冒険者ギルドへ
「おいおい、大ニュースだぞ、ゼッド!教会が正式に発表したんだ!邪神復活!ってな!」
「バウ!バウ!」
「ふーん、、、」
俺は傭兵ギルドにて、仕事で愛用している大量生産品の中でも最も一般的な両手剣を砥石で研ぎながらマルチェロの話を聞き流していた。
「しかも、ここ、ミューズリース王国で復活したらしくてな!勇者やら聖女やらが討伐だの封印だのしに来るって話だ。」
「バウバウ!」
「ほーん、、、勇者に、聖女ねぇ。見えもしない神様探すのにご苦労なこった。」
実は俺は見えるけど、無かった事にしようとしている。
「ゼッドも得意の魔法で勇者パーティに参加したらどうだ??」
「おい、あんま俺が魔法使えるとか言いふらすなよ、、、貴族に目をつけられたりしたら面倒だ。」
「そんな暇してる有能なお前らに仕事を持ってきてやったぞ〜。」
アスゲルト中隊長だ。
手に依頼書の紙束を抱えている。
マルチェロが依頼書をめくって読み上げる。
「どれどれ?『家畜を襲う謎の動物を討伐』、『要人のSP(容姿端麗な騎士求む)』、『国費を横領した文官の家での強制捜査』、うん、最後の仕事が良いな。」
マルチェロは強制捜査の依頼を希望した。
「それについては人選は決まってる。ビーズ突撃隊長!前へ!」
「バウ!」
テクテクと尻尾をフリフリ、ルンルンな足取りでアスゲルト隊長の前でお座りするビーズ。
「ビーズ、、、最近知らないところでアスゲルト中隊長に餌付けされたりしてないよな?」
ビーズがすっとぼけた顔してこっちを振り向いた。
ば、バカにしてやがる、、、
「まぁ、強制捜査は昼過ぎには終わる予定だから安心しろ。終わったら直ぐにビーズは解放する。ゼッド、お前は冒険者ギルドに顔を出して、襲われた家畜の所有者の依頼を傭兵ギルド名義で受注しろ。マルチェロは、、、やんごとなきお子ちゃまのお守りだ。」
「マジっすか。」
見るからに落ち込むマルチェロ。
まぁ、お前無駄に顔だけは良いからな。
顔だけは。
しかも何気に貴族の三男坊だしな。
貧乏貴族だけど。
程なくして俺は冒険者ギルドの受付に顔を出した。
「傭兵ギルドのゼッドだ。依頼の手続き頼む。」
「かしこまりました。冒険者カードを提出願います。」
冒険者達と軽く会釈を交わしていると声をかけてくる女がいた。
「アンタ?ソロの冒険者かい?」
「違うな。冒険者カードは持ってるが、傭兵ギルドの所属だ。パーティメンバーにはなれない。斡旋された仕事の受注に来ただけだ。」
「あぁ、『羊殺しの顎』の件か。」
「情報は買わないぞ。」
予めそう言うと女は苦笑いした。
「別に金取ったりはしないよ。ただあの依頼は変なんだ。今まで受けた誰もが完了した事が無いからね。」
「なんでだ?」
「獣の足跡なんて無かったからだよ。姿も見せないからね。」
女はそう言うと立ち去った。
なかなか聞くだけだとよく分からない。
依頼者の牧場に行くしかないだろう。
「す、すみません、ゼッド様!」
「ん?どうした?」
受付嬢が慌てた様子で俺を呼んだ。
「最近、精霊や不思議な存在に出逢ったりしましたか?ステータスも軒並み上がっていて、名前の分からない加護が付いているんですが、、、」
どう考えてもあいつだな。
亜神だか邪神だか。。。
「身に覚えはない。」
「そ、そうですか。依頼者の牧場はこの位置です。」
「終わったらまた来る。」
冒険者カードを受け取ると、ギルドマスターらしき男が見つめていたが、知らぬフリをして冒険者ギルドを出た。




