表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

62/74

第4章 ep.17 筋肉覚醒 ― ガルドと秘薬プロテイン

 反乱軍の拠点。

 焚き火の前で、バルドが木箱を抱えて現れた。


「ガルド殿。これを開ける時が来ました」


 重い蓋を開くと、中には黒光りする瓶が並んでいた。

 ただのプロテインにも見えるそれを、反乱軍のマッチョたちは神妙な面持ちで囲む。


「……なんだこれ。まさか、ただの栄養剤じゃねぇだろうな」

 ガルドが眉をひそめると、バルドが力強くうなずいた。


「これはスパルディアの真の戦士にしか伝授されぬ秘薬――“プロテイン・ネクター”。

 ただの栄養ではない。過去に積み重ねた全ての鍛錬、その汗と努力を、一気に開花させる触媒なのです!」


 マッチョたちが一斉に拳を突き上げる。

「「努力は裏切らない!!」」


 ガルドは苦笑を浮かべつつも、瓶を手に取った。

「……もしこれで何も変わらなかったら、恥ずかしいな」


「ご安心を。筋肉は嘘をつきません」

 バルドが断言した。


 ごくり、と喉を鳴らして飲み下す。

 次の瞬間、全身に雷が走った。


「――っぐぁぁぁッ!?」


 筋繊維が膨張する。

 血管が浮き出し、熱が心臓から四肢へ駆け抜ける。

 まるで体の奥底で眠っていた“力”が、一気に解き放たれていくようだった。


 膝が砕けるかと思うほどの衝撃に、ガルドは拳を地面に叩きつける。

 土が爆ぜ、石が砕ける。


「こ、これ……! 俺の筋肉が……暴れてやがる……!」


 マッチョ軍団が感極まって涙を流す。

「「でかしたぁぁぁぁ!!」」


 夜を徹しての特訓が始まった。


 斬撃の速度が倍加する。

 ソル・エクリプスを振るうたびに、光と影の衝撃が遅れて爆ぜ、木製の標的を粉砕した。


「ガルド殿、もう一撃!」

「おうッ!!」


 拳で岩を砕き、スクワットで地面を震わせ、腕立てで土を抉る。

 マッチョたちはその姿を讃えるように雄叫びを上げ、時に一緒に筋トレを重ねた。


「一、二! 一、二! 控えめ雄叫びで補助するぞ!」

「やかましいわ!!」


 だが、その声が不思議と背中を押した。

 汗と涙が混じり、己の筋肉を研ぎ澄ませていく。


 三日目の朝。


 ガルドはソル・エクリプスを振り下ろした。

 二重の斬撃が大地を裂き、衝撃が遅れて爆ぜる。

 その威力に、訓練場の岩が粉々に砕け散った。


 荒い息をつきながら、ガルドは笑った。

「……悪くねぇ。今までの努力が、一気に筋肉になったみてぇだ」


 バルドとマッチョ軍団は涙を流し、肩を組み合って叫んだ。

「「筋肉は裏切らないぃぃぃ!!」」


 その雄叫びに背を押され、ガルドは空を見上げた。


(リリア……待ってろよ。

 俺の筋肉、全部ぶつけて……正気に戻してやるからな)


 その誓いが、汗と共に胸に刻まれた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ