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続編のない短編達。

第二王女と公爵子息はとても仲が良い婚約者です。

作者: 池中織奈

 サラッコ王国は、大陸の南に位置する大国である。海に面しており、自然豊かな大国である。

 サラッコ王国では、最も有名な男女がいる。

 それは、第二王女、サビーナ・サラッコと公爵子息であるカーク・ジェネラーリである。

 齢五歳にして結ばれた婚約。

 幼いながらの婚約だと、家同士の思惑も絡み、仲が良いとは決していない婚約関係も国内には存在している。

 だというのに、第二王女と公爵子息は仲睦まじい婚約者同士だった。そして、別の意味でも有名だった。

 さて、今宵、王宮では社交界が行われている。

「サビーナ・サラッコ第二王女、カーク・ジェネラーリ公爵子息、入場!!」

 大きな声と共に、二人の男女がその会場の中へと登場する。

 一人は、美しい銀色の髪を後ろで一つに結んだ美しい人。着ている紺色の礼服には、金色の細工が所々に施されている。瞳は紫色。濃い紫の瞳に見つめられれば、吸い込まれるほどに美しい。

 一人は、燃えるような赤色の髪を腰まで伸ばした美しい人。エスコートをしている者の色である銀色のドレスを身に纏っている。スレンダーな体つきを強調させるような銀のドレスはその人に良く似合っている。瞳の色も同じ赤だ。

 その美しい二人に、会場にいた誰もが注目をしていた。

「まぁ、相変わらずお二人は仲がよろしい事」

「なんて麗しい婚約者同士なのかしら」

 そんな声が次々に上がる。

 王族と公爵家に連なるものとして、二人はそれはもう幼いころから注目を浴びていた。見目麗しい二人は、周りの人々に麗しい婚約者同士として認められていた。

 ……ただし、この二人、少しだけ普通と違っている。

 というのも……、

「ふふ、相変わらずサビーナに皆注目してるわね。かっこいいものね」

「カークこそ。相変わらず、誰よりも綺麗だよ」

 ……男性にしか見えない銀髪の美しい人が第二王女であるサビーナ・サラッコで、女性にしか見えない赤髪の美しい人が公爵子息であるカーク・ジェネラーリなのである。



 *


 サビーナ・サラッコとカーク・ジェネラーリは麗しい婚約者同士として有名だ。それも男装と女装を常に社交界の場でしている事でも有名である。口調までそれに似せているため、初対面の人はまず彼らの本当の性別が分からない。

 王妃や公爵家夫人が「似合ってるなら何でもいいのよ」と社交界で男装女装をする事に対して、賛成している。というのもあって彼らがそのようにふるまうのは許されていた。

 ちなみに学園でもこの二人は男装と女装をしている。ただし、授業に関しては本来の性別に基づいた授業を行っているのだ。

 淑女教育の中に混ざる男性姿のサビーナと、戦闘教育に混ざる女装姿のカーク。もう学園の者達は慣れたものであった。


 さて、婚約者同士であるのもあって、この二人は互いの家に泊まりあったりもしている。



「サビーナ、可愛い」

 王城の一室。第二王女であるサビーナ・サラッコの自室には三つの影がある。それはこの部屋の主であるサビーナ・サラッコ、そして婚約者であるカーク・ジェネラーリ、サビーナの侍女の三人である、ちなみに侍女は婚姻前に体の関係を持たないようにな見張りである。

 サビーナの目の前に座っているのは、赤髪の美しい人物――カーク・ジェネラーリだ。ただし、人前に出る時と違って、ウイッグを外して、化粧もしていない。そこいいるのは女装をしていないカークである。

 対して、カークに甘い声を向けられているのは銀髪の美しい人物――サビーナ・サラッコだ。ただし、こちらも人前に出る時とは違って、髪を結んでおらず、ドレスを着ている。そこにいるのは男装していないサビーナである。

「ふふ、カークもかっこいいわ」

 この二人、二人っきりの時は基本的に本来の性別の姿をしている。そして常にイチャイチャしているので、控えている者達はいつも心を無にしているものだ。

「本当に可愛い」

 そう口にしたカークは、サビーナの顎に手をやって、そのまま口づけをする。深い口づけ。

 ただ体の関係は結婚してからしか持つ気はないようなので、侍女は何も言わない。

「もう、カーク、苦しいわ」

 唇を離した後、サビーナが言う。それに対してカークは笑う。

「だってサビーナが可愛いから。―—ああ、もう本当、早く結婚したい」

「私も早く結婚したいわ。それでね、結婚してカークの子を早く生みたいわ」

「ああ、もう本当可愛いっ! サビーナ、そんな可愛い姿、他の男に見せたら駄目だからな?」

「ええ。カークもそんなかっこいい姿、他に見せちゃだめよ?」

「もちろん。大体女装している俺見て、そんな目で見てくる女なんていないしな」

 ……この二人、男装と女装が似合っているからと言う理由でしているのもあるが、互いの「他の異性に可愛い(かっこいい)姿を見せたくない」という言葉があって、男装と女装をしているのもあった。

 要するに言えば、この二人は互いしか見ていないバカップルなのである。

 ―—その仲睦まじい姿を毎回見せられている侍女は二人のすぐ傍で遠い目をしていた。




 ―——第二王女と公爵子息はとても仲が良い婚約者です。

 (男装、女装するのも互い以外がその姿を見ないため。そして二人っきりになると常にイチャイチャしている。そんな婚約者同士なのです)





サビーナ・サラッコ

銀髪に紫の瞳の第二王女。常に男装をしている変わりもの

婚約者の事が大好き。女性としての姿をしていれば男性にもてるだろうが、婚約者以外興味がないので男装している。女装している婚約者をエスコートするには男装姿が丁度良い。魔法の達人。


カーク・ジェネラーリ

赤髪、赤眼の公爵子息。常に女装をしている変わりもの。

婚約者が可愛くて仕方がない。はやく結婚したい。男性としての姿をしていれば女性にもてるだろうが、婚約者以外興味がないし、似合っているからと楽しんで女装をしている。

こんな形をしているが、剣の腕が凄まじく、誰よりも強かったりする。



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