表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/74

第3章 ep.10 火山への道

翌朝。

 工房には、昨日の晩餐の名残りが漂っていた。テーブルの上には干した魚の骨が散らばり、鍋にはまだ出汁の香りが残っている。


「よし……!」

 ガルドは背に剣を背負い直し、立ち上がった。

「モルティナの盾が完成するまでに、俺たちは“黒曜竜の牙”を手に入れる」


「ほんとに行くんすか……火山っすよ、火山!」

 ラッツは顔をしかめ、額に手を当てる。

「俺、暑いの苦手なんすけど……」


「文句言うな。次の一振りのためだ」

 ガルドは静かに言い放つ。


 カイが炉の火を弄りながら口を挟んだ。

「黒曜竜の牙は火山の奥だ。奴は“溶岩を喰らう古竜”と呼ばれてる。普通の冒険者なら近づくだけで丸焦げだぞ」


「うわぁ……なんて危険な響き……」

 ラッツは頭を抱える。


「でも、ガルドの剣が強くなるなら……」

 モルティナは盾を抱えたまま、きっぱり言った。

「私は、行く」


「おお、モルティナたんかっこいい!」

 リリアがぱちぱちと拍手した。

「ま、軍神様はこのリゾートで優雅にお昼寝して待っててもいいんだけどね~♡」


「お前も来るんだよ!」

 三人の声が揃って飛ぶ。


 準備を整えた一同は、リゾートの街を抜け、北へと進んだ。

 街道沿いには椰子の木が並び、色鮮やかな花が咲き乱れている。南国の楽園のような光景も、次第に影を潜めていった。


 やがて地面は黒ずんだ岩肌に変わり、空気はじっとりと熱を帯び始める。

 潮風は次第に消え、代わりに焦げたような臭いが鼻を突いた。


「うっ……もう暑いっす……」

 ラッツが汗を拭いながら呻く。


「まだ入り口だ」

 ガルドは険しい目で前を見据える。

「ここからが本番だぞ」


 モルティナも盾を握り直し、真剣な顔になる。

「……火山って、本当に燃えてるんだね」


 遠くに赤黒く煙を吐く山がそびえていた。

 大地は割れ、ところどころから溶岩がにじみ出ている。

 空はどんよりと曇り、熱気が視界を揺らしていた。


「わぁ……映える……! 写真撮りたい!」

 リリアは両手を広げ、きらきらした目で景色を眺めている。


「遊びじゃねぇんだぞ!」

 ガルドが一喝する。


 その時だった。

 足元の岩がぐらりと揺れ、地面の割れ目から赤い光が漏れ出した。

 ごうっ、と吹き上がる熱風。


「ひっ!? な、なんか出てきたっすよ!」

 ラッツが悲鳴を上げた。


 割れ目から姿を現したのは、溶岩に包まれた小型の蜥蜴のような魔物だった。

 赤熱した牙を剥き、こちらへ飛びかかってくる。


「前哨戦ってわけか」

 ガルドは剣を構えた。

「行くぞ!」


 火山の試練が、彼らを迎え撃とうとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ