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抱えきれぬ想い ルーフェイア・シリーズ03  作者: こっこ
Chapter:04 慟哭、そして哀悼
25/27

Episode:25

◇Rufeir

 あたしたち――シュマーのせいで家族が全員死んだ、そう、先輩が叫んだ。

 どう答えたらいいのかわからなくて、一瞬動きが止まる。


 その隙を、先輩は逃さなかった。

 たちまち組み敷かれる。

 先輩の手が、あたしの首にかかった。


「せんぱ……どうして……」

 思わずそう言ったけれど、先輩は聞いてなんかいない。そのまますごい力で締め上げてくる。

 振りほどこうとしたけれど、片腕がやられていてどうにもならなかった。

 息が詰まる。


――母さんの言ったこと、正しかった。

 心配そうだった、母さんの姿を思い出す。

 シュマーはどこで恨みを買っているかわからない、別れ際にそう言われた。

 もちろんそれはあたしも承知している。うちは代々人殺しをしてきたのだから。


 先輩の家族も、誰かシュマーの人間が絡んだ話で死んだんだろう。もちろんあたしじゃない。けど、外の人間から見たら同じことだ。

 それにあたしの手だって、今でも十分血に染まっている。


 結局、あたしがバカだったのだ。

 亡霊たちの言うとおり、あたしの生きる場所はあの地獄しかない。それなのに、のこのこ出てきたのだから。

 だいいちあたしさえいなければ、シュマーの人間でも、死なずに済んだ者がかなりいる。


――あたしさえいなければ。

 もう、抵抗する気もなかった。



◇Loa side

「これでひとつ、貸しを返してもらう!」

 叫ぶロアの身体の下、すでにルーフェイアは声も出せない。

 さらに腕に力を込める。

 骨を砕こうかという勢いで。

 が、その時。


――お姉ちゃん、やめて!

(え?)

 懐かしい声を聞いたと思った。

 同時に、ブレスレットにして身に着けていた、妹の形見が光りだす。


 そして唐突に、周囲の情景が変わった。

 音はなく、映像だけ。

(なにこれ……?!)


 どうやら戦場のようだった。だがロアが知る故郷の街ではない。どこかもっと別の、森の中だ。

 そこに、青年と少女がいた。


 青年のほうに見覚えはない。だが、少女のほうは――。

(ルーフェイア?)

 間違いない。

(なんなの?!)

 ロアが戸惑っているうちにも、状況は変わっていく。



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