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白銀の世界
第三章 雪月花
頬に冷たい何かが溶けていった。
季節は冬。
今は、12月。
朝から雪が降り、雪は周りの景色を白銀の世界へと変えて行った。
ガタ。
シュルッ。
ギィー、バタン。
僕はダウンジャケットを着て白銀の世界へと飛び出した。
街は相変わらず、何処か寂しくて、心は寒いままだった。
当てもなく、駅に行き何処に向かう電車なのかも確認する事も無く乗車した。
終点に着き、見たことも無い駅に降りる。
クリスマスの飾りで街はいつも以上に輝いて見えた。
カチッ。
「ふぅ。」
煙草に火を着け、公園のベンチに座る。
「隣、いいですか?」
荷物を抱えた女性が立っていた。
彼女を見た瞬間、不意に涙が溢れてきた。
「いいですよっ・・・。」
慌てて下を向き、下を向いた。
「ありがとうございます。」
今、彼女に話かければ僕は本当に泣いてしまう。
「あの・・・?大丈夫ですか?」
「え・・・?」
「これ良かったら。」
彼女は自分で飲もうとしていたであろうコーヒーを僕に渡した。




