【標本No.10】交わらない二人
掲載日:2026/07/05
――どうやら、私の恋は永遠に叶わないらしい。
みんな、離れていった。付き合っては別れて、繰り返した。
だれもが、こう言った。
『俺のせいだから、気にしないで。』
みんな、嘘つき。
分かってるんだ。人よりも愛が重いこと。束縛してしまうこと。
どうして、分かってくれないんだろう。
どうして、まるで私が異常だというんだろう。
ねえ、普通ってなに?
私には...これが普通なのに。
いつもなら、それで諦められた。
でも、今回は違う。
彼は、彼だけは。
――本気だったから。
私は着々と準備を進めた。
それとなく予定を把握し、夜にジョギングしていることを知った。
夜中。キッチンからそれを取り出す。
彼が来るであろうコースの終着点。
はじまりの、公園。
ベンチに座る彼の背中に、残酷にも刃が立てられた。
生々しい血の滑り。
口内に広がる苦いしびれが、刃から伝わる彼の熱を追い越していく。
これでいい。もう、誰にも『重い』なんて言わせない。
私たちは今、同じ重さの死を分け合っているのだから。
彼の生命が尽きるより先に、少女は毒によって命を絶った。
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