昔々 ある所に……
プロローグです。
これは、遥か昔々の物語。
吉備国と呼ばれる古代日本に存在した国に、温羅と言う鬼の王がおったそうな。
温羅は多数の眷属を従えて、吉備国を支配しておった。
温羅は熊よりも大きな体をしており、大層な怪力だったそうな。
温羅は日本では無い所から来たと言われておる。
その温羅を討とうと、吉備津彦命様が部下を連れて吉備国に来られたそうな。
そして、吉備津彦命様は、矢で温羅を倒そうとされ、左目に矢を受けた温羅は、雉に変化をして逃げるのじゃが、吉備津彦命様も鷹に変化され、それを見た温羅は、鯉に変化をすると、吉備津彦命様は鵜に変化をされて、温羅を捕らえて、討伐されたそうな。
「この怨み幾星霜 千代に八千代に時が経とうとも、必ず蘇り晴らさでおくべきかっ!」
「必ずお前等の子孫を滅ぼしてくれる!」
温羅
そう呼ばれた鬼神が、首を切り落とされて、滅んだのじゃ
切り落とされた鬼神の首は、それでも生気を放っており、時折 目を見開いては唸り声をあげておったのじゃ。
吉備津彦命様は首を犬に喰わせる様に命じるも、骨となった首は、それでも唸り声をあげておったそうな。
そうして、切り落とされた鬼神の首は、吉備津宮、現在の吉備津神社の釜殿の竈の地中深くに埋められたそうな。
それでもその首は十三年の月日、唸り声をあげ続けておったそうな。
その首は、今も深き地の底で、恨みの言葉を吐き続けておるのやも知れんのう……
桃太郎が現代のヒーローとして活躍する話は多いですが、温羅や温羅の子孫がと言うのは少ないみたいなので、ヒーロー化してみようかと……