表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雪月花  作者: 茶葉風味
9/42

当日

受験の日の朝。


さすがに二月にもなると冷えていた。

でも、やっぱり北の方に比べると秋ぐらいの気温なんだと思う。


僕が受験する学校は石垣島にある唯一の普通高校だった。

他にも高校はある。

しかし、農業関係の高校と商業科と電気・機械科のある商工高校しかなかった。



僕は普通の高校を選んだのは、大学に行きたいとか思っていた訳でもなく、ただ単純に機械とか農業とかに興味があまりなかったからだ。


「あと1分で始めます。」

ちょっと面倒くさそうこの高校の教師が言った。


僕は慌てて前を向く。

受験生は皆席に座り、一生懸命勉強していたが僕は窓際の席だったからか外をぼんやりと眺めていた。













「あと5分!。」


時間もいよいよ少なくなってきた事に気づいた僕は慌てて問題を解いていくが、時間が少なかったため最後の二問ほど解くことが出来なかった。

ぼんやりしていた自分が悪いのだが。


しかし僕は解けなかった問題のことなんかはすでに頭に無く、ひかりの事ばかり気になっていた。




「ひかり大丈夫かな・・・。」






受験も無事に終わった。



そして・・・。



中学校卒業式。


在校生に向けて、「翼をください」を卒業生で歌った。

総勢11名という少ない人数だったが感極まって涙していたものや、笑顔で歌っていたものもいた。


僕はあまり思い出のないこの学び舎から卒業できることに何も感じることが出来なかった。

だが、良太や同級生達の涙や笑顔を見ることの出来たことに何故か僕は感動していた。






夜、僕の両親はこんな日にも関わらず家には帰って来なかった。



一人の夜に僕は、両親は何故僕と一緒に住むのだろうか?

ここまで会話の無い家族はそんなにいないだろう。

顔を合わせるのは引越しの時だけ。

父も母も同じ会社で働いているのだから二人は、会社内で少しの会話くらいはあるだろう。

僕が両親に最後に会ったのは、もう一週間も前のことだ。

二人の仲いいのなら別にかまわないが、僕からしたら会話の無い冷め切った家族だった。


僕がいなくても変わらないじゃないか。


「なんだか馬鹿みたいだな。」


こんなことばかり考えてしまう。



明日は何をしようか?








「おやすみ。」



誰に言うでもなく、小さく呟いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ