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あらためてスライムをよく見てみる
青くゼリーのような体、自分の膝までの大きさ、うん。
彼はスライムを見て、ふと思った"こいつになら勝てるだろう"と
立ち上がり棒を強く握りしめた
彼の頭の中の段取りによると、このスライムは見た目通りなら動きはそんなに早くないはずだと、そして機敏性もないだろうと
さしずめサンドバッグのような存在だ、彼の奥底にある種の自信がわいてきた
"私の脅威にはならない"
彼の底知れぬ自信はさらに語る
そもそもなぜこのような下等なモンスターに戸惑っていたのかと、彼はだんだんむかむかしてきたようだ
さらに彼の自信は英雄のように語りだす"なぜ私のいく道をこのような存在がさえぎっているのか"と(この場合のこのような存在とは一般的に誰もが勝てる初めの段階のことだ)
このスライムはもしかすると私になら勝てるとでも思っているのかと彼は私こそが世界の頂点に君臨する王だと言わんばかりの態度をスライムに見せる(相手が自分でも勝てそうな相手だと、もはや自分が神であるかのように気が大きくなる性格のようだ)
ここでスライムを見てみる
スライムもなぜかイライラしてるようだ ーなぜだろうー
スライムはこの時このような事を考えていた
彼はこの場所で恋人のスライムを待っていた、この時彼は実にうきうきと、いや!もっというなら晴れ晴れとした面持ちで下心を下半身に隠し待っていたのだ!
彼は一週間ぶりに恋人のスライムと会おうとしていたのだ(ここで一つ言うならスライムにおける一週間とはかなりのものだ!なぜなら周りにいるモンスターはみな自分より強いのだ!ここを一つ考えてみて欲しい。一週間という間に彼らが生きて再開できる可能性は実に低い!)というのもあり、彼は期待と不安の面持ち2つを持って待っていた(下半身の事情により期待の方が大きいのはここでは言わないでおこう)
彼は待っていたのだ!そう、恋人を!
ーしかし不幸なるかな?ー
恋人が遠くから近づいてくるのが見えた
このスライムは生きていたのかと思うよりも下半身が膨らみだす
ーしかし不幸なるかな?ー
もうそこまで恋人のスライムが来たという時に、もう目の前に見えるとなった時に、突然この人間が現れた
木から落ちてきたのだろう、驚いた恋人のスライムは猛スピードで逃げ出した!本能からだ
スライムは弱い、そう弱いんだ!これは彼らスライム全員が生まれた時から心に張り付けておかなければならない問題だ
そう!この世界の誰よりも私達スライムは弱いんだと!
もしこれを忘れたならば彼らの子孫はいなかっただろう
恋人のスライムも生存本能から外敵と判断し逃げたのだ
もうどこに逃げたのかすらわからないほど遠くにいってしまった
ここで一つ振りかえってみよう
そう!このスライムは怒っているのだ
もう少しで草の外れで一つになれたというのに、もう少しで全身に快感と安らぎと神をも感じれたというのに
このスライムは怒っている
彼は自分がスライムであるということをここで忘れた!いや、捨てた!そう!捨てたんだ!
彼はこの人間と勝負を挑もうとしていた
スライムは考えた「こうなったのも全てこいつのせいだ!そもそも我々スライムが一番弱いと誰が決めたのか?私は強い!他が弱いだけだ!私と一緒にするな!」
"2つの怒りがぶつかろうとしていた"