Episode:15
◇Rufeir
「そこまで」
鋭い声で、はっと我に返った。
「出来たかね?」
「あ、はい」
慌てて答案用紙を渡すと、教官の顔色が一瞬変わる。朝から連続で試験を受けて、疲れて半分うとうとしていたのが、いけなかったのかもしれない。
ぜんぶ答えは書いたから、だいじょうぶのはずだけど……。
「きみはたしか……五学年だったね」
「えっと、そう、聞きました」
本当のことを言うと、自分でもよく分からない。ただ先輩や学院長が、そう言ってたはずだ。
「うーん、五学年ねぇ。それならなんで、この解法を知っているんだ? そもそも今まで正規教育を受けていないのに、これだけというのは……」
教官、何かぶつぶつ言っている。
「あの……?」
どうしていいか分からなくて、おそるおそる声をかけてみた。
「ん? あぁ、今日はこれで終わりだから、部屋へ戻ってかまわんよ」
「はい」
荷物を持って立ち上がる。
「明日は実技だから、指定の時間に指定場所へ来なさい。遅れないように」
「はい」
立ち上がって身体を伸ばす。座りっぱなしなんて初めてで、身体じゅうが重い感じだ。学院に来る前の分校でもテストを受けたけど、何日かに分けて少しづつだったから、こんなことはなかった。
本来は何のためなのかよく分からない、小さな部屋を出る。
「どうだった?」
外でロア先輩が、待っててくれてた。
「えっと……身体、痛いです……」
「そう来るかー!」
あたしの言葉に、先輩が笑い出す。何がそんなにおかしかったのか、お腹を抱えての爆笑だ。
「先輩……?」
「あーゴメンゴメン。えっとさ、身体じゃなくて、試験ちゃんとできた? 難しくなかった?」
そういう意味だったのかと、やっと理解する。
「いちおう……ぜんぶ答え、書きました。でも思ったより、難しくなかった……かな」
「やっぱそうかぁ」
思ったとおり、そんな表情でロア先輩がうんうんとうなずく。
「教えててびっくりしたもん、頭よくて」
「そう、なんですか?」
あたしいつも、母さんたちに笑われてたのに。
「そそ、自信持っちゃってダイジョブダイジョブ。でさ、なんか食べる? 疲れたでしょ」
言いながら先輩、あたしを食堂のほうへ引っ張ってく。答えがNOってケースは、考えてないみたいだ。
もしかするとあたしはただの口実で、何か食べるのが目的なのかもしれない。先輩は昨日もケーキをおかわりしてたし、そのあとの夕食もちゃんと食べていた。だからきっと先輩、食べるのが好きなんだろう。