表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/31

田舎に帰ろうか、2

人類の進化によって得られたものは「時間」からの解放である。

ある哲学者の言葉。


【草食動物は睡眠時間が極端に短い。敵に襲われないようにと常に警戒しなければならない。さらに食糧とする植物は栄養が少なく、大きな体を維持するために相当な量を食べなければならない。ゾウは1日の82%、約19時間も食事していなければいけならないと言われる。そのため、睡眠時間はゾウやウシ、ヤギなどはわずか3時間と極端に短い。

一方の肉食動物は警戒する必要があまりない。そしてエサである肉は栄養価が高く1日に費やす食事・狩りは14%で約3時間ほど、睡眠に75%も使うことができる。ネコ科の動物の場合、しかし、ライオンの場合、エサを探し捕らえるまでに要する時間は平均して3日である。】



4月28日(土)18:00

子どもの頃は動物園の飼育係になるのが夢だったなあ、と思いながら動物のドキュメンタリーをyoutobeで見ていてふと思う。


今の人間って、飯を探すのにいつ食われるかわからない危険な中を数時間もかけなきゃいけない。安全な場所を確保しなければいつ襲われるかわからないので寝てなどいられない。

草食動物と肉食動物との欠点を兼ね備えた今の人類。いよいよ生存は絶望的だな。


電気はもうそろそろ止まるだろう。ネットだって仕組みはよくわからないがいつまでも無人で動くというわけにはいかないだろうし。


プロパンガスも何年持つだろうか。

それより今は最も気にすべきことがある。


「おーいカップめんなくなったんだけどー」

なんてお気軽に言うカッパ。


常さんは相も変わらず外を見たり、本を読んだりでゴロゴロしている。


「ちょっと、二人とも来てくれ」

なんだなんだと集まってくる。


「重大発表があります」


「なんだ」

「え?え?」


「食い物がもうありません」


「まじで?」

常さんが聞き返した。


俺たちがアパートの2階フロアからかき集めた食い物も、置いておいても増えないのだからあとは減るだけだ。


一週間前から昼飯はヌキにしている。

そしてもう、食糧が底を見せてきた。


「残りが米が約1升、肉はもちろん野菜はもうない。カップ麺は食いつくしました。あと乾麺が3人前ほどと、冷凍うどんが5玉。フリーズドライの味噌汁が2個」

何かのニュースで貧困世帯は糖質過多になりがち、だと聞いた気がする。オレ達はまさに貧困のそれだな。


家庭菜園をする場所くらいあればよいのだけど。


「なあ、このままここにいてもジリ貧だよ。思いきってオレの実家に行ってみないか?」

カッパは顔を赤らめて

「なんか照れるなあ」

という。


「なんで?」


「だって実家に行って両親に会ってくれ、なんてプロポーズの言葉みたいじゃないか~」


「うげぇ。オレは男を嫁にはとらねえ」

一瞬の沈黙の後、常さんの顔が心底気持ち悪そうな顔をする。


スパーーン!!


「イッテエ!」

オレはそばにあったお盆で思いっきりカッパの頭をひっぱたいた。

「では、ロンクルでオレ一人で実家に帰る。あとはお好きに、じゃ」

「ちょちょちょ、すまん、すまんて、冗談やがな」

「いててて、そうそう、そうなの、冗談なのじょーだん」


二人が謝ってきたので許すことにする。


オレ達はこの街に見切りをつけて実家に帰る作戦を練ることにした。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ