第3話 新鋭空母の合流
どもども、クラウスです。
久々に外伝を更新です。
別に本編が詰まった訳ではありません。
来週には、本編の次話投稿も行う予定です。
それでは、外伝第4話、スタートです。
2068年3月26日
大ユーラシア連邦から3発の核ミサイルが運び出されてから約2ヶ月が経った。
大ユーラシア連邦の首都であるモスクワに、帝国政府は事実確認をしたものの期待した成果は得られず、逆に敵愾心を煽る事とになってしまった。
同盟国である東ロシア共和国・台湾の情報網でも確かな情報は得られず、この2ヶ月間は緊張感に満ちた2ヶ月であった。
アジア大同盟を結んでいる3カ国に対しても事実確認を一応は行ったが、当然と言うべきか…帝国を目の敵にしている3カ国が好意的な回答をする筈も無かった。
−−− 大日本帝国首都 東京 −−−
『それで…?続けてくれたまえ』
『はっ、はい。えぇ〜我々は今後、日本海の警備…特に「月光島」の防備を強化するとともに、新たに慣熟訓練中の第11機動艦隊を日本海側に回航したいと考えております』
『ふむ…しかし台湾は我が国の機動艦隊を、東シナ海にも展開して欲しいと言っていたが…どうするのだね?』
『無論、機動艦隊を配備します。台湾との関係にヒビが入るのは、我が国にとって大きな痛手となります』
『ではどうするのだね?南北太平洋に配備している第3、5機動艦隊は、米国への牽制の為に必要なのだろ?東南アジアに配備している第6方面艦隊も動かせん…インドネシア・フィリピンの両国からの要請でな…』
『手は打ってあります。ドイツに派遣していた2個機動艦隊の内の一方を呼び戻します』
『どちらをだね?やはり…第1機動艦隊かね?』
『いえ…第1機動艦隊は我が国が誇る最強の機動艦隊であり、大ユーラシア連邦を牽制する切り札です。彼の艦隊がドイツにいるからこそ彼の国に圧力を掛ける事になります』
『では戻すのは…』
『はい。第8機動艦隊です』
『あの「バケモノ航空戦艦」の配備された艦隊か…』
『問題は、無い…と考えております。それに、第7機動艦隊・第9機動艦隊の両艦隊は横須賀・呉の両母港で整備中で動かせません』
『仕方が無いか…分かった。陛下へは、私から奏上しておこう』
『頼みます、結城総理』
『うむ…任せておけ、平塚君…』
大日本帝国政府は、アジア大同盟側の武力を背後にチラつかせた度重なる牽制・圧力に対して、盟友ドイツに長駆派遣されていた2個機動艦隊の内の片方を、本国へ帰還させる事を決定した。
当時の海軍大臣を務めていた不破良之助大将は、このドイツ派遣艦隊の本土への帰還について相当悩んだようだが、最近のアジア大同盟の帝国に対する圧力の増加を受けて、片方の帰還を決断したのであった。
だが…
『所で不破君…例の空母の完成は何時になりますか?』
『あぁ…「神武」級核融合炉搭載空母ですね?恐らく後1ヶ月もかからない筈ですが…?』
『あの4隻をどの艦隊に配備するつもりかね?』
『予定では、新たに第4機動艦隊を復活させるつもりです…』
『そうか…楽しみだな、不破君』
『えぇ…まったくです、総理』
ーーー 日本海 第2機動艦隊旗艦原子力空母『土佐』 −−−
『それで…陸の連中は、どうするつもりなの?』
『やはり、ドイツから第8機動艦隊を呼び戻すようです…』
『…妥当な判断ね』
『それと…』
『うん?どうかしたの命?』
『…例の新型空母ですが…』
『やはり第4機動艦隊を復活させるのかしら?』
『さすが雨宮様…そこまでお見通しでしたか』
『予想はつく…陸の連中の考える事なんかね』
『ですが…事はそう簡単には進まないようです』
『やはり人員不足かしら?』
『はい…第4機動艦隊を復活させるとして、中核となる4隻の空母を含んだ全艦艇数は、我が第2機動艦隊と同等の数になるでしょう』
『我が艦隊は、4隻の空母を中核とした74隻の大艦隊。同規模の艦隊になると見込めば最低でも4万6千〜5万の兵員が必要ね…』
『まず間違いなく兵員不足に陥ります』
『…命、一つ頼まれてくれる?』
『連合艦隊司令長官の金城誠大将に…ですか?』
『えぇ…』
『新たに完成する空母の内の何隻かを、我が第2機動艦隊に配備して欲しい…と?』
『そうね…ついでに今建造中の「66艦隊計画」艦の配備も申請して…』
『直接大臣に仰った方が、良いのでは?』
『あなたも分かっているでしょう?』
『ふふふっ。そうでしたね、雨宮様。しっかりやっておきます』
『頼むわね』
『お任せ下さい』
それから1ヶ月後……
日本海に浮かぶ「月光島」の軍港に、2隻の『神武』級空母とそれを護衛する2隻の新鋭イージス重巡洋艦と24隻の護衛艦の計28隻が回航された。
海軍中央で計画された第4機動艦隊の復活は、第2機動艦隊を始めとする「現場組」と、新兵を鍛える訓練艦隊の「裏方組」…更に身内の海軍首脳部内でも反対が起こり、第4機動艦隊復活は中止された。
今「月光島」へ回航されたこの28隻の艦隊は、日本海の海上防衛を担っていた第2機動艦隊に配備され、国土防衛の最前線に立つ事になるのである。
『神武』級イージス原子力(核融合炉)空母
全長:452m 水線幅:51.8m 飛行甲板:長さ449.86m×幅53.64m
基準排水量:13万9700トン 満水排水量:15万6800トン
武装:55口径12.7cm単装速射砲4基4門、65口径20mmCIWS6基6門、「スカイ・キラー」二十三連装艦対空迎撃ミサイル発射管15基345門(発)、「ブルー・スピアー」十二連装対潜魚雷発射管2基24門(発)、「レッドアロー」八連装艦対艦ミサイル発射管2基16門(発)
搭載機:SSF−1000「麒麟」戦闘攻撃機×96機(捕用4機)、SA−1001「零光」攻撃機×48機(捕用4機)、SF−292「フルクレール」支援戦闘機×16機(捕用4機)、OH−66「オーシャン」多目的ヘリ×4機
この新鋭空母は、帝国の持つ最新技術の結集体とも言える最新空母で、機関に世界で最初の艦船搭載なった核融合炉「天海」を搭載し、イージスシステム・防空火器・各種特殊兵装等全てを最新の物であった。
唯一の泣き所は、艦載機の質と乗員の練度であった。
艦事態が完成から1週間も経たない内に、満足な慣熟訓練をやらない内に日本海へ回航された為に、いくら乗員が訓練艦隊で訓練をしたからといって、すぐさま実戦投入出来る訳では無かった。
また、艦載機の質も第2機動艦隊やドイツに派遣されている第1機動艦隊に比べて1段階劣る機体ばかりであり、その点も不満が残る形であった。
そういった不満が残る形で、『神武』級原子力空母の1番艦『神武』・2番艦『天武』の2隻は、第2機動艦隊へと組み込まれたのであった。
『なるほどね…お前が怒る理由が分かったよ』
『さすが真田君。雨宮様の怒りを静められるのは、真田君以外おられません』
『命…怒るわよ!』
『香織…すでに怒ってるよ(汗)』
『あっ、雨宮様…(泣き)』
第2機動艦隊旗艦『土佐』の長官室では、艦隊司令の雨宮香織大将(2日前に昇格)と主席参謀兼司令長官主任補佐の羽柴命少将(同じく2日前に昇格)、さらに第2機動艦隊第1戦隊の空母戦闘機隊戦闘総隊長の真田悠里中佐の3名が、部屋の真ん中に位置する大きめのソファーに腰を降ろして話をしていた。
内容は…勿論新たに編入された2隻の空母を含む艦艇の事である。
『まぁ…香織の言う事も分からんではないよなぁ〜』
『そうですよね〜』
『せめてSA−1001じゃなくて、FA−2000「スプリッター」を配備して欲しかったな…』
『あの…真田君。それは現在軍が開発している新鋭機…』
『そうだっけ?でももう第5機動艦隊には、先行増加試作機が配備されてるらしいじゃないですか』
『どこでその情報を手に入れたのよ…』
『企業秘密』
『はぁ…』
…どうやら第2機動艦隊のブレーンは、戦時中じゃなくても多忙なようだ。
第2機動艦隊に組み込まれた28隻の艦艇は、即日訓練を開始して練度の向上を図った。
アジアに、再び血が流れる事になる「東洋戦争」が起こるちょうど4か月前の事であった。
如何でしたでしょうか?
次回の投稿が何時になるかは、残念ながら未定です。
本編優先で行きますので、そこのところご了承ください。
それでは。