晩御飯と
今日はクリスマス。
さすがに母さんは休暇を貰えたみたいだが父さんは貰えなかったみたいだ。
「お父さんも今日は早く帰ってくるってさっき連絡きたわよ。」
久々に家族全員揃う。
今日はクリスマス。
あれだけ恋焦がれた、ひかりもいる。
今年のクリスマスは最高のクリスマスだ。
ただ、プレゼントを渡すタイミングが無くなったのは内緒だ。
「母さん、なんか手伝う?」
「高志はいいわ。ひかりちゃんが手伝ってくれてるから。」
どうやら僕は邪魔らしい。
おとなしくソファーに座りテレビを見る。
「父さんまだかな。」
台所から香ばしい匂いがする。
「ただいま。」
父さんの声が玄関から聞こえた。
久しぶりに聞く父の声になんだか懐かしさを感じた。
「お、高志。ただいま。」
「おかえり、母さんは台所だよ。」
台所に向かった父さんはしばらくすると、缶ビールを片手に戻ってきた。
「高志、あの子は彼女か?」
「は?ち、違うよ!ほら!小学校の時僕が転校した後くらいに転校してきた子だよ。僕達仲良かったじゃん?」
突然、真剣な顔をした父に戸惑いつつ適当に誤魔化した。
「高志!料理運んで!」
母の声に助けられた僕は慌てて台所に向かった。
初めてだった。
何だか緊張もした。
久しぶりに家族全員が揃った食卓にはひかりもいて、僕の食卓には並ぶはずの無かった見事な料理。
父さんの優しさや母さんの愛、ひかりの存在が心に染み渡っていくのを感じた。
食事の後こっそり泣いていたのは秘密だ。
「じゃ、そろそろ行きましょうか。」
母さんの声でもう23時になっている事に気づいた。
「うん。」
ホテルまでの車の中はなんだか温かくて、僕もひかりもいつの間にか眠ってしまっていた。
プレゼントを渡し忘れたのは僕が自分の部屋のベットに横になった時だった。




