決意
お正月もあっと言う間に過ぎ、だらだらとしていた休みも終わった。
3月になり、先輩達の卒業式となった。
先輩と言っても、陸上部の数少ない先輩しか関わりのなかった私。
やっぱり、先輩達の背中に喜びなのか悲しみなのかよくわからない感情が込み上げた。
同時に、舞台の脇の方へと去っていく先輩達を見ながら私は、あと一年しかないという焦りを微かに感じた。
「先輩!ボタンくださいよ!第二ボタンでもなんでもいいから!」
由美と萌は好きだった先輩がいるのか身勝手な事を言っていた。
陸上部の先輩に挨拶を軽くし、一人教室へと消えていった。
遠くから聞こえる喜びや感動してなのか,泣き声の混じった叫びが聞こえてきた。
「あと一年か・・・。」
ベランダに座っていた私は卒業式から来る感情なのかひっそりと涙を零した。
「あ!由美!由美!夏帆発見したよ!」
「こんなとこに居たんだ。なに?あんた人前で泣くの恥ずかしいから逃げて来た訳?」
由美と萌が満足そうな顔でやって来た。
「ち、違うよ!ちょっと気まずかっただけ!」
私はその後も適当な事を言いその場を誤魔化した。
来年、私はこの学校を卒業する。
遠目に見ている彼とはたぶん卒業すると話どころか遠目に見ることさえ叶わなくなる。
今年。
今年の夏にある大会で私達は引退する。
そうだ。
夏の大会で自分で満足の行く結果だったなら彼に想いを告げよう。
優しい彼はたぶん、必死で傷つかないように言葉を探すのだろう。
でも、結局言葉が見つからず俯いてしまうのだろう。
その為にも今は頑張ろうと思う。
「うん。ちょっと元気出たかも・・・。」
三月なのに咲いていない桜の木。
まだ遠くに見える卒業生の姿。
彼らの旅立ちの日、私は決意した。




