深キョンはオレが守る!
“HairSaloon MAKI”の2階3階はオシャレな女性向けのアパートになっている。
こんなアパート入るのはじめてだ。やましいことがないのに胸がドキドキするぜ。
だがな、どんな困難を乗り越えても深キョンにはオレがついてる!-必ず助けるから!王子様が!
ロンクルでアパートの前に彷徨いていたやつら二人ほどをゆっくりと優しく轢いた。そうしないと跳ねて窓ガラスが割れると厄介だからな。
そうしてカッパにアパートエントランスの入口目の前にロンクルをベタづけさせる。
カッパは念のため留守番だ。
「もし30分以内に帰らなければ任務失敗とみなし、一人で撤退する」
とカッパがカッコつけて言うので
「ばか野郎。2日でも3日でも待ち続けろ!逃げたら絶対枕元にたって必ずたたり殺すからな」
と言っておいたので、彼は我々を信頼して待ち続けてくれるはずだ。
アパートのエントランスには、赤、茶、緑、銀とカラフルな髪の毛のチャラそうな若い男どもが4人うろついていた。なぜ女性向けアパートなのに、若い男のBiterがアパートの前をうろうろしているのだろう。禿げて死ね!
男は死んでも女に寄り付くのか?と思うと悲しくなるが、オレには深キョンがついてる!-必ず助けるから!王子様が!
さっそく常さんが虎徹を振り下ろして、明るい茶髪-死語?-の脳天を割る。
心なしかテンションが高めの常さんだが、深キョンは渡さない!
と、心で叫びオレもバールをひょろいガリガリの緑髪の優男にむけて振り上げる。-が、空振り。
手を掴まれた。
-噛まれる-
奴の腐った口がオレの肩に噛みこうとしたその時、
「危ないぞ!」
と常さんがスコップを頭から振り下ろし“ガン!!”という音を立てて頭を殴られたガリガリくんは崩れ落ちる。そこにオレがバールを振り下ろし、“グシャ”という音をたててガリガリくんの脳漿が飛び散り奴は活動を止めた。
飛び散った赤色の肉片には小さなミミズがうようよと蠢く。
何度見ても慣れないよ。
そんなことを考えてる間に常さんが残りの二人を片付けていた。
カッカッ
ゆっくりと階段をあがる。
2階にはサラサラヘアーの長い髪のお姉さん…だった奴が崩れかけた顔をドアにべたっとくっ付けながら、ガリガリとドアを引っ掻いている。キレイなネイルが台無しだ。
女はオレたちに気づくとぎこちない4足歩行でよだれをたらしながら向かってくる。
オレは菊一文字を振り上げ、顎を思いっきりスイングする。と
「あ、」
顎にヒットしたバールは手をするりと抜けて女を飛び越して3メートル先の廊下にカランカランと落ちた。
「バカ!」
常さんはそう言ったと同時に愛刀で女の首もとをへし折った。こいつは深キョンに似ていないからカナカナちゃんじゃないな。
あの娘は3階の一番奥の部屋だ。
はやく助けに行かないと!
「先を急ごう!常さん!」
と、落ちたバールを拾って何事もなかったかのように先を急いだ。
…
…
…
あれ?外から声が聞こえた。…気がする。
あまりに、お腹が空きすぎて幻聴まで聞こえるようになったのかな。
それともほんとにあの人助けに来てくれたの?




