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望まれた姿  作者: ルイ
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作戦前日

話の合間にふと外を見ると、夜明けの空に何故か懐かしさを感じた、なぜだと考えてみるが自分の曖昧な記憶では理由もわかりそうもない、それでもこの特別でもなんでもないありふれた、この数日の間に見慣れたはずの景色は何処か懐かしく不思議ときれいだった


「ヴィクター…聞こえないのかヴィクター…まさか寝てんのかヴィクトールスターク!!」


パチパチと焚き火の音とともに名を呼ばれ、我に返る


「ああ,すまない大佐少し考え事をしていた」


「全く暢気なもんだな,それでもお前が頼りなんだしっかり頼むぜヴィクター」


「大丈夫,私も相棒もなんの問題もないきちんとこなしてくるさ,心配させてすまない大佐」


「気にすんなお前が急に考えに耽るなんて何時ものことだからなれるよ,ただ最近移動続きだったんで居眠りでもしてんのかと思っただけだ」


自分よりいくらか若い声で大佐の横にいる人物から心配そうな声がかかる


「そうですよ中佐,移動中も殆んど起きたままだったでしょ,いくら副長が戦闘用の機工体っていっても負担は相応に有るでしょう」


「私の機工体なら少し寝ればすぐに回復できるから問題ないよ君にも心配をかけてすまないなカール軍曹,任務が始まれば私と君の二人だけが前線に立つと言うのに」


確かに言うとおり今回の任務に就いてから少し無茶をしていたのかも知れない


「いえ私にそんな気遣いなど滅相もない,ただお疲れのようなら任務が始まるまで少しだけですがお休みになられるかと思っただけです」


「あぁ,それなら会議まで少しの間休ませてもらおうかな,大佐少し休んできても?」


「いいぞ,少しでも休んでこいその方がドールの操縦に支障でないだろ」


大佐も気に掛けてくれていたようだ


「では失礼します大佐,会議までには戻ります」


「ああ休んでこい,とはいってもヴィクターお前のことだ作戦内容なんていまさら確認しなくてもても覚えてるお前には必要ないことなのかもな」


「覚えてはいますが会議では認識の擦り合わせも重要なので必要ですよ」


天幕からでると慌ただしく白い息を吐きながら動き回る人々が見えるが、この数日で見慣れた光景だと思い自室へと足を運んでいると呼び止められた


「ヴィクトール中佐,オスカー大佐とのお話はもうよろしいので?」


「あぁ,話といってもたいしたようでもなかったのにわざわざ時間を取っていただいただけだからね,それも終わったから少し休もうかとおもってでてきたところだよ,今はカール軍曹と前線での作戦について話し合っているんじゃないかな」


「そうですか,それなら申し訳ないですがお休みの前に少しだけドールの調整でお時間いただけないでしょうか?」


「ドールの調整?大丈夫だけどいつもきみが完璧に仕上げてくれているからこちらから改善してほしいことは特に無いよ?」


お世辞でもなんでもなく彼の仕事はいつも丁寧で乗り手の事を良く考えた調整だ,先程の試運転も快調で特別普段と変える必要もないように思えた


「いえ、今回は普段の任務より少し戦闘が激化しそうなのでそこの調整とヴィクトール中佐の機工体が前回の任務と少し変わっているので今の機工体にあわせた最適化をさせて頂けないかとおもいまして」


「あぁ,そういうことならむしろこちらからお願いしたいぐらいだよお願いできるかな伍長」


「もちろんです,夜営地で予備パーツもすくないですが精一杯の調整をさせて頂きます、準備もありますので先にデッキにいってますね」


そういう伍長はどこかご機嫌な足取りで歩いて慌ただしい人混みに紛れて進んでいった、彼は誰かの機体の調整をするときはいつも嬉しそうに仕事をしてくれてこちらとしてもとてもありがたい。


「さて,準備もあるといっていたようだし彼のぶんの飲み物でももってから向かおうかな」


そのまま向かうよりはいいだろうと,人混みの先にある自室へと足を運ぶ


「外は寒い,彼は他の人と比べて体を機械化している割合が低いそうなれば暖かい飲み物の方がいいか」


そう考えレーションや飲料をいれている箱の中身を見るとパックのままで暖められそうなものが見つかる


「お,嗜好品だけどたまにはこれもいいな」


そうおもいコーヒーのパックと簡易コンロを手に取り部屋をでて慌ただしく動き回る人達を傍目にデッキへ進む


「すまない伍長少しまたせたかな?」


後ろから声をかけると返事が返しながら伍長がこちらに振り返る

「いえ、準備していたのでちょうどいいぐらいですよ…中佐それは??」


伍長が私の手元を見て不思議そうにしている


「今は整備も休んでいる時間だからね,わざわざ調整をしてくれるんだこれぐらい用意しなきゃね,それにたまには私もこういうのを飲みたいからね,調整が終わったら一緒に飲もう」


「そんな,わざわざ有難うございます,早いとこ調整してのみましょう」


そういいながら伍長は資料と共に何種類かの調整案を提示してくれる


「今回の任務は敵地へ入り込み前線基地を襲撃する本隊の援護と経路の確保が主な内容のようなので中距離の牽制用として取り回しのしやすい短銃伸のライフルと長距離への先制攻撃ようの背部レールガンを主軸にしつつ,要望にあった接近されたときの武装としていつもどうりエンジンブレードとアンカーネイル,腕部グレネード,ナックルグレネード,それに加えて機体制動用のアンカーテールを装備させています、」


「あぁ武装は要望どうりだね,でテールアンカーというのはどう言うものなんだい?」


聞き覚えのないものにたいして疑問を口にする


「これは本隊からの補給パーツにあった飛行機体ようのテールスタビライザーに手を加えて地上と低空機動での機体制御,文字どうりアンカーとして使っての急旋回や先端のブレードを使って敵機への攻撃に転用するもので,主に武装というよりは機体制御に使うのが主なようとのものです」


説明を聞く限りは自分も乗ったことのある飛行機体で装備されていたテールスタビライザーと同じようなものだと理解する


「そうか、それなら私にも使えそうだ」


そう言うと伍長が不安げな顔をする


「勝手に装備を増やしてしまって申し訳ないですが,飛行機体の操縦経験のある中佐なら使いこなせるかと,それと基地への襲撃へ直接参加するわけではないですが多数の敵機体との交戦が予想されるので変則的な機動や手数が増やせれば楽になるかと……」


「すまない責めているわけじゃあないんだ,ただ自分ではもて余してしまうのではないかと思っただけだから,気にやむ必要はないよ,それにいつも私たちの生還のために苦労をさせてすまない」


自分がそう言うと伍長は慌てた様子で口を開く


「苦労なんてとんでもない大佐や中佐には過去助けて貰った恩もあります,私が無事に生きて帰ってきてほしいだけなんです」


「いつも有り難う,君のお陰でいつも助かっているよ伍長」


自分がそう告げると伍長は嬉しそうだった


「そう言って頂けると私も頑張りがいがあります,武装のチェックはすんでいますので機体との接続と調整,試運転を始めますか?」


「そうだね,今回は武装の追加もしているから慣らしもしたいしそろそろ始めようか」


「わかりました,それではドールとの接続を始めます,試運転ですが実戦仕様での神経接続でよろしいですか?」


運転席に座りながら伍長へ返事をする


「あぁ,実践仕様で頼む伍長」


「では,神経接続を開始します一応テールアンカーは人形機工体では本来ないものなので擬似的な神経回路を形成し接続している状態ですのですぐに慣れるとは思いますが,合わないようでしたら可変式追加バーニアに換えます」


ドールとの接続が始まる


「やはりドールとの接続はなれないものだ」


ドールとの神経同化が進むにつれて自分のカラダの感覚がゆっくりと書き変わっていくような気がした

「ぐ、ぁぁぁ,,,,フゥ」


同化が終わる直前に過去がフラッシュバックしたような気がした


「中佐,接続完了です同化に問題はないですか?」


「あぁ,問題ないこのまま試運転を,とりあえず射撃武装を使用しての機動射撃のシミュレーションから入る」


ドールの体を起こし歩を進める,デッキの外へでると,遠くが少し白んできた空にはまだ月がでていた


火器管制システムの操作をしながらスラスターを吹かし空へ浮かび上がる,さらに強くスラスターを吹かし機体を空中へ滑らせる


「いいな空は」


空を滑るような軌跡を描いていると演習用人形が動き始める


「始める」


空を動き回り、火器管制システムを操作し演習用人形へと狙いを定め引き金を引く


左手のライフルから弾丸が飛び、蛇の舌のような残光が残る


背部レールガンを起動すると唸りを上げ、雷のような光が飛び散るとジャコンッッという音とともに地面が捲り上がり土埃が舞う


「機動射撃,問題なし火器管制システム誤差修正無し」


報告のため通信を行い、続けて機体を急降下させる


人形と交差する瞬間ブレードがジェット機のような唸りをあげ人形の胴体をするりと抜ける、そのままの勢いでアンカーテールを地面に突き立て、そこを機転にし機体を急旋回させその勢いのまま別の人形へと殴りかかると爆音と共に人形が吹き飛ぶ


機体を慣性に委ね進行方向へスラスターを吹かし前進させ、人形の側面へと回り込みその場で機体を反転させアンカーからスラスターを吹かすとテイルアンカーの先端が人形を貫通しそのまま地面へ縫い付ける


「伍長,試運転終わったよ,使いこなせるかと思ったけど結構便利だねテイルアンカー、まるで本当に自分から尻尾が生えたみたいに自由に動かせたよ」


「わかりました、それではデッキにお戻りください」


そう言われ人形からテイルアンカーを引き抜きデッキへもどる


歩くドールを雲の隙間から朝日が照らし出していた








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