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ジャングルジムの上で

 子ども達を帰宅へと誘う、童謡が流れた後に、公園の子どもは1人、また1人と帰って行く。


 公園は夜の暗みに支配され、公衆電話と街頭の付けられた光がその場を照らしても、時間とともに人の存在が気薄になってくる頃に俺がひょっこりとそこへ顔を出す。


 昼に多くの子どもたちが、街の王様のなった気分で見下ろすジャングルジムでは、今は、俺がただ1人空を見上げる。そこには一番星が、今日も輝いていて小さな俺をも降ろしている。


久木留(くきとめ)君――!」

 その声は、俺呼んだ。星から見てとっても小さな俺は、とっても気安くジャングルジムの下から呼びかけられていた。


「何? 桃井さん」


 彼女は桃井千鶴(ももいちずる)、駅の近くにある『秋の北浦高校』1-1の同級生、身長179センチある俺と真逆で、身長の並び順では前から数えた方が早い女の子。可愛いか? そう聞かれたらもちろん可愛い。陸上部で瘦せている。


 そして以前、ありふれた日常の中で、突然話しかけらた時も……。


「久木留くんは、さー将棋部なのは得意だからなの?」


「いや、別に消去法」


「そうなんだ。眼鏡かけてるから、そういうの得意な人かと思ってた」


 彼女は、大人しい女子グループに居るから、男と頻繁に話す方じゃないけど、その時の力が抜けてありふれた話し方っていうのか? そういうとこは嫌いじゃなかった。



「久木留君、お願い降りて来て!!」


 そして今は、俺にお願い事があるらしい。


 でも、今日の彼女は学校の時と雰囲気が変わっていて、白いブラウスにピンクのふわっふわっのミニスカート、女の子ってものを意識した可愛らしい恰好をしているし、俺は戸惑いながらそれでもジャングルジム降りて、彼女の前に立つ。


 地上に降りると桃井さんは相変わらず小さくて、桃井さんではあるらしい。


「降りたけど何? 学校の用事の話しとか? 宿題とか?」


「理由は歩きながら話すけど、駅前までついて来て欲しいの。お願いします」


 彼女は、俺の前で見事な前屈を披露するけど、桃井さんは今は、ミニスカートって事忘れてない? 人通りがないけれど、そんな事が気になってしまう。急にいっも違う印象で現れたので、少し必要以上に彼女の事を意識してしまう俺がいて戸惑う。


「じゃー駅に着くまでに話聞かせて」


「うそ!? やったー! ありがとう」


 俺と彼女は公園の横の道へと続く入り口から出ると、細い道を歩く。誰も居ない畑の前の道に来ると、彼女はふたたび話し出す。


「1週間前に告白されたの……。2年の部活の先輩に」


「へ――、なんて先輩? そして何で俺も行くの?」


「赤石先輩って言って、陸上部の部長なんだ~。久木留くんにも一緒に付いて来てほしいから、それが理由。それで納得してほしいのだけど……どうかな?」


「ふーん、やっぱり知らない先輩だけど、付いて来てほしいのはわかった。とにかく俺は平和主義だがら、何かあったら一緒に逃げよう」


 告白の返事に異性を連れて行くって行くって事は、そう言う事なんだろうと思うのと、こんな時間なのでやはり一緒に行くべきだろうとは思った。


「なんか察してもらったみたいだね」と、彼女は少し苦笑いをしてから「上手く言う気もないけど、まぁー最近知り合いが彼に告白して今、返事を保留されてるらしいと、聞いて……」


「あ……、いや……世の中の男は、そんな奴ばかりじゃないから」


「告白されて嬉しかったから、言ってるんじゃないらね。そこはわかってね。あっ……でも……」

 何故か、俺は全男性を代表しそう弁解をし、彼女は自分の心に何かを見つけたらしく口を閉ざした。


 ーーでも……か……。


「でも、嬉しいかったかな。やっぱり格好が良くて、目指す所が同じで、リーダーシップもある。これは普通に嬉しい事だよ! うん! でも、告白されて保留しておいて、告白は違うよね?」


 桃井さんは僕の顔に噛みつく勢いで近づく。


「正直先輩の気持ちはわかる」

「えっ!? わからないでよ」


 彼女は凄く驚いたって顔で俺をみる。そんな彼女は少し面白い。


「何で笑ってるの?」

「うーん、制服姿じゃない君は、自由奔放って雰囲気で別人みたいだからかな? 怒ったているとし理由も納得できる。でも、学校のイメージだと断って終わりな雰囲気が強かったから、そのギャップに少し興味深い」


 そうは言ってみても彼女の横で、その先輩の中途半端な行為に対して、俺が断罪する様な事になったら少し面倒だなと思っていた。部活は、違えどやはり先輩同士の横のつながりは面倒そうだ。


「私も君に言われてみればそうだろうなとは思う。だけど……、すべて聞いてから考えたい、本当はどう思っているのかとか、追及したい!」


 握っているこぼしに力を込めている様で、微かにこぶしが揺れているが、それは歩いているせいかもしれない。


「好きになるかを?」そう言った俺を、彼女はきょとんと見つめる。

「こんな状態になっても好きにならないよ? 君は好きになるの?」


「いや、ごめんならない」


「今後どうするかを考えたいって事、そして今の問題はやっぱり男女分かれているとはいえ、同じ部活の先輩だし、部活内にその先輩と中のいい女の先輩も居るから日和りました……。無難に『付き合ってる男の子居る』ってたら、『うそでしょう?』しつこくて今日合わせるって言っちゃった……。だからお願い!」


 だから俺か、断罪する確率が減って助かる。が……。

「それじゃあ俺が、その先輩に恨まれるな……」


「かもしれない……でも、久木留君なら付き合ってくれると思って……」


 俺の好感度は、何故か桃井さんの中で爆上がりしている様で、彼女は俺に頼みに来たわけか……。ただ単に通りすがりに、俺が居た可能性もぬぐえない。


「わかった。でも、それでも食い下がって来たとかあれば、親や先生のところへ相談へ行く。それでいい? もう出来る事はないだろう?」


「本当!? ありがとう――」

「はいはい、でも、食い下がるくらいならなんで、知り合いの告白保留なんだろう?」


「私がおとなしそうに見えるからかもね。だから次へ行く前にもう少し押してみるか? みたいな?」

「ああ……そっか……」


 そこは俺やっぱり理解出来るだけに、それしか言えなかった。桃井さんはそれでも、胸のつかえが取れた様な笑顔をして「実は、録音用に携帯も持って来ているんだよね」って言った。


 ーーやはり学校から出ると、少し桃井さんはおもしろく、興味深い。たぶん彼女がいつもより女の子している事や、可愛いスカートやふたり2人の距離もだいぶ関係がある。


 それからは俺の部活の事を聞いて来たり、テストの結果を聞いて来たりいきなり話が、切り替わって俺を驚かせたりしたが、やはり印象は変わらなかった。


 でも、さすがに駅前まで来ると少し言葉少なになる。そして俺の手を握り。


「これはセクハラとかじゃないんです」と、言ってまた黙った。


 駅前のロータリーの郵便ポストの横に、ふんわりイケメンの男が居て、そいつの手前で――。


「ごめん、待っていて」


 そう言って彼女は、ふんわりの所へ行き二言三言話すと、俺のもとへ帰って来て手をつなぐ。


 そのまま彼女に手を引かれるまま、駅の階段を登っていく。そして階段から下をのぞき、あの先輩が帰った事を確認すると、その場に座った。


「ありがとう……でも、知り合いの事は言えなかった自分に少し……ねっ」


 そう言って彼女は携帯を、取り出して何やら打ち込んでいる。あの男に告白をした女の子にだろうか。


「俺なんか飲み物、買ってくるけど何がいい?」


久木留(くきとめ)君、ありがとう。甘いフルーツのジュースお願い」


「わかった」


 駅構内の自動販売機で、いちごのジュースとコーヒーを買って戻ると、疲労こんぱいでうずくまり頭を腕に埋めている、桃井さんがいた。


「録音ちゃんと、前半がうまくとれてなかった……」

 やっぱり少し学校から出た桃井さんは、攻撃力高めで少し面白い。


 桃井さんにジュースを渡し、彼女は、「ありがとう」と言って受け取りそれをゴクゴクという感じで飲む。その横で、俺はコーヒーをちびちびと飲んだ。


「でも、いいや、証拠とかこだわると大変だし。でもまぁーこれから彼女の家に行こうと思うのですよ」


「うん、そうか、早い方がいいかもな、まぁいろいろと……」


「だから、久木留(くきとめ)君も、ついて来て」


 彼女は、俺に顔を向けて大真面目に言った。


「あぁ……」 俺の声を聞き、彼女はちょっとニャっと笑った。


ーーあぁ、彼女にまた感心? 感服? とにかく、そんな気持ちになり……。


「桃井さんは本当にあれだよ」と腹を抱えて笑い。


「どういうこと?」と、意味が分からないって感じの桃井さんに、「ついていくから、そこは聞かないでくれ」と、言ったらしぶしぶ「わかった」と、絶対納得してない顔で言う。


 桃井さんは、大人しいグループに居ても、淡い雰囲気の桃って漢字が、苗字についていも、消せない何かがあって、昼の学校では見えないが、夜はこんな面白い。あ、面白いってのは、俺が彼女にそう感じているだけか。


「ありがとう……、ところで久木留(くきとめ)君は、甘くないコーヒーが好きなの?」


「今は、そんな気分なだけ、行くぞ」


 そして僕は立ち上がり、彼女はピョコって感じで立ち上げった。


 そして彼女について行くと、彼女はジャングルジムの反対の方にむかって進んで行く。その間に話すのはやはり部活の話やクラスの生活のことなどたわいのない事だった。


 そして彼女は立ち止まる。ワンワンワン。彼女に向かって鳴く黒い雑種の家の前。


「私のうちはここだから、うちの前で待ってて、勝手に男の子に住所教えるのはよくないし、必要だったら連れて来るから」


 そう言って彼女は行ってしまった。俺と彼女の愛犬を残して……。


「お前……なんか飲みたいものある?」


 そう言ってもわんこは、ただしっぽを振るだけ……。そして勝手にお腹を見せる犬……なんか政権争いに気付かぬうちに勝利したらしい。触っても噛まないだろうか?


久木留(くきとめ)君、終わったよ――」


 彼女が駆けて来る。俺は立ち上がり、彼女の犬はお座りすると、俺にクーン、クーン言っている。何だこりゃ。


「あの先輩の事は諦めるって、だから明日、二人で2年の口の堅そうな女の先輩に相談だけはしてみるよ」


「そうか、困った事があれば俺も相談に乗るから」


「本当にありがとう。今度改めてお礼がするから」


「まぁ、そこまでじゃないよ」


 そうして彼女の告白された話は終わった。その後、数日、彼女は普通に学校へ来て普通に生活をしていた。彼女は、俺にとって大人しいグループの桃井さんに戻った。




 そう思いながら、久しぶりのジャングルジム。


 その上で、遠い空が、暗がりの色に染まって来たのをただ見守っていた。


久木留(くきとめ)君なんで、いつもここに居るの?」


 その声に気付き下をみると、今日はジャージの桃井さんがジャングルジムを上へと登って来る。


「はい、コーヒー。これで良かったよね」


「ありがとう。桃井さんこそなんでここに居るの?」


 フルーツミックスのジュースを飲む、桃井さんは答える。


「うちのくうちゃんはね、駅までの散歩じゃ我慢出来ないの。だからここら辺まで時々来るんだよ。だから今日も居るかな? と思ったら久木留(くきとめ)君が居たから、くうちゃんには、我慢して貰って引き返して、ジュース買ってやって来たんだよ」


「それはお疲れ様」


「ううん、久木留(くきとめ)君のおかげでなんとか話しがまとまったし、この前はジュースを奢ってもらってたしね」


「そっか、これからはふたりとも悪い男に気をつけてな。まぁ俺の言う事ではないが」


「それはわかってるよ。だから悪くない男の子と友達から始めるべく頑張って今日もやって来ただってば、ところで久木留(くきとめ)君は、何でここにいつも居るの?」


 彼女は、自分の今行った言葉の重要性も理解して無い様にさらっと流して、ふたたび俺にここにいる意味ついて問いかける。


 だから、俺も気づかない振りで……。


「俺は、中学二年生の時、この県へ引っ越して来たけれど、何も知らない世界の空の上に相も変わらずオリオン座が、並んでいるからそれを近くで見てるだけ。ただそれだけ……」


「そっか……。そういうのいいよね」


 そうして彼女は、空を見上げる。そして俺は星と同じってまではまだいかないが、夜に輝きをます地上の星を少し見つめてから、夜空を見る。やはりオリオン座は、そこで俺を見下ろしいた。


 ただのそれだけの話。


 おわり

見ていただきありがとうございますー!


また、どこかで。

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