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『豹拳』のルシア

領主フェスタの依頼を受けて、遺跡都市のダンジョンに入った俺たちは、古文書盗賊団の一味に取り囲まれていた。


「ぐひゃへへへ!!何しに来やがった!傭兵!!」

「この数相手に、やれるとでもブフゥ!!??」


俺が投げた石で盗賊の顎が吹き飛び、血を吹き出しながら倒れた。


「て、てんめぇ!?やりやがっ?あれ?腕が無い。」


「遅い。」


盗賊達はショカ・ジンの剣技でバラバラにされていた。


「「「ぎゃぁああああ!!!」」」


「ふん!」

「オゴッ!!??」「ハベッ!?」「フギャッ!?」


俺が軽くジャブを入れると血反吐を吐いて盗賊は倒れた。


ウィンドホーンで『身体強化』の修行をした俺は正直言ってその辺の賊は素手で全滅させられる相手だった。


「てんめー!!舐めやがって!これでも喰らえや!」


体格の良い盗賊が背後から俺の頭にツルハシを振るったが、小手で軽く受け止めた。


今の俺には痛くも痒くも無い。


「?どうした?力、入ってるか?」

「ふんぎぎぎぎぎ!このっ!!」

「どれ、手伝ってやろう。」


片方の手で賊の手首を軽く掴むとボギッと嫌な音を出して折れた。


「うぎゃあああ!?!?いでぇぇええ!」


転がり呻き苦しむ盗賊。


「そこに倒れている冒険者はさっきお前が殺したな?ツルハシで何度も潰した跡がある。お前の頭もそうしてやろう。」


頭を掴み持ち上げると命乞いを始めた。


「いやっ!やめでっ!なんでもしまずっ!!お願いだからっ!!」


「ほーう?それで?ならばジャジャ・ホセはどこにいる?死者の書はどこだ?」


一瞬躊躇ったがすぐに白状した。


「じ、、ジャジャ・ホセならダンジョンの14階層の、、、か、、隠し部屋だッッッ!」


「・・・ほぅ」


俺が少し考え込むと盗賊は隙と見て反撃してきた。


「へへへ・・・だりゃっ!!」


隠し持っていた短剣が腹に迫るが俺は片手で捻り返して突き刺した。


「いっ!?」「あばよ」


ゴシャッ!!


頭を掴む手に力を入れると盗賊は苦しげな表情を浮かべて、間も無く首から上は吹き飛んだ。


血飛沫一つ浴びずに戻ったショカ・ジンは俺の闘いぶりを皮肉った。


「ゼッド、素手でも危なげないな。傭兵ギルドの経費削減の為にカラ・ディでも習ったらどうだ?」


「私に『鉄拳のフェスタ』みたいになれって?残念ながら、そんな時間はありませんし、剣技には思い入れがありますので。」


ロゼッタはしゃがみ込み、冒険者の遺体に祈りを捧げていた。


「神の慈悲によりて御許へと帰れ」


(あり、、がとう、、、)


霊が暖かい光に包まれて昇天した。


(あーもう、、、あの娘がなりふり構わず浄化するもんじゃからゼーレ坊が稼いだ魂魄を回収出来んかったぞい。)

(良いじゃないか。俺が死霊魔導士(ネクロマンサー)とバレないだけありがたい。それに死者は安らかに逝ける。)


「冒険者の遺留品に使えそうな物は?」

「ゼッドが使うにはどれも小ぶりだな。ショートソードばかりだ。」

「無いよりはマシか。」


すぐに折れるな、これ。


「バウッ!!」


先に偵察に出していたビーズが戻った。


「!戻ったか、ビーズ!何があったか教えてくれ!」


ビーズは利口な犬だ。


敵、味方、戦闘、死体、食糧、水、宝、など簡単な合図で色々と教えてくれる。


「長官、どうやらこの先で誰かが争っているようです。」

「分かった。すぐに向かおう。ロゼッタ嬢、警戒しつつ、離れないように。」

「わ、分かりました。」


〜〜〜〜〜


「フゥゥラァァァァァ!!オラララララッッッ!!」


「「「わぎゃあああああ!!??」」」


動き易さを通り越して、色々と隠せていないきわど過ぎる紐のような服に、主張し過ぎの胸部、金と黒の混じったショートヘアー、軽やかなステップと高速の剛力拳で賊を吹き飛ばす女豹、、それが


「オラァ!フェスタ師匠を襲った奴ぁどいつだぁ!!このカラ・ディ・ベテラン『豹拳のルシア』が直々にぶっ殺してやるから前に出ろやぁ!!」


マギキャ・エル・クラシコの若きカラ・ディ少女、ルシアだ。


「んだとゴラァ!?ひん剥いてアンアン言わせてやんよ!」

「強気だなぁ!!後で分かってんだろうなぁ!?」

「うひょー!!良い女じゃねぇか!」


彼女の煽りに耐えれない賊が物陰から飛び出してきた。


「おいおい、アレがフェスタが言ってた弟子か、、、、」

「凄いな。どっちが賊か分からん。」

「き、筋肉痴女がいるですぅ、、、」

「クゥーン?」


「コォォォオオ!!」


ルシアがカラ・ディ独特の構えを取ると、呼吸で周囲の空気が渦を巻き始めた。


(驚いた!これがカラ・ディの技か!)

(そうじゃよ。周りの空気が歪む程の『イブキ』で練り上げられた身体強化、圧縮された『魔気』、そして『属性魔力』。あの女子の属性は多分。。。)


「カアアアァァァァッッッッ!!!」


ドガガガガガッッッ!!!


ルシアの掛け声とともに、遺跡の岩壁が砕け、四肢が千切れて、血と臓物が舞い散る、斬撃のような高速拳。単純な剛力。


(『無』、、、か。)


そして『無属性魔法』。


「ば・・・化け物・・・」

「ゴフッ、、ガハッ、、、」


死屍累々とはこの事だ。


「ぬぁーっハッハッハッハッ!!盗賊敗れたり!圧倒的大勝利ィ!!ぬぁーっハッハッハ!!ん?あれ?」


「おい、残りはもう逃げたぞ」


「!?何奴!!」


ブゥン!と振るわれた拳を、俺は『無属性魔法』を付与した掌で受け止めた。


バシッ!!


(イテェ、、、)

(ゼーレ坊、カッコつけおってからに、アホじゃな。)

(うるせっ!)


「ほお?殺す気で殴ったんだがなぁ?」


「そうかよ。俺達は傭兵ギルドの者だ。アンタの師匠に頼まれてきたんだよ。迷子が居るって聞いてたからよ。」


ペロリと舌舐めずりしたルシアがパンッ!!と拳と手を打ち合わせる。


「知るかボケ。オメーらが傭兵ギルドだなんて、ダンジョンでどうやって証明すんだよっ!」


「だから、ギルドカード、、、」


ルシアが拳を振り上げる。


「知らね、つってんだ、、よ!!!」


ドゴォン!!!


遺跡の床が砕け散った。


「あたしを納得させたきゃ、拳で語ってこいよ!!!」


死んだ賊の亡霊ですらルシアの闘気に怯えていた。


「何なんですかこの人ぉ!?」


ロゼッタは聖杖を握って震えていた。


「分からずやだなお嬢さん。ゼッド、お前が相手しろ。」


「了解」


ショカ・ジンに言われるまでもない。


ジャジャ・ホセを討伐するより、こっちの方が難しそうだ。


しかも面白い。。。


(いや〜。昔のフェスタより強いのう。。。)

(・・・・・それ本当か爺?)

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