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桜
名前も知らない公園。
桜の花が綺麗に舞う。
まるで、夢の世界にいるようだ。
彼女から貰ったコーヒーを一口飲む。
彼女のおかげでだいぶ落ち着いた。
まだ少し寒いのか、彼女は手を温めるように擦り合わせる。
彼女は桜の花を微笑みを浮かべて見ている。
きっと彼女も夢の世界にいるみたい。
そう思っているだろう。
僕達は何処かよく似ている。
昔の事を思い出した。
空を見上げれば、青く広がる空。
舞い落ちる桜。
心は今ここに。
「あの・・・?」
「はい・・・?はっ・・・!」
彼女が息を呑む。
「今日は、何の日でしょうか?」
彼女は何も言わず微笑む。
「誕生日おめでとう。ひかり・・・。」
まだ寒さが少し残る、春の桜舞う公園の、4月1日の小さな出来事だった。
第三章 雪月花 終




