定番の魔物とリースベイン混成討伐隊
「バウッ!バウッ!!」
「ひぇええぇ!!!」
「落ち付けタイケン。死体は初めて見るのか?」
「い、いえ。けど、ゼッド、、、こりゃ惨い、、、おえっ!」
夜の巡視を開始してからすぐに俺と爺は沢山の未練ある霊魂を回収していた。
使役契約には色々とあるが、最も一般的な契約が手段問わずの復讐の約束だ。
失敗すれば契約が解除されるだけの比較的簡単と呼ばれる死霊使役だが、精霊に嘘がバレたり約束を破り過ぎると、あとあと噂を聞いた精霊にごねられたりして契約しずらくなるリスクがある。
既に契約は結んでしまったが、果たされる可能性は高い。
国境警備を脅かしている魔物なのだから。
導かれた藪の中で遺体を見つけると、霊は安堵の表情を見せて消えた。
「ホブ・ゴブリンの集落がある。まだ何人かが捕らえられているはずだ。足跡を見ろ。」
「確かに、裸足の足跡が、ゴブリンのか。。。小さい足跡もあるけど、この遺体は成人だ。ゼッド!!」
「大丈夫だ。ビーズが臭いを覚えてる。証拠の遺留品と遺体の一部を持ち帰るぞ。奴らの巣は必ず見つけ出せる。」
「バウッ!!」
巡視を終えた俺達はアスゲルト中隊長に報告した。
ホブ・ゴブリンどもは巡視経路を監視しており、女子供を攫って男は殺し、犯行後は越境して手出しが出来ないように狡猾に動いていたのだ。
こうして国境ならではの弱点を突かれた形となった訳だ。
「確かに、被害に遭った商人の持ち物だ。家族が探しているに違いない。」
沈痛な面持ちを見せると、檜のおが屑が入った木箱に遺留品と遺体の一部を仕舞った。
「すぐにでも討伐隊を組む。冒険者ギルドに応援を頼む暇はない。これが表沙汰になれば我々ミューズリース王国とエクラベイン共和国にとって恥ずべき事態となるだろう。」
俺とタイケン、他の傭兵達も頷くしかなかった。
皆、卑劣な魔物に対する怒りで剣の柄を握りたくて仕方がないだろう。
誰もが真剣な面持ちだ。
「今回は両国の中隊長同士の正式な合意を得て、合同で緊急の討伐隊を組む事になった。理由は甚大な被害が領土を跨っていて、相互に連携しなければ解決にならない事が判明したからだ。これより、我らは葉冠混成討伐隊を組む!邪悪な小鬼どもを血祭りにあげてやる!我々の怒りを見せてやれ!!」
「「「うぉぉおおお!!!」」」
剣と盾が打ち鳴らされ、両国の傭兵や騎士が鬨の声を上げた。
(ゼーレ坊、気をつけるのじゃ。亡霊どもの言っておった上位ゴブリンは、賊を壊滅させて装備を奪っておる。)
ホブ・ゴブリンは人間の体格に近い為、人間と同じ装備を着用出来る。
つまり危険度が通常より高い。
国境で暗躍していた盗賊一派はどうやらゴブリンの群れに壊滅させられ、命乞いした一部の盗賊がゴブリンに入れ知恵しているという。
(ふむ、それで?例の紅一点を見つければ良いのか?)
(『銀狐』とかいう女盗賊か?生きとるのかのう??ゴブリンどもが女に何をするのか、分からん訳ではないじゃろ?ゼーレ坊。)
(それでも彼女を救うよう頼まれただろ。使役契約は出来るだけ守らないと。)
俺の目標は、盗賊団の頭目で女盗賊の『銀狐』ヴィレミナの救出だ。




