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想い
第一章 振り返る想い
その想いは唐突に
確か十年前、前に進みたいという想いが確かにあった。
ある朝、鏡の中の自分の姿を見つけた時急に何事も無かったかのようにに失われていた事に気がついた。
僕は想像していた自分の姿が何かとてつもない恐怖の象徴だったのかもしれないと思った。
それは、何なのか僕自身はっきりとしたことがわからない。
ただひたすら一生懸命働いて前に前にと進むために・・・。
29歳になった僕は前に進めているのだろうか。
夜になると暗い部屋に篭り、ビールを片手に月を見上げる。
ベランダに出ては煙草に火を付ける。
「ふぅ。」
吐いた煙が空へ昇っていく。
不意に頬に冷たいものが溶けて消えていった。
空を見上げると、白くてふわふわとしたものが降ってきた。
「今日は一段と冷えると思った。」
僕は部屋に戻り、厚手のコートをワイシャツの上から着た。
ギィー。
バタン・・・・・。
僕は前に進めるのだろうか・・・・・・。




