダーな野菜です、すぐ痛むので大量には買えませんが、ダブルファンクのお肉と一緒に煮込むと脂の味が沁みて美味しいです。ダブルファンクの実物はお肉の方にあるので後で、見ましょう。」


「そう、わかった」


「マクシル2球」

「あいよ、400マキシアだ」


 クマリアは袋から硬貨みたいなものを4枚店主に渡す。


「丁度だ、持ってけ、おっと、一つ負けとくぜ、若い嬢ちゃんは歓迎だ、俺も良く女王様には世話になってるしな、がはは!」


 イノシシに近いのかな。えっ?いいのバレてるけど、隠してたんじゃないの?

 将希の心の疑問を無視し、クマリアはマクシル3玉、カゴに詰める。


「早く持っていってください」

「あ、はい。でも良いんですかバレてますけど」

「あの人は大丈夫ですいつも私のところに野菜を御てくれますので。」

「そ。そうなの」

「それよりも早く動いてください、買い出しが終わりません。」


 クマリアに急かされ、重みが増した荷車をゆっくりと引っ張る、


「次はこれです、ハートの実、形は文字通りハート型でカップルが2人でひとつ食べ切ると別れることが無いと言い伝えられています。まぁ、迷信ですけど、実際に食べて別れたカップルも居ます。味はカップルの甘々な感じそのままに甘いです、しっとりとするような甘みが鼻に香ります。」


「なんか嫌なことを聞いてしまった。別れるんだな、まぁ、そりゃ迷信だもんね、そんな美味い話ないか、」


「ええ。そんな美味い話はありません、迷信繋がりで他にもスターの実があります」


 なんかオチが読めるぞ。


「食べたらスターになるってか?でも食べてもスターになれない」


 ここまでくるとオチが読めるように。


「大体はそうですが、昔は一年に10個も発見されることがなく、発見した者は実際にスターになっていましたね、その地域のみですが、しかしここ最近は栽培技術の向上でスターの実は大量生産出来ていますのでありがたみは薄れましたね。」


「思ってたのと違ったな、」


 大量生産なんだろうこの言葉の軽みは……


「はい、そうなんです過去には将希と同じような異世界からの旅人はいました、その人達により異世界の技術が持ち込まれ、栽培技術が広まりました。」


「過去にも俺と似たようなことがあったってことか、俺は覚えてないんだよなどうやってここに来たか全くって言って良いほどに、気づいたら女王の前に居た、それでなんでか知らないけどトントン拍子に宮廷料理人とか言うわけわからんことをやらされ今ここにいる。」


「将希もまた、数奇な運命に翻弄された1人なんですね、」


「そうだな、」


「さぁ!暗い雰囲気になってしまったので、少し気分を上げましょう、」


 クマリアはそう声を張る、そうだな、どの道帰れないしな。変える方法なんてないんだろうな、あはは、はぁ。


「次はこちら、商人が絶対に買わない物がありますそれは シニイソギ です」


「死に急ぎ?なんだそれ」


 スッゲー怖そうな奴だな シニイソギ 名前からして誰も買わないなそんなの、縁起悪すぎる。


「文字通りです磯に4本2列で生えています、なのでシ ニ 磯木、味は絶品で沿岸部の漁師はこれを生でフルーツのようにして食べています、美味しかったですよ甘くてほんのり酸味があり、」


「なんだよギャグかよ シニイソギ、」


「他にも一つの木に必ず9個の実が付くので。苦労の実と呼ばれる物もあります。

 あとはどうやって実ができるのか謎な神隠しと呼ばれる果実があります、それは実が出来るまで生えていることすらわからない、そして実ができたら2日で枯れる幻の実です。この30年、発見の報告はありませんが味は絶品と言い伝えられています、」


「なんか全部縁起悪くねえか?もっと良いのは無いのかよ。ラッキーの実とか、そんなのは無いのか」


「探せばあるかと」

「淡白だな」

「そんな事気にせず先に行きましょう。買い出しが終わりません」


 クマリアは思い出したかのように歩きますがふと止まり振り返る。


「将希、女王様に出す料理は全て加熱してください、野菜は諦めていますが、将希様がいらした世界とはこの世界は違います、いまだに病原菌が流行り、貧民街では蔓延して。子供お年寄りが簡単に死にます。蛇口を撚れば水が出てくることなんてありません」


「ん、あぁ、わかった、それは?ちょっと待て、なんで俺の世界の情報を知ってるわけだ?クマリア」


 なんでクマリアが俺の世界の話を知ってんだ蛇口撚れば水が永遠に出るなんて、なんか嫌な予感がする、そういう時はよく当たる。


「それは。内緒です、その時が来たらお話しします。必ず」


 クマリアはそれ以上の事を話す気はないようだ。しかし「時が来れば必ず」と一言確信をもって言う。


 なんか嫌な予感がするぞ

 なんか嫌な予感がするぞ

 なんか嫌な予感がするぞ


「わかった今は聞かないその時が来たら話してくれるんだろうな」


「はい。必ず」


 クマリア何事もなかったように力強く歩き出す。


「次はお肉ですね、お肉はちゃんと見極めないと当たります。特に市場産が当たるのことが多いので今日は偵察だけですね、王城には専属の冒険者が持って来るのでそれで賄ってます。」


 ほんのりと肉の焦げた香りが漂う。



所々・・・と……が混在しています、順次修正します

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ