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抱えきれぬ想い ルーフェイア・シリーズ03  作者: こっこ
Chapter:04 慟哭、そして哀悼
23/27

Episode:23

◇Loa side

 ルーフェイアが緊張した表情で、ひとつひとつ操作をこなしていくのを、ロアは隣で眺めていた。

 まだたどたどしい部分もあるが、初めて間もないことを考えると、上出来と言っていいだろう。むしろこの短期間で、よくここまで覚えたと感心する。


「そうそう、そこ気をつけて。ほら、足跡残してるよ」

「え? あ!」

 言われて慌てる後輩が、可愛い。

 だがあるところで、その動きが止まった。


「あの、先輩、これ……」

 どうしよう、という表情で訊いてくる。

「学院長の魔視鏡だね。この時間に動いてるなんて、珍しいや」

 学院長は年のせいか、この手のものはあまり使わない。だから、夜になってまで動いているのは、稀だった。


「止め忘れかな? 見てみよっか」

「あ、はい……」

 ルーフェイアがちょっとためらってから、開く。

 そのようすに、この子はこういうことに向いていないのかもしれない、とロアは思った。なにしろ素直でおとなしい性格だ。攻撃的なことにはどうしても、しり込みしてしまうのだろう。

 だがそういったことは、取り返しのつかない事態を招くことがある。


 何か考えてやったほうがいいかもしれない、そんなことを思いながら、ロアはざっと記録の一覧をを斜め読みした。

「ガッコの資料ばっかだなぁ。たいした物ないね」

 もう少し何かあるのではと期待していたが、みごとなくらいに期待はずれだ。


「学院長も大変だね、こんなくだらないことまで訊かれるんだ。こんど会ったら、親切にしとこっか」

「ですね……」

 どうでもよさげな雑務から院の方針、そうかと思えば学院生が起こした不祥事の後始末まで、まさしく何でもありだ。

 どちらにしても収穫なしと判断して、ロアは手を止めた。


「どうする? も少しやる?」

「え? あ、いえ、今日はもう……」

 ルーフェイアのほうも初めての経験で、そうとう神経をすり減らしたようだ。そろそろ潮時だろう。


「そだね、こういうの最初、すっごい疲れるし。

――あ、最後にこれだけ見てこっか」

 何の気なしに、見つけた一覧を開く。学院長が外部とやり取りした、記録の一覧だ。

 こういうものは機密情報は期待できないが、ちょっと笑えるようなものがよく混じっている。


「これ……伝言書?」

「そそ。でもこっちも、たいしたもんないね」

 予想に反して、事務的な連絡ばかりだ。私的なやり取りは、ここではやらないようだった。


 だが。


 とある行で、ロアは予想もしなかったものを見つける。

「これ、ルーフェイアのことだよね」

「え?」



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