夏が過ぎ、そして・・・
「牧野!おはよう!」
「朝から元気ですね。先輩。」
朝からうるさいくらいの挨拶をしてきたのは陸上部の名前も知らない先輩だった。
噂ではこの先輩は夏帆さんの事が好きらしく、仲良くしていた僕を嫌っていたそうだ。
陸上部を辞めた僕は、自然に夏帆さんとの関わりは無くなっていった。
理由はともかく部活を辞めた僕を先輩は気に入ったらしく、遭遇すると必ず挨拶をして来てくれるようになった。
「起立!礼!着席。」
朝礼が終わり、今日も学校が始まった。
「じゃぁな!」
クラスメートが部活に行くのか、一人また一人と颯爽と教室を去って行った。
そんな光景をぼんやりと眺めていた僕は、いつまでも教室に居ても仕方ないと思い図書室へと向かった。
図書室はまだ帰宅していない生徒でいっぱいだった。
静かに端っこの方の席へと向かい鞄を置いた。
いつの間にか僕は、転寝していた。
図書室には既に僕一人しか残っておらず、窓から見える太陽はオレンジ色に輝き始めていた。
このまま図書室で本も読まずに寝ているのはさすがにまずいと思い、図書室の入り口に向かい靴を履いた。
ゆっくりと歩く僕と同じように周りの景色もゆっくりと変わっていった。
バス停に着くと、いつもはうるさいはずの車の音や学生の話し声は不思議と遠くから聞こえた。
ベンチに一人座る僕に静かな優しい風が吹いた。
「もう秋なんだ・・・。」
もう一度優しく吹く風に、僕の呟きは遠くへ消えていった。




