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さよなら日常世界

一面の草原、雲一つない空

私はまたこの夢を見ている、こんなのすぐ夢だってわかるわ。だってこんな綺麗な風景なんて見たことないもの。現実では存在しないような世界、なら夢に決まってる。

ならもうそろそろ朝を知らせる決まり文句が来るはずね。

『さよなら…大好きだったよ…お』

『ほら!もう朝よ、起きなさい!遅れるわよ⁈』

…やっぱり最後の言葉は聞き取れなかった。母の怒号が響き渡る。

『今日は体育があるんでしょ?ちゃんと朝ごはんを食べて、歯磨きなさいね』

『わかってるわよ…にしてもすごい量ね、親方』

『誰が親方じゃい(怒』

母のチョップが私の頭を襲う。

いつも通りの騒がしい朝食、私はこれで満足している。実に幸せな日々だ。

『さぁさぁ、食べ終わったなら準備しなさい。お父さんも新聞読んでないで手伝いなさいな。』

父は無言で頷く。そして、会社へ行った。

『…』

私は笑いを堪えながら準備をする、長い髪は縛るのに大変だ。


いつも通りの学校、何一つ変わらない日常だ。一つ変わっているといえば、今日は友人に勧められて献血を受ける日だ。リカは勧めておきながらすこし緊張しているようだ。

『血を抜かれちゃうんだよ〜、怖いなぁ〜怖いなぁ〜。エリ〜助けて〜。』

『自分で勧めておきながら助けを求めるな!…でも確かにすこし怖いな。』

私は確かに怖かった、まず注射ばりが怖い。なぜか知らないが、生まれつき注射や病院は大嫌いなのだ。

それを知ってか母は私に注射や検査の類を受けさせたことは一度もない。でも、特に注射は怖いのだ。

今回のことは母には黙ってある。…絶対止められるから。

しかし、あっけなくその恐怖のショータイムは幕を閉じた。思ったよりも痛くはなかった。

『エリ〜♪そんなに痛くなかったね〜、というか癖になっちゃいそう…///』

『…何を言ってるんだ…』

そうして、今日はいつも通りに過ぎて行った。


1週間後の朝、いつもと同じ朝を迎える。

どうやら献血の結果が帰ってきたようだ。

…よくわからないが、異常はなさそうみたい。血液型までご丁寧にのっている。

そう、ご丁寧にのっていた…エリは間違いに気づいた。血液型がAB型のRH-と表記されている。

そんなはずはない、エリはO型のはずだった。いや、O型でなければいけないのだ。両親がO型なのだから…

センターに問い合わせたがどうも間違いはないらしい。

『そんな…そんな…』


いつも通りの日常は緩やかに狂い始める

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