片想い
「由美達が言っていたこと、本当だったんだ・・・。」
夜、自分の部屋に篭ってしまうのは、今日彼の横で幸せそうに笑う女の子が気になるからだろうか。
それとも、単純に羨ましいから。
たぶん、どちらもだろうな。
今日、母に買い物を頼まれた私は空港の近くに食材を買いに行った時に、偶然隆志君を見つけたのだ。
コンコン。
ドアをノックする音が聞こえた。
「夏帆。ご飯食べるの?食べないの?食べるんだったらさっさと下に下りてきなさい!」
「ご飯、今日はいいよ。」
母の声が聞こえた。
いらないという事を言ったが、返事が無いという事は何も聞かずに下に下りたのだろう。
あれは、たぶん手紙の人なんだろう。
私よりは年下に見えた。
だけど、私に比べると何処か落ち着いた感じがした。
「彼女いるんだったら、さっさと諦めるか・・・。」
頬に暖かいものが流れた。
私は臆病だ。
あの手紙の事をもっと早く聞いていれば、今はたぶん他の男の子の話で盛り上がっていたんだろうな。
でも、手紙の事は聞く勇気が出ない。
聞くつもりも無い。
聞いてしまえば、隆志君はもうあの女の子しか見ないんだろうな。
話をするチャンスはたくさんあった。
彼が嘘をついて部活を辞めてしまったことは知っている。
毎日毎日、図書室の端っこで一人で読書をしているのを何回も見た。
見ていることしか出来なかった。
挨拶くらいはちゃんと言えた。
でも、挨拶だけだった。
それ以上は、手紙が頭の中を埋め尽くしてしまい自分から下がってしまった。
だけど、今私の目から流れているものは何だろう?
今は一人だから泣いてもいいが、学校が始まってしまえば彼に逢う。
諦める・・・。
何もしていないのに諦めるの?
たぶん、我慢できないだろう。
この気持ちは押し殺すことは出来ない。
押し殺したくもない。
「今日は泣こう・・・。」
諦めることが出来ない、後一年も高校生活は残っているのに。




