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ご飯のためならエンヤコーラ!

かつて地球上にヒトが誕生するはるか以前、三畳紀後期からジュラ紀、そして白亜紀に至るま地球上の覇者として君臨していた恐竜は、現生鳥類につながる種を除いて約6550万年前に突如、数日間のうちに絶滅したといわれる。


その原因については諸説ある。現在では直径約10〜15キロメートルもの小惑星が地球に衝突した-隕石説-が最も有力である。

隕石衝突により発生した猛烈な炎と衝突の衝撃で巻き上げられた塵埃が太陽の光を遮ることで、全地球規模の気温低下を引き起こし、絶滅につながったとされる。

しかし隕石のみに絶滅原因を求めると理由が説明できないとする学者も少なからず存在する。ましてや「なぜ多種多様な恐竜だけ小型種を含む全ての種が滅び、似た生態を持っていた鳥類、哺乳類や爬虫類、両生類は絶滅を免れたのか」という論理について明確な答えは誰も持ち得ていなかった。

奇しくも人類が滅亡の危機に瀕した今になって、身をもって我々は証明することとなった。

地球の覇者だった恐竜の体内にいた“天敵”の存在を。(東京帝都大学名誉教授 赤堀玄三郎 ― )




4月12日(木)8:03

オレたちはその後も順調に2階フロアをぶち抜きつづけ、我が家東側2部屋は全てぶち抜き、西側も2部屋を破り、残すところあと1部屋となった。


「母ちゃんのためならエンヤコーラ!!」

「ご飯のためならエンヤコーラ!!」

慣れた手つきで壁を叩く。


大流行が平日の昼間だったからか、住人はまだ誰一人として見つからない。


ガン!ガン!

ボロッ!


と穴の開いたのを確認したと同時に

ボコッ!!

手が飛び出てきた


青筋の浮いた手は人間のそれだが、色は血が通っていないのか青白く明らかに生きているそれではない。

壁から生えた手はカッパのパーカーのフードを掴む。

「や、やめて!放して!」

「カッパ!動くな!爪で傷つけられたら感染するぞ!」

「え!?ひっひっ」


言葉にならない声をしゃくりあげ、カッパの顔が赤から青に変わる。どうやら窒息しそうになっているらしい。


「カッパ!じっとしてろ!」


常さんは壁から生えた二の腕めがけて剣スコを縦に振り下ろした。


ガキッ!!

腕が裂け、骨が折れる音がした。

壁の腕はとっさにカッパのフードを放した。


「大丈夫か?!カッパ!」

「げふっげふ、ひぃひい。苦しいです。もうこれ以上の作業は無理かも…」

カッパはわざとらしく咳をしながらなぜか腹を擦っている。大丈夫だな、コイツ。心配して損した。オレは目線を壁に移す。


壁からはぐにゃりと折れ曲がった腕が相変わらずオレたちを探ってる。

折れた腕の裂け目から出てきたのは血ではなく太いミミズのような生き物だ。

まさぐる腕とは別にミミズも外に顔を出してはオレたちを探るようにニョロニョロと動いている。


「触るな!触れたら一気にからだの中に入ってくるぞ」

オレが近づこうとすると常さんが服をぐっと掴んで後ろに引っ張った。

「さて、コイツをどうかたづけようかな」

常さんが言う。

「と、とりあえず裂け目からのミミズもどきが出てこないようにしないと作業の邪魔ですね」

「燃やしますか?」


「いや、火は危険だぜ。やつらもろともこのアパートまで燃えちまったら最悪だ」

確かに…真っ赤に燃えたやつがあちらこちらでのたうち回る姿を想像しただけでもゾッとする。


「こ、こんなん見付けたぜ!」

カッパがいつの間にか見つけ出してきたのは家庭用消火器だった。






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