Episode:25
◇Rufeir
あたしたち――シュマーのせいで家族が全員死んだ、そう、先輩が叫んだ。
どう答えたらいいのかわからなくて、一瞬動きが止まる。
その隙を、先輩は逃さなかった。
たちまち組み敷かれる。
先輩の手が、あたしの首にかかった。
「せんぱ……どうして……」
思わずそう言ったけれど、先輩は聞いてなんかいない。そのまますごい力で締め上げてくる。
振りほどこうとしたけれど、片腕がやられていてどうにもならなかった。
息が詰まる。
――母さんの言ったこと、正しかった。
心配そうだった、母さんの姿を思い出す。
シュマーはどこで恨みを買っているかわからない、別れ際にそう言われた。
もちろんそれはあたしも承知している。うちは代々人殺しをしてきたのだから。
先輩の家族も、誰かシュマーの人間が絡んだ話で死んだんだろう。もちろんあたしじゃない。けど、外の人間から見たら同じことだ。
それにあたしの手だって、今でも十分血に染まっている。
結局、あたしがバカだったのだ。
亡霊たちの言うとおり、あたしの生きる場所はあの地獄しかない。それなのに、のこのこ出てきたのだから。
だいいちあたしさえいなければ、シュマーの人間でも、死なずに済んだ者がかなりいる。
――あたしさえいなければ。
もう、抵抗する気もなかった。
◇Loa side
「これでひとつ、貸しを返してもらう!」
叫ぶロアの身体の下、すでにルーフェイアは声も出せない。
さらに腕に力を込める。
骨を砕こうかという勢いで。
が、その時。
――お姉ちゃん、やめて!
(え?)
懐かしい声を聞いたと思った。
同時に、ブレスレットにして身に着けていた、妹の形見が光りだす。
そして唐突に、周囲の情景が変わった。
音はなく、映像だけ。
(なにこれ……?!)
どうやら戦場のようだった。だがロアが知る故郷の街ではない。どこかもっと別の、森の中だ。
そこに、青年と少女がいた。
青年のほうに見覚えはない。だが、少女のほうは――。
(ルーフェイア?)
間違いない。
(なんなの?!)
ロアが戸惑っているうちにも、状況は変わっていく。