旅は道連れ余は情けなし
1月30日(月)13:00
富岡市の郊外を走る県道429号を走り抜け、都心部を大きく迂回して、富島ICをめざす。
うちのオンボロアパートの前にはやつらが数体いたが、常さんが剣先スコップでサクッと殺した。この間、ちょいちょい下に降りて数を減らしていたのでもはや手慣れたもんだ。公務員じゃなくて殺人き…じゃなくって三國●双だな。うん。これは言っても怒られない。
県道429号はわがオンボロアパートの前の道から南へ2㎞。南部の農業地帯を抜け海沿いのIC、富島まで抜ける道だ。
ロンクルは人気の無い街道をハイブリッドらしく静かに走りぬける。
河川敷には例年よりは明らかに遅い桜がちらほらと咲き始めている。菜の花もようやくつぼみが黄色味をおび始めた。
そんな春ののどかな太陽に照らされるのは、至るところで真っ黒焦げの車や、燃え尽きて骨になってしまったり真っ黒の炭になってしまったかつて人間だった人達。
もぞもぞと民家や畑、車の影から獲物を求めて這い出してくるかつて人間だったやつら。
吐きそうになるので、まんまり見ないことにする。
「なあ、カッパ。これからマキ美容院の前を通って高速に乗るんだろ?」
県道429号で富島町に入ると沿道にコンビニやら飲食店やらが立ち並ぶ。マキ美容院もその一角だ。
「うん、そうだよ」
そうか…とオレは平静を装いながら声にならない掠れた声をしぼり出す。
「若い店長に代わってから内装もオシャレな若者むけになったし、キレイな女の子達が通うようになったんだ。その一人が明美ちゃんでね、ひときわ輝いてたんだ。とくにカットの時に眉間にシワをよせる仕草がなんとも可愛くてね。ひとめぼれさ、そう、可愛いといえばね、くしゃみを堪えるときに鼻の両脇をすぼめるような仕草がね…」
「おい。ノリよ」
「ん?」
「何かオレらに隠してるだろ・・・」
「へ?」
「なななななかんで?」
「マキ美容院に何がある」
「へ?えーと」「おい!カッパ、マキ美容院の前は迂回しろや」
「ちょちょちょちょちょ!」
「何かあるのか?」
常さんの鋭すぎる眼光で撃ち抜かれそうになる。
「えーと、その、もう一人乗員が増えます」
「「え?!」」
カッパと常さんが声をあわせる。
……
ぐぅ…。
お腹に手をあてる。
ああ、お腹空いたな。
もうすぐ、食べれるかな。
深キョンって、ちょっとオーバーだったかな。
ちょっとね。




