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抱えきれぬ想い ルーフェイア・シリーズ03  作者: こっこ
Chapter:04 慟哭、そして哀悼
22/27

Episode:22

 本当のことを言うとやってみたいけど、怖かった。なにしろやっているのは、見つかったらタダじゃすまないものだ。だから失敗できない。

 でもあたしの腕じゃ、何かヘマをする可能性が高かった。


「あはは、ルーフェイアは慎重だねぇ」

 ロア先輩が明るく笑う。

「だいじょぶ、ボクが後ろついてって、フォローするからさ」

「あ、それなら……」


 気持ちを落ち着けて、教わったとおり始める。

 まず全体の構造を見て、どこが動いてるかをチェックして……。

「そうそう、そこ気をつけて。ほら、足跡残してるよ」

「え? あ!」


 通信網上に残る痕跡を消しながら、ひとつひとつ教わったとおりやっていく。

――あれ?

 気になるものを見つけて、もう一度画面を確認したけど、間違いなかった。


「あの、先輩、これ……」

「学院長の魔視鏡だね。この時間に動いてるなんて、珍しいや」

 先輩が言うには学院長、こういった新しい道具は苦手らしい。だから仕事をしている昼間はともかく、夜になると早々に止めてしまうんだそうだ。


「止め忘れかな? 見てみよっか」

「あ、はい……」

 ちょっとだけ気が咎めながらも、石の中の記録を覗いてみる。

「ガッコの資料ばっかだなぁ。たいした物ないね」

 なんだかほっとする。やっぱりこういうのには、あたしは向いてないのかもしれない。


「学院長も大変だね、こんなくだらないことまで訊かれるんだ。こんど会ったら、親切にしとこっか」

「ですね……」

 本当に細かい雑務から院の方針、果ては学院生が起こした不祥事の後始末まで、ありとあらゆることが山盛りだ。


「どうする? も少しやる?」

「え? あ、いえ、今日はもう……」

 なんだか疲れてしまって、これ以上続けられそうになかった。前線にいるほうがまだ楽だ。


「そだね、こういうの最初、すっごい疲れるし。

――あ、最後にこれだけ見てこっか」

 あたしの代わりに先輩が操作して、記録の一覧が現れる。


「これ……伝言書?」

「そそ。でもこっちも、たいしたもんないね」

 言いながら先輩が、一つの伝言に目を留める。

「これ、ルーフェイアのことだよね」

「え?」


 驚いて表題を見ると、たしかにあたしの転入に関することらしい。

「なんだろ〜」

 興味津々という表情で、先輩が中身を開く。

 イヤな予感がした。



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