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「地下墓地の動物園」 静脈

作者: 黒実 音子
掲載日:2020/07/26

黒い海底にいる静脈(ベノーサ)達は、静かに呼吸を続ける。

この歳経た石の様な古い貝達は、

時に別の腹足類を襲って食すのだ。


彼らは、主(しゅ)の僕の・・

スペイン人達の断食(イエイウニア)などには興味が無い。

ただひたすら、その殻口の中に身を潜め、

「ウビ サント」「ヴァド モリ」

とつぶやきながら魂を血に変える。


キリストが十字架に架けられた様に、

彼らは螺塔に縛られて生きる。


黒い血を吐く病人の業の様に

彼らは命(デトリタス)を蝕む。


ああ、海は喪服であり、

貝は峻厳な葬儀屋だ。


海で溺れ死んだ哀れな者の遺骸(カルネ)は、

この無数の無言の静脈達に啄まれ、眠りにつく。

おお!!死人の孤独な魂よ!!

この世の全ての者が辿るべき道へ行け!!


大地の泥、腐敗の塊、罪の泥血に住む[苦痛(ベン)の子(ノニ)]らよ。


それでも、紫の静脈達は、

外套膜の中で神を感じるのか?

暗闇の海底を進み、臨在の幕屋を目指すのか?

我々の様に。

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