真実
『あなたは…いえ、"私たち"はクローンなの…。5年前に死んだ"小島エリ"という少女のね…』
エリは信じられなかった
『…クローン?何を言ってるの?私が…?
ふざけないでよ…』
"彼女"は続ける
『…今から10年前、2003年7月12日とある孤児院で少女が一人政府の研究所に引き取られた。名前を"小島エリ"彼女は3歳の時に親に捨てられた。そして孤児院で育った。なぜ彼女が研究所に引き取られたのか』
『彼女は生まれつき遺伝子に異常があったの。そのせいで親からは気味が悪いと言われ捨てられた。そう…彼女には特異体質があったの。それは…』
"彼女"は真剣な面構えになった。
『あらゆる病原体やウィルスに抵抗があり、傷を超高速で治癒することができるの…
そして政府はその体質に目をつけた。
この遺伝子を使えば、撃たれても死なず病気にもかからない最強の兵士が作り上げられると。彼女の遺伝子の研究が進められた、しかし検査に出しても結果が出ず研究は難航。人体移植も行われたけど拒否反応が強すぎて一瞬で死んじゃうの。
そして『クローン技術』が利用された、もちろん人間のクローンなんて許されるはずがないので政府は極秘で製造を行った。』
『オリジナルの方の小島エリは12歳で亡くなった。繰り返される実験でのストレスだった…。しかし、小島エリという存在は孤児院などでも知られているので闇に葬れなかった。それであの事故が公表されたんだ、もちろん偽装のね。』
エリはようやくすこし理解し始めてきた。
確かに思い当たる節は幾つもある。エリは一度も病気にかかったことはない、怪我もするが跡にすらならない。おそらくこれがオリジナルの遺伝子の影響なのだろう。
『そして政府は…』
『リリー…まずった。どうやら尾行されてたみたい…』
運転手がそう言った。とその時
ガガガガガガガガガガガガ!
『みんな伏せて!』
轟音が響き窓が割れる。
エリは頭を隠すのに必死になった。
『クソっ…エレナ!ビック・フィフティの発射準備!アンジェラ姉さん、エリにソルディンを渡して!』
わたしの隣に座っていた中学生くらいの少女がなにやら大掛かりな武器を組み立てている、彼女がエレナなのだろうか?
リリーは邪魔にならないように前の座席に移動する。
エリは肩を叩かれる。
『エリちゃん、ほら。電源はもう入ってるからつけるだけで大丈夫だよ。』
そしてこの大人しそうで少し大人びた女性がアンジェラさん…だと思う。
アンジェラから、ヘッドホンのようなものを受け取る。
『これはね〜ソルディンってとこのヘッドセットで、集音機能とか無線機に繋げば通話もできるし銃の発射音とか爆発音を自動でカットしてくれるスグレモノのヘッドセットなの♪エリちゃんには特別にあげるよ〜』
エリはヘッドセットを耳につけた。
その時アンジェラが目の前で拍手をする。
そしてほぼ同時に周りの音が聞こえなくなった。アンジェラは誇りげに言う。
『どう?すごいでしょ〜。』
横でエレナが話しかける。
『組み立て終わったよ!…ほんと4人乗りの車の中で5人乗ってさらにM2(重機関銃)を組み立てるなんて大変なんだから。サーシャお姉ちゃん!車を横向きに止めて!撃つよ!』
サーシャは急ブレーキをかけて車を横向きに止める。
エレナはドアを開けM2を外の追っ手に向ける。
『うるさいけど我慢してね!』
ガンガンガンガンガンガンガンガン‼︎‼︎
巨大な掘削機のような音がする。ヘッドセットをつけてこの音なのだから、直に聞いていれば頭がおかしくなっていただろう…
隙間からすこし状況が見える、追っ手の車は跡形もなくなっていた。
『サーシャお姉ちゃん!終わったよ、発車して!』
車はまた走り出した。
『も〜M2をセダンの中で撃つ自体大変なんだからね!』
『悪い悪い…。どうしてもサーシャがBMWの318iがいいって言うもんで…でもエレナ良くやったね、ナデナデしてあげよう!』
『えへへ〜♪ありがとうアンジェラお姉ちゃん♪』
エリはあることに気づいた。
『リリー…ちゃん。ちょっと聞いていい?』
座席に戻りながらリリーは返事する
『ん?どうしたの?』
『みんなクローンなんでしょ?それなのにアンジェラさんみたいに年上な感じだったり、エレナちゃんみたいに中学生くらいだったり見た目が違うのはどうしてなの?あと、リリーちゃん以外の人は顔も似てないし…』
リリーは驚いた表情になった、そして笑い出した。
『なんで銃を持ってるのかとかなんで車を運転してるのかみたいな質問かと思ったら、そこに目がいくとはねw
まぁ話してもいいけどもうそろそろ私たちの隠れ家につくの。そしたらそこで話しましょ。』
そういえばなんで銃を持っているのだろうか…
でも今聞くのはやめておこう。
もうそろそろ隠れ家とやらにつくらしい、聞くのはそこでいいだろう。
今日はだいぶ疲れた、眠気がエリを襲う。
とりあえず今はおやすみなさい。