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Episode:13

 学院の夜は静かだ。

 特に消灯時間を過ぎると各施設が閉鎖されるため、廊下を歩く足音でさえかなり響いてしまう。

 だがロアは、例によってまだ起きていた。


 消灯時間といっても、室内までは管理されていない。テストの前などは、徹夜組も多いのだ。

 ルーフェイアの寝室のドアが閉まっているのを確認し、共用スペースの明かりを点け、そっと端末の前に座った。


 魔法の遠見水晶から発達した魔視鏡と、通話石を利用した通信技術。魔法を込める魔石から作り出された、さまざまなものを記録できる記録石。魔法をコントロールする補助具として、もっともポピュラーな杖。

 どれも単体では昔から使われてきたものだが、それらを組み合わせる技術が生み出されたとき、状況は一変した。


 記録石と魔視鏡が組み合わされ、誰でも簡単に記録を再生出来るようになった。

 次に魔視鏡と通信石が組み合わされ、映像配信が実現した。

 さらに高位通話石が発明され、独立していた多数の通話石を束ね、大規模な通信網ができた。

 加えて記録石に映像や音声だけではなく、「さまざまな動作」も記録されるようになった。

 それをコントロールするために、簡単に発動できるよう設定された専用の小さな魔法の杖が作られ、細かい指示が可能な操作盤へと進化した。


 そうして出来上がったものは……通話石の設定さえ出来れば世界中どことでもつながり、接続している端末の記録を閲覧できる、誰も予想しなかったような道具だ。

 もちろん完全になんでも閲覧できるわけではなく、ある程度の制限はされている。だがそれを差し引いても公開されている情報は膨大だし、何より今までは知り合うことのなかった相手と、直接話せるのだ。


 海と魔獣によって分断されていた世界は、いま草の根レベルで急速に距離を縮めている。

 物理的政治的には隔絶されながら、互いに近づく世界。これが何を生むのか、誰にも分からない状況だ。


 もっともロアにしてみれば、そんなことはどうでも良かった。自分にとって極めて有用な道具、それだけのことだ。

 眠っている後輩に気づかれないよう、細心の注意を払って端末を立ち上げる。昨日までは独りだったのでけっこうおおっぴらにやっていたが、これからはそうもいかないだろう。


 まず今までいちいち入力していたものを、一挙動で切り替わり、通信網から安全に離れるよう細工した。

 さらに通常モードからの切り替えを、今まで以上に複雑な手順にし、本人確認のステップも付ける。こうしておけば万が一ルーフェイアがこの端末を触っても、なにも起こらないはずだ。

 そして、アクセスを開始する。


――通信網に忍び込み、情報を喰らうモノ。

 それがロアの夜の顔だった。



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