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130話 クラッグの戦い

【クラッグ視点】


 周囲がしんと静かになる。

 辺り一帯が血で満ちる。戦いの余波を受け、いくつもの建物が崩壊している。戦いの最中、周りにいた人間がこの場から必死に逃げだすのが見えた。


 戦闘に巻き込まれて幾人かの人が亡くなってしまっただろう。残念だけど、これでもあまり被害が出ないように立ち回った方だった。

 自力でこの場から離れてくれた人が多い事を祈るばかりだ。


「…………」


 俺は手に、1人の男の首を掴んでいた。

 『予知』のアルヴァント。そいつの首を片手で握り、体を持ち上げている。


 奴の首はあらぬ方向に向いていて、首がだらりと変な方向を向いている。今さっき俺がこいつの首を握り潰し、骨を砕いたところだった。


 もう顔に生気は宿っていない。

 『予知』のアルヴァントは死亡した。


「ふぅー……」


 長い息を吐いて、周囲を見渡す。

 その周囲にはもう生きている生物はいなかった。


 『再生』の力を持つオリンドルは全身の血を抜き取られ、ミイラの様にカラカラに干上がっている。俺が作り出した赤い棘を体から生やし、血を垂れ流しながらその棘に血を吸われきった。


 『再生』の能力を使って作り出した化け物達も、主人と同じ末路を辿っている。指やら毛やら、それらを『再生』して出来た怪物たちは揃いも揃って赤い棘を生やし、ミイラとなっている。


 オリンドルは絶命していた。


 『汚染』の能力を持つメガーヌも、赤い棘に心臓と頭を刺され死亡している。目は見開かれ、その驚愕した表情からは「あり得ない」という言葉が聞こえてきそうであった。


「……ふん」


 手を放し、アルヴァントの遺体を捨てる。彼の体がどさりと血の海に浸った。


「格が違うんだ、馬鹿共……」


 敵の全てが沈黙する。

 『領域外』の追手3人、全員を返り討ちにした。


「さて……こっからどうするか……」


 伸びをしながら周囲を見渡して状況を頭の中で整理する。

 先程、この都市の領主の弟であるバーハルヴァントが『アルバトロスの盗賊団』の名を使い、革命の宣言を出していた。


 敵の『領域外』の残りは5人だ。恐らく屋敷に残って戦力を集中させているだろう。今あそこが革命の拠点である。


「…………」


 そして、遠方から竜の大群が迫ってきている。バーハルヴァントが何かをしたようだ。

 7年前の竜の襲撃事件を繰り返そうとしている。そうなると、やはり以前のその襲撃事件はバーハルヴァントが関わっているのだろう。


 目的は多分、『叡智』の力をこそこそと調べ上げていたナディアの始末といったところだろうか。あと、『叡智』の力を持っていたメリューの捕縛とかか。

 ナディアの不運は、身近な親戚に『アルバトロスの盗賊団』が存在していたことだろう。隠れて行動していたようだが、身近な人間に疑いを持たれては行動の全ては隠しきれない。


 さて、これからどうするか。

 屋敷を放っておけば革命は進み、『領域外』達に好き勝手行動されてしまう。

 竜の大群を放っておけばこの都市に多大な被害が生じてしまう。


「…………」


 いや、やはりここは屋敷に向かうべきだろう。

 『領域外』を何とか出来る人間はほとんどいない。俺が向かうべきだろう。

 竜の大群も気になるが、もしかしたらバーハルヴァントとかその場にいる敵を倒せば、竜のコントロールを握れるかもしれない。


「……よし、屋敷にいる『領域外』全部ぶっ殺そう」


 そう決めて、屋敷に向けて歩を進め始めた。

 屋敷まではかなり距離がある。まぁ、それでも走ればすぐだろう。周囲の建物の屋上を走っていこう。そうすれば直線距離で屋敷へと辿り着ける。


「……ん?」


 そうぴょんと建物の屋上に飛び乗った時、気が付いた。

 遠方に小さな屋敷の姿が見える。その屋上に何かが揺らめいているのが見えた。


「……んん?」


 じっと目を凝らし、その揺らぎを見る。

 それは炎だった。屋敷の屋上で、何故か炎がゆらゆらと燃え上がっていた。


「…………」


 ひどく嫌な予感がして、もっとよく目を凝らした。

 膨大な魔力がこもった炎が揺らめいている。その中心には炭化しきった真っ黒な人間がいて、今現在も周りの炎に焼き焦がされている。


 一変たりとも人としての色を持ち合わせていない焦げきった人間。それが、同じように真っ黒に焦げきった一振りの剣を握っている。


「おいおいおい……、うっそだろ……?」


 冷や汗がつぅと垂れる。

 そいつは神殿都市アヌティスで突如現れた化け物であった。その時俺を真っ黒に焼き焦がした全くもって面倒な相手。


 今、俺がそいつの事を見ているように、そいつも今俺の事を見ていた。

 俺の事を見て、何か狙いを定めていた。


「幽炎っ……!」


 神殿都市アヌティスに現れた炎の怪物『幽炎』。

 そいつがこの都市の屋敷の屋上に陣取っていた。


 思わず俺がその名を叫ぶと、まるでそれが合図になったかのように奴が熱線を吐き出してきた。

 細く直線的な熱線が俺に向かって飛んでくる。屋敷までの距離はまだまだある筈なのに、その熱線は超高速で飛来して、一瞬で俺の元に飛び込んでくる。


「にゃろっ……!」


 何とか反応が間に合い、手の甲で熱線を弾き飛ばす。

 しかし、弾き飛ばす方向まではコントロール出来なかった。熱線は軌道を変え、俺の斜め後方へと飛んでいく。


 そのまま地面へとぶつかり、そこから巨大な火柱が巻き上がった。

 しかもその熱線は威力を失わないまま地面を滑り、そのまま真っ直ぐ地面を焼いて溶かしていく。


 その直線方向から次々と火柱が上がる。

 天を貫くほどの強大な火柱がどんどんと上がり、地面を滑る熱線は都市の城壁をいとも容易く吹き飛ばし、そのまま地平線の向こうまで滑っていった。


 地面の熱線の跡から火柱がぼんぼんと上がる。

 直線的な地獄絵図が生み出された。


「こんにゃろっ……! これだけで何人死んだんだよっ!」


 熱線を弾いた俺の手の甲が焦げている。それをもう片方の手で擦りながら、その火柱を憎々しく見ていた。


 そして幽炎の方に視線を戻すと、奴は炎をゆらりと揺らめかせて、空気に溶けて消えた。


「あっ……!」


 そして一瞬で俺の背後に移動してきた。


「わっ……!」

「……!」


 幽炎が真っ黒に焦げた剣を振るう。俺は慌てて前転し、緊急回避を行う。

 そして体勢を立て直して、幽炎と向かい合う。


「このやろっ! 俺の邪魔ばっかりして来やがって! なんだよ、お前俺のこと大好きかよっ……!」

「…………」


 炎の化け物はその憎悪を膨らませて、攻撃態勢に入る。

 俺はさっきまで使っていた剣を放り捨て、自分の指を噛み、血で赤い剣を作り上げた。正直やってらんねぇ。


 最初っから全力だ。

 お互いが剣を振り、俺と幽炎の剣が衝突する。先程の『領域外』3人との戦闘で、周囲の人の大部分がもう既に避難している。


 それでいい。そうじゃないといけない。

 ここはすぐ地獄に変貌する。


 剣を衝突されただけの衝撃で、いくつもの建物が溶かされ、消えていった。




* * * * *


【エリー視点】


「な、ななな……なんじゃこりゃっ……!?」


 驚き慌てふためきながら、突如起こったその光景に驚愕の声を上げる。

 突然この都市の端の方で、天に昇るほど高い火柱が上がったのだ。しかもそれ1つではなく、大量の火柱がどんどんと上がっている。


 火柱の点がいくつも連なり線を描いていて、その線は都市を飛び出し、どこまでもどこまでも続いている。

 地獄のような光景だった。


「この炎の魔力の感じ……もしかして、『幽炎』っ……!?」

「『幽炎』って、神殿都市の、あのっ……!?」


 フィフィーの推察に僕はぎくりと体が硬直する。

 あいつと2秒対峙した身としては、そいつがこの都市にいるというだけで体が震えてくる。出来るならもう2度とお目にかかりたくない相手だった。


「……ルドルフの衝撃波が、まるで児戯の様だよ」


 その炎の柱を見つめ、リックさんが苦々しく呟く。

 クラッグはあいつの事を世界最強と評していた。『領域外』は『領域外』でも、その中には大きな差が生じているようだ。


「ど、どうするのっ……!? 今、幽炎なんて、とてもじゃないけど相手してられないよっ……!?」


 フィフィーが真っ当な事を言う。

 ルドルフとの戦いですらこちらは肝を冷やしっぱなしだったのだ。あんな火柱を地平線まで続けて上げるような奴なんか相手にもしたくない。


 それだけじゃなく、僕たちは屋敷に残る『領域外』も何とかしないといけないのだ。


「……これだけの火柱が上がればクラッグの奴も当然気付く! 幽炎はクラッグが相手するって信じるしかないっ!」

「エリー……」


 自分でそう言いながら、額からだらりと汗が垂れる。

 以前の戦いでクラッグは丸焦げになって瀕死になった。あの時は湖が幽炎の奴を洗い流したから良かったものの、今回は生き残れないかもしれない。


 足が震えそうになる。

 ……でも、それよりも、今自分がしなければいけないことをするべきだった。


「それよりもっ! まず……!」

「……っ!」


 丁度その時、僕たちの周囲に竜の大群が到着した。

 その巨体が荒々しく地面に着地し、地響きが起こる。数十体ものたくさんの竜が360度僕たちを囲い、その大きな目玉で僕たちの事を睨みつけてくる。


 ついに竜の軍勢がこの都市に到着してしまった。


「こいつらを何とかしないとっ……!」

「うんっ!」


 僕とフィフィーは武器を構える。リックさんは流石にもう立つことが出来ない。フィフィーがリックさんをおぶう。


 竜の大群の中に、紫色をした『アルバトロスの盗賊団』の怪物オブスマンの姿も混ざっている。この襲撃に『アルバトロスの盗賊団』が関わっているのは明らかだ。


 僕とフィフィーは体の中の魔力を漲らせ、臨戦態勢を取る。


「エリー! いけるっ!?」

「ルドルフに比べたら、楽勝!」


 そう言って2人、分かれて竜に立ち向かっていった。

 竜が炎を吐いたり氷を吐いたり雷を吐いたりしながら、僕たちに攻撃を撒いてくる。

 竜は当然ながらモンスターの中でも危険視される存在であり、達人と呼ばれるA級の人達が5人程集まって1体を狩るような存在である。


 だが、先程からの『領域外』との連戦で、今僕たちの勝負勘はかつてない程に研ぎ澄まされている。

 竜のブレス攻撃もあまり恐くない。ルドルフの衝撃波に比べれば可愛いものであり、よく見極めればしっかりと避けられる。


「らっ……!」

「ギャウウウウウウッ……!」


 竜の懐に潜り込み、腕を裂いて体勢を崩し、腹を斬って全身を怯ませ、そして首を斬った。

 両断、とまではいかないが、竜の血が大量に流れ出て、程なく絶命した。

 まずは1体。


「ライトニング・アロー! ライトニング・フォール!」


 フィフィーの方も順調である。竜がブレスの為に開けた口の中に、雷の矢を入れ込み体内からダメージを与える。

 体が痺れ動きが止まったところで、高威力の雷魔法を落とし込んでいた。


 スムーズな仕留め方であった。


「……アルマスベル」


 フィフィーの背におぶられているリックさんも黙ってはいなかった。氷の剣の神器の力で、地面から氷の棘を生やし、竜の体を刺していく。

 フィフィーが心配そうに背の彼に声を掛けていたが、すぐに向き直って竜への攻撃を再開させていた。


 恐らく「無茶はしない」みたいな会話をしたのだろう。

 まだ余力があるとは……、本当にリックさんは化け物である。


「おっと」


 その時、竜の体の影から鋭い爪が飛び出してきた。

 紫色の怪物『オブスマン』である。


 竜の体は全長20m程あるが、オブスマンは人の身長ほどしかない。奴らの体は竜の体に隠れ、影から不意を打ってこようとしていた。


 しかし、勘の冴えた今なら危なげなくそれに対処できる。

 紙一重でオブスマンの攻撃を躱し、カウンターとして敵の体を4つに裂いた。オブスマンの実力は竜には遠く及ばない。


 しかし……、


「だーーーっ! 数が多いっ!」

「こんなのキリがないよっ……!」


 僕とフィフィーは不満を漏らし始めた。

 とにかく敵の数が多い。しかも数が多いだけが問題ではない。問題は単純な事であるが、竜という強い存在が多いということだ。


 数が多い場合、広範囲攻撃を使い敵の数をガンガン減らしていくという戦法が、当たり前で単純だが効果的である。

 だがしかし、今回の場合相手は竜だ。威力が薄くなりがちの広範囲攻撃では有効なダメージは与えられない。


 魔術士の最高峰に位置しているフィフィーですら、竜を1体仕留めるのに3発ほどの集中攻撃を必要としている。

 それはそれで素晴らしい手際と言わざるを得ないのだが、この大群を相手にした場合それでも時間がかかり過ぎている。


 本当なら1体を1撃で仕留めたい。欲を言えば1発の攻撃で3,4体同時に仕留めたいところである。そして、同じ問題は僕自身にも言える。


 今現在、お父様であるこの国の王が捕まっており、敵の『領域外』がまだ7人も残っている。しかも幽炎なんていう厄介な存在までもが参戦してきている。


 しかし僕たちはこの戦場に釘付けになるだろう。

 このままのペースだと見えている範囲の敵を全滅させるだけで丸1日掛かりそうである。そんな事では今の状況を打破しきれない。

 更に竜の数が増えたら3日3晩コースだってあり得るだろう。


 更に時間を掛ければ掛けるほど、この都市の被害は大きくなる。

 先程『領域外』8人にこの都市の主戦力が全滅させられている。この都市を守り切れる戦力は存在しない筈だった。


「あ゛ーーーっ! ほんとっ! 敵多過ぎっ……!」

「うおーーー! こんなのどうすりゃいいんじゃーーー!」


 僕たちは大声で愚痴を漏らしながら、ひぃひぃと戦っていた。


 そう苦戦している時だった。

 思わぬ人物が助太刀に来た。


「……それじゃあ、わらわもパーティーに加えて貰おうかのぅ?」

「え……?」


 どこかで聞いた声が聞こえてくる。

 そして1つの影がぱっとこの戦場に飛び込んできて、手の爪で竜の足を切り付けた。するとどういう訳か、竜の足が風化した石の様にボロボロと崩れ始め、竜の足が崩れ落ちていく。


「久しぶりじゃのう? エリー? フィフィー?」

「え……? えっ!?」


 紫色の長い髪がふわりと揺れている。スタイルが良く、背の高い女性で、妖艶で美しい人だった。

 その人が僕の方を見てにやっと笑う。


「まさかっ……!」


 よく見覚えがあった。神殿都市で一緒に戦い、そして体の中の魔力を使い果たし、しばらく眠りについていた女性……。


「メルセデスっ……!?」


 メルセデス。この都市ではメリューという名で活動していた女性が僕たちの前に再び現れ、この戦場に助太刀をしてくれていた。


「えっ……!? ほんとにメルセデス!? め、目が覚めたの……!? っていうか、どうしてここにいるのっ……!?」

「わはははは! お化けを見るような目でわらわを見るな!」


 メルセデスがカラカラと楽しそうに笑う。僕はさぞぽかんとした表情を浮かべていたことだろう。


「わらわだけではない。『百足』の連中もたくさん来ておるぞ?」

「え……?」


 彼女がそう言い終わるか否か、たくさんの黒い影がこの戦場に飛び込み、竜やオブスマンに相対していく。

 その影は濃い色のフードコートを被り、民族衣装のように複雑な文様が描かれた仮面を付けている。そのおかげで顔が全く見えない。


「なにっ……!? と、突然なんなのっ……!?」

「…………」


 突然現れたそのコートの人物たちにフィフィーは狼狽していたが、僕はその恰好をした人たちに見覚えがあった。


 7年前、ロビンの村にいた時に村人の秘密の話を聞いてしまった事があった。

 その時私の体を背後から拘束し、私に対し尋問を行おうとしていた人が丁度このような格好をしていた。


『ジャセスの百足』の構成員。僕にはそれが理解できた。


 百足の構成員がわらわらと現れ、統率され切った動きを見せ、竜やオブスマンを1体1体確実に仕留めようと行動を開始する。

 竜1体につき数人で囲んで、確実に仕留めていく。広範囲攻撃で一気に一掃出来ない状況は全く変わらないが、人手の数が違う。


 フィフィーと2人で戦っていた時よりも圧倒的に状況が良くなった。


「メルセデスっ……!」

「おう! フィフィー! お久しぶりじゃの……!」


 僕と分かれて戦っていたフィフィーが僕たちの元に駆け寄ってくる。やっと合流することが出来た。


「メルセデス、いつ目覚めたのっ……!?」

「つい昨日じゃ。全く、病み上がりで即働かなきゃいかんのじゃから、『百足』というのは人使いの荒い組織じゃのう……」


 驚きを顕わにするフィフィーを前に、メルセデスは溜息をつきながら組織の愚痴を漏らした。

 魔力欠乏状態にあって意識を失っていたメルセデスは、リックさんの手配によって『ジャセスの百足』に身を守られていた。


 そう考えると、『百足』と行動を共にしていてもおかしくないだろう。


「しかし……どうして『百足』の人達がここに……?」

「うちの団長は始めからこの都市を警戒していたんだよ。そろそろ何かありそうって、兵力を集めて様子を探っていたみたい」

「え……?」


 僕の疑問の声に答えたのはメルセデスではなかった。

 仮面を被った『百足』の構成員の2人が僕たちに近づいてきて、そう声を掛けてきた。


「こんにちは」

「あ、その……は、初めまして。僕は冒険者のエリーと申します。ご助力感謝いたします」


 その百足の構成員の方に向き直り、僕は挨拶をした。

 そうすると、何故か、その百足の2人はくすくすと笑い始めた。


「やだなぁ、エリー。あたしらは初めましてじゃないよ?」

「え……?」

「お久しぶり、エリー……」


 そう言って、目の前の百足の2人はその仮面を外し始めた。

 初めまして? お久しぶり? そう声を掛けられ混乱する中で、その人たちの顔が露わになる。


「え……?」

「…………」

「あ……」


 その顔を見た時、心臓がドクンと跳ねるのが分かった。


 7年前、ロビンの村を訪れた時、私にはたくさんの友達が出来た。

 ロビンを筆頭に、彼の同世代の友達とたくさん遊んだ思い出が今も胸の中に強く残っている。


 ビーダー、シータ、ディーズ、イータ、エフト……皆、掛け替えのない友達であった。


 しかし、7年前にその村は焼け、それ以降誰とも会う事は無かった。

 皆死んでしまったのだと思っていた。


 だが、もしあの時に生き残りがいたとしたら? 『ジャセスの百足』という強い隠れ蓑の中で生き延びることが出来たのではないか?

 そして、そのまま『百足』の構成員となってもおかしくないのではないか?


「あぁ……」

「…………」

「あああぁぁっ……!」


 仮面の奥の彼女たちの顔を見て、声が震える。強い懐かしさが込み上げてくる。

 小さい頃の面影がしっかりと残っている。その顔を私が忘れるわけがない。


「シータ……! ディーズ……!」

「お久しぶり、エリー」


 成長した昔の女友達2人がこの戦場に姿を現す。

 彼女たちはにこっと微笑む。僕は口をあんぐりと開け、それはそれは間抜けな顔を晒していただろう。


 竜が跋扈する戦場の中、もう二度と会えないと思っていた友達と、再会を果たした。


すみませんが、別の執筆の仕事の依頼の為、更新を不定期にして更新頻度を抑えさせて頂きます。

2週間に1度とか、そういうペースになっちゃうかなぁ。

3ヶ月ほどでまた戻って来たいと考えています。

なにとぞよろしくお願いします。


なるべく早めに戻ってくるよー!

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