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かの狐、こんと云う

作者: 三角時次
掲載日:2019/01/09

 かの(きつね)はおどけて見せる。

 それも少年に(うたが)うようか、立派な獣耳(けもみみ)と、獣尾(けもしっぽ)。古風の少年を彷彿とさせる彼は、歳相応の声でこう言う。


「やぁ、お嬢様(じょうさま)。あなたのお好きな(けもの)の『こん』だよ。」


 その風貌を見つめた私は、おもむろに普段持ち歩いているA6サイズのスケッチブックと、ボールペンを取り出し、彼の姿を()()めようとした。

 矢先、彼はなかなかに魅力的(みりょくてき)で、悩殺(のうさつ)されるようなポーズを取って見せた。


「おや、僕を(えが)いてくれるのかい?」


 その言葉に釣られ、私は心を無にしてペンを走らせる。

 彼を、狐少年(こん)を、彼の記録を残すために。

 そして彼とまた会えることと信じて。

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