第十話 レイド刀 破邪乱舞魔滅斬!
適性者配達人の白神君の回です。
白神は、藤原達 三人を避難所に送り、ホッとしていた。
何故か後楽園の近くの川沿いで助けた女性から、
「落ち着いたらしっかりとお礼がしたいですからっ!」
と、強烈に連絡先の交換を求められ、
「いや、気にしなくて良いですよ。こんな時で仕方無いですから……」
と、白神が断ろうとしても、
「いえ!是非!どうしてもお願いします!このままお別れなんて……」
と、最後には泣かれてしまい、仕方無しに一応 連絡先を交換したと言う、白神には少し面倒だった事も起きていた。
連絡先を交換した後、図書怪人だった中年男性から、「罪作りやのぅ……」と言われた白神だが、何の事か解らずに、キョトンとしてしまう。
三人を送ってからの帰り道、白神は魔族のパトロールをしながら帰っている。
すると、キョロキョロと何かを探す様に、避難所方面に集団で向かう、魔族の群れを発見した。
真っ黒い鬼達の中には、真っ白い怪人も一体 行動を共にしている。
鬼達のリーダーと思われる鬼の手には、【化身帯】と思われる【変化帯】と、【変化札】が、握られている。
「【化身帯】と【変化札】を手に入れるチャンスだ!」
と、腰に【魔神帯】を巻いて、【変化札】を挿す。
「化身!」
バックルが輝く。
《マスカレイド ウラ ケンオウ》
白い半面の【犬王モード】だ。
「浄化の終わったアレを試してみるか!?」
と、ベルトの横に着いているカードホルダーから、【刀 備前刀 数打ち】を取り出し、バックル右側のスロットに挿し込む。
《レイド カタナ》
バックルの【刀 備前刀 数打ち】の【変化札】から、備前刀の幻影が現れ、その幻影は刃が一本角の様に付いた半面に形を変える。
そして、更に肩当てに形態を変え、右肩に着いた。
【マスカレイド 温羅 レイド 刀】モードだ。
【レイド 刀】モードでは、破邪牙斬刀が少し大きくなっている。
重さが変わった感じはしないが、刃の部分が全体的に大きくなり、特に長さが1.5倍には、伸びていた。
「攻撃力強化に特化した【変化札】だったんだな。当然だろうけどね。これで防御力アップとかしてたら笑えたし……」
と、呟く温羅。
左掌を半面に持って行き、右手の人差し指で鬼や怪人を指差して
「面の裏の怒りを受けてみろ!」
と、温羅が叫ぶ。
そのまま鬼達に走って行き、鬼達を斬り伏せる。
「おりゃ!それっ!」
刀身が伸びて、攻撃が当たりやすい。
「広い場所で戦うには、効果的なモードだな」
「よっ!それっ!」
次々と鬼達を討伐する温羅。
「よいしょっ!」
物陰の鬼も突き刺して倒す。
「でも、このモードは、狭い所で戦うのには不向きだな……」
と、温羅が呟く。
すると、それに呼応する様に、刀身がいつもより短く変化する。
「マジかっ!?このモードだと、短くも出来るんだな」
街路樹の多い所だったので、この変化には助かった白神。
白神の強さに、【化身帯】と【変化札】を持って逃げる鬼達のリーダー。
「逃さん!」
破邪牙斬刀の長さを、また通常の1.5倍の長さに変えて、逃げる鬼に投げる。
軽々と突き刺さり、鬼は霧散していく。
白神は破邪牙斬刀を拾い上げ、後はお前だけだな。
と、刃先を素麺怪人に向ける。
そして、バックルの右側のスロットに挿さっている【刀 備前刀 数打ち】の【変化札】を抜いて、破邪牙斬刀の鍔の辺りのカードスラッシュにカードを通す。
《レイド カタナ》
刃が一本角の様になった半面の幻影が、【犬王】の半面に重なる様に浮かぶ。
破邪牙斬刀は、
バチバチバチバチバチ
と、電気の様な光を多数 浮かべている。
「強化されたのを喰らえ!」
「破邪乱舞魔滅斬!」
舞う様に、怪人を乱れ斬る温羅
怪人が膝を突いて倒れると、男性の姿に変わった。
「大丈夫ですか!?」
男性に声を掛ける。
「うっ!?元に?元に戻れた?」
混乱している男性。
「はい。良かったですね」
と、白神。
「移動しながら説明しますから、取り敢えず避難所に行きましょう」
そう言いながら、下位の【変化札】の【麺 素麺】と、中位の【変化札】の【鉛兎】を拾ってカードホルダーに入れる。
そして、やっと手に入れた中位の【化身帯】も拾ってポケットに入れる。
「さあ、避難所に行きましょうか?」
来た道を戻り、男性を避難所に送って、またパトロールしながら、吉備津神社の隠れ神社に向かう。
もう少しで隠れ神社という所で、道の陰に座り込んでいる男を見付けた。
「どうしましたか?」
鬼に襲われてケガをしているのかも知れないと、声を掛けてみる白神。
「ん?君は?」
警察署から避難所に向かっていた左京だ。
「鬼に襲われたのかも思って声を掛けたんです。そうなら安全な場所に案内しますよ」
と、左京に伝える白神。
「あ、ありがとう。頼むよ」
と、素直に応じる左京。
「じゃあ、こっちです」
隠れ神社に進む白神。
「えっ!?」
突然 目の前で消えた白神に驚く左京。
そのまま左京は白神の後を追う。
「ここは吉備津彦命の隠れ神社なんです。ここなら鬼は入って来れません」
と、左京に説明する白神。
「ここだったのか!?」
鬼達に追われ、避難所から遠のいたので、聞いていた隠れ神社に行こうとして、左京は見付けられなかったのだ。
「どうしました?」
不思議に思い、左京にたずねる白神。
「私は、岡山県警の警察官です。適性が有り鬼達に追われていました」
と、説明する左京。
「そうだったんですか?大変でしたね」
同情する白神。
「おかえりなさい。戻ってたのね?」
神宝が声を掛ける。
「はい。戻りました。ただいま」
と、挨拶を返す白神。
「あ、どうも。先程 ここ人に助けられて……」
と、説明する左京。
「あ、そうなんですね。いらっしゃい」
優しく言葉を返す神宝。
「そうそう、丁度 三枚の【変化札】の浄化が終わったのよ。中位の【変化札】もね」
と、浄化された【変化札】を差し出しながら、白神に告げる神宝。
「えっ!?本当ですか!?」
それを受け取る白神。
「中位の【変化札】だと!?」
白神の受け取った【変化札】を奪い取る左京。
「いたっ!」
と、痛がる白神。
「あっ!すっ!すまない!」
素直に謝る左京。
「あ、はい。どうしたんですか?そんなに慌てて?」
と、左京に聞く白神。
「私は中位の【化身帯】の適性者なんだ。でも、中位の【変化札】が無くて、化身出来なかったんだ」
と、中位の【変化札】を入手出来て、喜びながら説明する左京。
「そうだったんですね?あ、神宝さん この人は県警の警察官なんだ」
と、神宝に事情を説明する白神。
「それで、どれが中位なんだ!?」
確認する左京。
「これです」
【紺狼】の【変化札】を示す白神。
「これかっ!」
【紺狼】の【変化札】以外を白神に返す左京。
「これっ!貰って行くぞ!」
と、【紺狼】の【変化札】だけを持って、走って行く左京。
「「あっ!」」
そう言った時には、もう神社の結界から出てしまっていた。
「嵐の様な人でしたね……」
と、神宝に言う白神。
それに対して
「本当にそうね」
と返す神宝。
二人共 左京の走って行った方向を、唖然としながら見ていた。
片山 左京さんと“など”の布石を置きました。
今回の布石は、左京さんだけでは有りません。
ふふふ………




