俺の未来に幸あれ!〜2人でのクリスマス〜
後書きはおまけとして扱ってます。
俺の名前は去井慎也。
4月半ばに大学生及び彼女持ちになった。
今は12月である。
「あ、いたいた、去井くん」
俺に話しかける彼女、本坂満帆。
―4月の時、同時に?告白して付き合い出した。
「講義ようやく終わったんだよ、聞いて〜」
この愚痴は付き合う前から始まっているから慣れている。
「なに、本坂さん?」
「去井くん、同じ講義だよね?」
「それはそうだな」
「何で話してこないの!?」
それは……話しかけずらいから。
だって、俺がどうやって女子と女子の会話に混ざれと?
本坂、そこを気づいてくれ〜。
「まあ、帰り道一緒なんだし」
「それはそうだけど……」
「本坂さん、そういや来週の休日空いてる?」
「来週?空いてるけど?」
「休日どこか行かない?」
「行く!」
即答。まあ、無理もない。
2週間ぐらい忙しすぎてスキンシップが出来ていないからな。
「何時にする?午前2時?」
え、午前2時は早すぎない?
「本坂さん、遊べる施設開くの9時ぐらいだけど?」
「じゃあ7時!朝ご飯も一緒でね?」
笑顔で言う本坂。勝てるわけがない。
むしろ勝てる男がいるなら教えて欲しい。
「分かったよ、本坂さん」
ウンウンと頷く本坂。よっぽど嬉しいのだろう。
とは言え、付き合って初めてのデートか。
付き合ってないあの時はデートではないからな、ただ本坂が俺に愚痴をこぼしてるだけであるからな。
――休日――
俺は5時20分に起きる。
おとう……じゃなく妹は寝ている。
勿論、出掛けることは伝えてある。
シャワーに入り、着替えて外へ向かいたいが服何色にしようか。
本坂が好きな色は何色だったけ。
俺は本坂とのトークを見返したが、そもそも好きな色を聞いたことがなかった。
…黒にしよう。
理由は簡単だ。これしか何故かなかった。
そして、歩いて本坂の家に向かう。
本坂の家にだんだんと近づいていくと誰かが待っている。
あれは、本坂か。
安心した、これで親出てきたらどう説明しようかと。
「じゃ、去井くん、イオン行こ?」
「イオン、まだやってないけど?」
「じゃあ、ファミマ行こうか」
そういや、朝飯もいるんだった。
俺は頷き、向かい、入る。本坂はカゴにどんどんコーラを入れてくる。
「本坂さん、食べ物入れたら?」
本坂が、ジロっと俺を見てくる。
やべ、地雷踏んだかな?
「コーラは太らないって言ったでしょ?」
カロリー書いてあるだろ、どう見ても太るけど?
「ソダネー」
「よし、去井くんも分かったようだね、コーラゼロを1個奢ってあげよう」
「あ、ありがとう」
なぜ、コーラゼロなんだ。本坂だし、俺は考えることを放棄した。
そして、俺達は会計をし、コンビニを出た。
「時間は今9時だけどどうする?」
「う〜ん、カラオケ?」
なんっで!俺、あれ黒歴史なんだけど、仕方なしに頷く。
「よし、じゃあ行こうか!!」
ああ、悪夢が、誰か助けて〜〜!
俺達はバスに乗った。
「ねえ〜どこ行く?」
「そうだな〜」
あの慣れてる感じ、かなりの年月が経っているカップルであろう。
だけど、なんか聞いた事ある声だな。
本坂はイヤホンしてて聞こえてないと思うが。
そして、カラオケがある市へ着いた、さっきのカップルもここで降りたようだ。
「本坂さん、起きて」
「寝てませんけど!?」
え、コーラ飲んでスッキリしてそうだから寝たと思ったのに。
「じゃ、カラオケ店行こうか」
「そうだね」
「あ、満帆!」
ん?大学生の友達か?それか酒谷の彼女か?
「やっほ〜、上杉ちゃん」
上杉って言うんだ。じゃあ、酒谷の彼女ではないな。
「えっと、この人は誰?」
え、俺そんな知られてないの?
教授と案外話してるから目立ってると思ったのに。
「もしかして、スト……」
「あ〜違うよ、彼氏だよ」
女は吃驚する。俺が彼氏ってそんなおかしいかな?な?
「本坂、告られたの?」
「え、両方告りかな?」
まあ、それで合って……いるか?
俺むしろ強制されてた気が。
「へえ、まあ気をつけてね?」
何が?上杉という人は本坂にぼそぼそと伝える。
「いや、去井くんなら大丈夫だよ?」
「分からないよ、あーいう人ってのは?」
もしかして、浮気疑われてます?
しませんよ?本坂さんが悲しむし、俺も心痛むので、絶対にやらないよ?
あ、けれど未来見える能力は話しておいた方が良いか。
「うぅ」
なんか本坂押されてない!?大丈夫か!?
そして、上杉という人は帰っていく。
「ええと、本坂さん大丈夫?」
「大丈夫……」
ちょっと泣いてる?えっと俺疑われてますよね?多分。
俺はこの時、本坂を抱きしめた。
「大丈夫」
俺はもう本坂を悲しませたくない。
そして、俺は前に本坂が好きだと自覚し、告白したんだ。
悲しませるわけが無いだろ!
「去井くん、ありがとう」
本坂は涙を堪えながら言う。
「大丈夫、涙を堪えなくていい」
本坂はもう1度泣く。
「去井くんにも嫌われるんじゃないかと思うと…」
その続きは言わなくていい。俺にも言葉は刺さる。
「大丈夫、告白したんだから」
「ありがとう」
涙を拭きながら本坂は笑顔を見せる。
この笑顔を守りたいと思ってる。
「あ、けど話したいことはある」
「話したいこと?え、去井くん、良い感じだったのに……もしかして?」
「違うから安心して」
未来が見える能力の話をしないといけないからな。
「あ!話したいなら私の家に一旦入る?」
何故に?けれど、まあいい、俺達は本坂の家に入った。
「では話を聞こうか、去井くん」
俺はソファーに座る。
「いや、あの俺さ」
「うんうん」
「未来が見えるんだよね」
本坂は首を傾げる。そりゃそうだ。
「去井くん、大学生なんだし中二病は卒業したら?」
「いや、だから」
って!お前も高2のクリスマスの時、中二病が買いそうなケーキ買ってたろ!お互い様だろ。
「で、全体の未来が見えるの?」
多分合わせる為だな。これは。
「いや、その対象の相手との付き合った未来が見えるというか……」
本坂がしょんぼりとする。
「いや、俺が意識しないと見えないから」
「去井くん、すぐに告白OKしそうだったもんね」
しませんけど!?え、あの高3の頃のお祭りデート?みたいなやつ引きずってる?もしかして。
「本坂さん以外に告白した事ないから!」
俺は頬を赤らめた。本坂は俺に嬉しそうな表情を見せる。
「後、もう未来が見える能力は無くなった」
「それを先に言ってよね」
「ご、ごめん」
「まあ、去井くんだしね」
だからそれ、本当何?もしかして、ディスってる?
「去井くん、もしその能力が復活しても使わないでね?」
「分かってる」
恋愛で悲しむのがダメージでかいのは俺も経験(仮)をしてるからこそ分かる。
「じゃあ、去井くんの話も聞いた事だし、ファミレス行こ?」
あ、ファミレスは行くんですね。
そして、ファミレスへ着いた。
「本坂さん、何頼む?」
「ドリンクバー全種類」
「それは自分でとってきて」
「じゃあ去井くん一緒に取ってくる?」
それは……ありかも。ここはスマホで決済できる所だから財布は持ってきてないし、スマホはポケットの中に入れてある。
そして、俺達は注文し、ドリンクバーへ向かった。
「本坂さんは何を飲みたいの?」
「コーラ!」
ブレないな。
「じゃあ、俺なコーラゼロにしようかな」
「ちょっと!」
本坂が肩を軽く叩く。
「え、何?」
「何でコーラゼロなの?」
コーラよりコーラゼロ派なのは黙ってた方が良いのだろうか?やっぱり正直に答えるべきだな。
というかさっき、本坂、俺にコーラゼロ買ったよね?
「コーラゼロの方が好きだから」
本坂は「ふうん」と言い、席に戻った。
「去井くん、思ったけど体重何キロ?」
本坂が質問した瞬間チーズハンバーグとクリスマスソーダが届く。
「体重?あまり覚えてないけど、確か先月乗った時には52とか?」
本坂はクリスマスソーダをぶはっ!と吐く。
「だ、大丈夫?」
「去井くん、そんなに軽くて大丈夫?身長170とかでしょ?」
「173だけど……」
「私の身長より8センチ高い」
本坂165センチなんだ。
「あれ、体重は?」
「去井くん、話題を変えるのは良くないでよね?」
先に話題振ったのはそっちだよね?!
そして、本坂は完食し、俺はその10分後に完食した。
外を見ると、もう夕方である。
「去井くん、どうする?あそこ泊まる?」
本坂が指をさす。
ピンク色のネオン灯……どうみてもラ〇ホだよな?
「本坂さん、そこあれだけど、大丈夫?」
「え!」
本坂は看板を見る。
「私の家に来る?」
「さっき行ったし、今度は俺の家なんてどう……かな?」
本坂はOKサインを送る。
「本坂さん、俺の部屋でいい?」
「いいよ」
本坂は笑顔になる。
「本坂さん」
「なに?」
俺はこのまま本坂が"彼女"のままでいいのだろうか。
本坂は可愛い。告る人も沢山いるだろう。
ましてや大学。高校よりも個性が大幅に広がった人が来ている。
そう、俺はもう告げるしかない。
「本坂さんから告白してきてくれた事、俺はとても嬉しかった」
「うん、ありがとう!」
本坂はまた笑顔を見せる。
「今度は俺が君に幸を、卒業したら」
本坂はこれを聞き、泣きながら
「ありがとう、約束だよ?」
俺は頷いた。
『婚約』……結婚することを約束すること。
そして、今俺が言った。
「あ、だけど未来が見える能力は駄目だよ?」
「はい、ごめんなさい」
そして、俺は今日の日付を言う。
「本坂さん、12月24日だからプレゼントを持ってきた」
「私も持ってきたよ」
2人で交換をした。
そして、中身を開ける。本坂から渡されたのはお礼の手紙とコーラ10L、いかにも本坂らしい。思わず俺は少し笑ってしまった。
けれど、最高のクリスマスプレゼントだ。
本坂が俺のプレゼントの中身を開ける。
そして、本坂も笑う。
「去井くん、私と一緒のプレゼントなんて」
そう、俺と本坂のプレゼントの中身が一緒だったのだ。
まあ、お礼の手紙の内容は別だが。
「去井くん、ありがとう」
「俺もありがとう、本坂さん」
俺たちはもう友人ではなく、恋人ということを
再び理解した。
「本坂さん、これからも一緒にね?」
「去井くんが年下にデレなければ」
俺は強く否定した。
「デレないって!」
おまけ
「ところで去井くん」
「なに?本坂さん」
「何で付き合って婚約までしたのにさん付けなの!?」
それは呼びやすいからなんだけど、言ったら怒るよな?
「癖が抜けてない感じかな?」
「ふうん」
よし、多分これバレてる!
「満帆呼び、してみて!」
「…ほ」
「聞こえない、もう1度!」
「満帆さん…」
本坂は「やった!」と言う。
「では皆にもあれ言おうね」
え?何を?
「せーの」
「皆に幸あれ!」
「俺の未来に幸あれ!」
「去井くん、大丈夫?」
あ、まちがえた。皆に幸あれ!