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雪月花  作者: 茶葉風味
14/42

心の中

朝日は相変わらず眩しく、バス停に一人立っている僕を照らしていた。


五分くらいするとバスが到着した。

バスの運転手に定期を見せいつもの後ろの席に座った。



僕の家から高校までは三十分ほどバスに揺られると着く。

少し遠いが僕はバスに乗っている一人の時間が好きだ。


たまに近所のおばあさんが、朝から病院に行くために利用する以外ほとんど僕しか乗らない。

良太は高校の寮に入っているため今頃はまだ寝ているだろう。



部活はいつも19時過ぎに終わるため、バスの最終が18時30分だったものを、僕の為に19時30分最終にしてくれた。

小さい島ならではの暖かさなのだろう。


そんな事を考えているとあっと言う間に高校に着いた。


バスから降りると陸上部の皆が朝の練習から帰ってきたところだった。



「牧野!おはよう!」


この人の名前は覚えていない。

妙に馴れ馴れしく、夏帆さんとは違ったお節介を僕にしてくる人だ。


「おはようございます。」


一応先輩なので挨拶は丁寧にした。


ゆっくり自分の教室へと向かい、顔見知りの生徒に挨拶をしつつ目的地へと到着した。


「おはよう。」

教室に入る前にいつも僕は誰に言うわけでもなく言っっている。


「おはよう。」


クラスメートの数人が挨拶を返してくれたが僕はクラスメートの数人しか名前を知らない為、すぐに自分の席に座った。


左側にある窓から外を眺めていると、知らない女子が声をかけてきた。


「あの、牧野君。今日放課後ちょっと時間貰える・・・?」


突然の申し出に僕は戸惑ったが短く返事をした。


「わかった。」






















「ごめんなさい。今はそんな事考えている余裕が無いので。友達だったら全然大丈夫だよ。」



朝、放課後の約束をした女の子は僕の事が好きだったらしい。

その子とは今まで関わったことは一切無く、ただ僕みたいな東京から来た男子というだけで憧れのようなものを感じて告白をしたのだろう。

この時の僕は深く考えることはせず、泣きながら去っていく女の子を見てすぐにそう結論付けていた。

さっきの女の子で僕に告白してきたのは三人目だった。

みんな同じような理由だったためそう思った。





「はぁ・・・。」

短く溜息が出た。




「溜息すると幸せが逃げるよ。」


不意に後ろから声が聞こえた。


「あぁ。先輩居たんですか?」

後ろを振り返ると夏帆さんが立っていた。


「驚けよ!」

普通に接してきた僕に不満を感じたらしく、夏帆さんはそう叫んだ。


「それよりも先輩。人の告白を見るとか趣味悪いですよ。」


「いや、見るつもりは無かったんだけど二人とも同じ陸上部の後輩だし気になったっていう・・・。」


  





その後、夏帆さんと競技場に向かった。

着替えを済まし、ウォーミングアップの為競技場のグラウンドをゆっくり走った。

確かに朝の彼女はいた。

女子部員と一緒に若干元気が無いように感じるが、ウォーミングアップを始めていた。




その日僕は彼女が同じ陸上部だったということを初めて知った。


「悪いことしたな・・・。」



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