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伝えたいけど、教えない 【男女サシ】

作者: まなお

〈注意事項〉


過度なアドリブはお控えください


台本を使用する際は、タイトルと作者名を記載の上で上演お願いします。

課金制・無課金制問わず自由に使用してもらって結構です。


使用の際の連絡は不要ですが、作者にDMを送ってくだされば、聴きにいけたら行きます!

アーカイブも残っていたら、送ってくだされば聴きます!

Twitter:manaosoda_




健太けんた

美智みち


25分目安


・・・



金魚すくいに励む健太と美智。お互いを認識していないが、同じ金魚を狙っている。



美智「…(集中しながら息を吐く)」


健太「こいつなら…」


美智「あと少し…」


健太「…よし」


美智「…今だ!!」


健太「うわっ!」


美智「ええ?!ああ〜ごめんなさい!!」


健太「いえ、こちらこそ。って、美智?」


美智「健太?」



ーーー



かき氷を食べながらベンチに座る健太と美智。



美智「(食べる)つめたっ!」


健太「ははっ(食べる)つめたっ!」


美智「何味?」


健太「(ドヤ顔で)レインボー」


美智「だっさ。小学生じゃないんだから」


健太「はぁ?そういう美智は何味にしたんだよ」


美智「ベー」


健太「は?」


美智「わかんないの?舌の色だよ」


健太「ああ、メロン?地味だな〜(笑)」


美智「どうせ地味ですよ。地味なジミチ」


健太「で?こいつどうする?」


美智「こいつね〜、とりあえず名前つける?」


健太「寺島とか」


美智「誰だよ」


健太「ゴルディ」


美智「ああ〜金魚だけにね」


健太「オサカナンポルス。略して『カナ』」


美智「適当〜(笑)」


健太「おっちゃんがサービスしてくれたから『サービス』とか」


美智「あんたセンスないね〜」


健太「じゃあ美智も考えろよ」


美智「ふふーん、8年ぶりの再会を記念して『ハチ』とかどう?」


健太「俺と似たようなもんじゃねえか」


美智「ハチ〜」


健太「おい、勝手に決めんなって」


美智「ブサイクだね〜ハチ〜」


健太「お前、ハチだって繊細なんだ!ブサイクとか、本当のこと言っちゃ可哀想だろ!!」


美智「お前もな。

ぷっ、はははは!懐かしいな〜このノリ。

8年か〜。元気してた?」


健太「元気元気。

にしてもさっきは驚いたよ。

美智がぶつかってきたせいで浴衣濡れたし」


美智「その節は申し訳ありませんでした。だからちゃんとかき氷奢ってあげたでしょ?」


健太「ご馳走様です。ま、ハチも迎え入れることができたし、いいだろう」


美智「え、ハチは私が持って帰るんだよ。」


健太「は?なんでだよ」


美智「だって名付け親だし」


健太「だったらオサカナンポルスに改名するわ」


美智「ハチが可哀想」


健太「うるさ(笑)」


(間)→ この間普通にかき氷食べてる咀嚼音とか


美智「健太ってさ、ぼっち祭り?」


健太「いや、はぐれ祭り」


美智「うわ、同じだ」


健太「はぐれ祭り?」


美智「はぐれ祭り。」


健太「連絡は?」


美智「充電切れた〜」


健太「モバイルバッテリーは?」


美智「も、充電切れ」


健太「バカだな〜、どんだけ電池使うんだよ」


美智「うるさいな〜、そう言う健太は?」


健太「充電切れ〜」


美智「同じじゃねえか。モバイルバッテリーは?」


健太「…ない。」


美智「…はぁ〜最悪。ちゃんと持ち運びなさいよ」


健太「俺、手ぶら」


美智「…最悪。」


健太「どうすんの?」


美智「一応、はぐれたら22時に駅前集合って決めてあるから」


健太「さすがしっかりしてる」


美智「健太の方は?」


健太「適当に楽しんで適当に帰るわ」


美智「悲しいね」


健太「うっせ。まあ、だから逆に美智に会えてよかったわ」


美智「私もよかったわ。22時まで付き合ってくれる人がいてくれて」


健太「もう帰ろっかな〜」


美智「ねえー」


健太「うそうそ。付き合いますよ。どうせやることないし。今何時?」


美智「スマホ死んだからわからない」


健太「時計つけろよ」


美智「お互い様な」


健太「はぁ…」


(間)


美智「何時だって?」


健太「21時27分。あと、あっちに普通にでっかい時計あったわ」


美智「あ、本当だ」


健太「(溶けきったかき氷を見せて)見てみ?汚い色」


美智「うわ〜どうしてそうなった」


健太「レインボーだったから、水になって全色混ざった」


美智「うげぇ〜」


健太「どうせシロップはみんな同じ味なんだから関係ないって」


美智「もう捨ててきなよ」


健太「(シロップ飲む)」


美智「糖尿病になっても知らないよ〜」


健太「よし。ゴミ箱どこだ?」


美智「あっち」


健太「おけ、捨ててくるわ」


健太がゴミ箱から帰ってくる。


美智「そういや健太って今何してる人なの?」


健太「プリメーラモールっていう店で料理人してる」


美智「へぇ〜何料理?」


健太「スペイン」


美智「スペインか〜。パエリアとか?」


健太「まあ、そんな感じ」


美智「今度行こっかなー」


健太「どうぞ食べにきてください。

   で、美智は?」


美智「ん?」


健太「今は何してるの?」


美智「一応、出版社で編集を」


健太「かっけえじゃん。何系?」


美智「今は、スポーツ雑誌の」


健太「へぇ〜、意外。「今は」って言うのは?」


美智「まあ、いつかはファッションに移りたいから」


健太「あの地味なジミチがファッションねえ〜」


美智「もう地味じゃないし!垢抜けたし!今日の浴衣の着こなしだって決めてるでしょうに!」


健太「俺にファッションはわかんねえよ」


美智「写真撮っていいですかって何度か止められたんだから」


健太「はいはい。すごいですね〜」


美智「ふふん」


健太「ドヤるな、ドヤるな」


美智「8年でだいぶ変わったんだからね」


健太「そりゃあ変わるだろうよ。中学生から社会人になったんだから。

にしても、ずっと会ってなくても普通に話せるもんなんだな」


美智「どうゆうこと?」


健太「もっと気まずくなるかと思った」


美智「気まずい、か。普通は気まずくなるか。

お互い初恋で初めての彼氏彼女だもんね。

気まずい別れ方もしたし(笑)」


健太「気まずい気まずい(笑)」


美智「中三の夏にさ、健太の家で、初めてのキスって時に私が「やっぱ無理!」って健太のこと突き飛ばして(笑)」


健太「あまりにもすごい勢いで突き飛ばすもんだから、ベッドの淵に頭ぶつけてタンコブできたわ。全治1週間。」


美智「話を盛らないでくださーい。」


健太「それで美智は部屋を飛び出して、置き去りにされた俺は放心状態よ。

『俺、何かしたかな…?』って考えて夜も寝れちゃって」


美智「ちゃんと寝てんじゃん」


健太「『何か嫌がることしたかな?口臭やばかったかな?』とか色々考えちゃって、夢にまで出てきたんだからな」


美智「そして、次の日私がカミングアウトしたと。」


健太「そうそう。」


美智「別に健太が私を変えたわけじゃないからね。心配しないで。」


健太「そりゃどうも。」


美智「でも、あの時、受け入れてくれてありがとうね。」


健太「まあ、うん。そういやあの時めっちゃ泣いてたな、美智」


美智「だって家族よりも先に健太に話したんだよ。すごい緊張して、何か言われるかと思ったし、言いふらされたり、注目のまとにされたりとか、色々考えてから、

ありのままの私を受け入れてくれて、安堵したんだよ」


健太「そっか。ま、俺には言いふらすほどの人脈がないですから」


美智「それもそうだ」


健太「おい。

でもさ、美智、俺と別れてからすぐに彼女できたじゃん。

名前なんだっけ、ほら、じょバレの、」


美智「永田ながたさん」


健太「そう、永田さん。

今思えば、俺と付き合ってる時から結構永田さんの話してたし、

まさか、美智、俺に二股かけてたのか?!」


美智「かけてないわよ!

その時はまだ同性が好きとかわかんなかったし」


健太「『永田さんかっこいい』とか『永田さん憧れ〜』とか言ってたじゃんか。

本当の初恋は永田さんだったんじゃないの?」


美智「ううん、それは違う。

本当に健太のことは好きだった時もあったし、私の初恋は健太だよ。」


健太「っ…」


美智「照れるな、気持ち悪い」


健太「うるせ!」


美智「健太は?今もヘテロ?」


健太「え、ああ。まあ。」


美智「なーんだ、残念。紹介したい友達いたんだけどな〜

健太って優良物件だし。」


健太「人を家みたいに言うな」


美智「優しくて、面白くて、ノリいいし。お兄ちゃんだから面倒見もいい。

勉強もスポーツもそれなりにできて。

身長も高め、で、、、中学以降はあまり伸びなかったみたいだけど、ドンマイ。」


健太「殴ってやろうか」


美智「と、言いつつ暴力大っ嫌いだし。

顔も悪くなくて、おまけに料理もできるときた。

普通に惚れるでしょ、こりゃ」


健太「…ま、まあな」


美智「中1の林間学校の時にさ、私1人だけはぐれちゃって、

遭難して、誰にも見つからず、ひとり寂しく死んじゃうのかなって思ってたら

健太が私のこと見つけてくれて、

あ、この人が運命の人なのかもって思ったんだよね〜」


健太「…」


美智「今だから言えるけど、割と健太に対して片想いごっことかしてた時期とかあったんだからね〜」


健太「ふ、ふーん、そう」


美智「消しゴムに名前書いてお守りにしたり」


健太「へえ〜」


美智「健太との相性チェックとかもしたな〜生年月日と血液型でわかるやつ」


健太「どうだったよ、相性は。」


美智「なんだっけ?結構高かったんだよね〜

だからめちゃくちゃ浮かれたわ。

ま、今となっては大ハズレですけどね」


健太「ハズレハズレ。相性がいいわけないだろ」


美智「ないない」


健太「ないわな〜」


(笑う)


美智「健太は?」


健太「え?」


美智「私のこと、運命の人って思ったことある?」


健太「別に、俺、そんなロマンチストじゃないし、運命とか信じてないし」


美智「バレバレの嘘つくなよ〜。少女漫画読んでたの知ってるんだからな〜」


健太「っ…まあ、あったんじゃないの?美智のこと普通に好きだったし」


美智「ふーん」


健太「なんだよ」


美智「別に。」


健太「今はどうなんだよ?」


美智「(バカなの?みたいな感じで)好きじゃないよ?」


健太「じゃなくて、恋人とかいるのかって聞いてんの」


美智「いない。」


健太「(なぜか少しだけホッとする)」


美智「というか、2週間前に別れた。」


健太「…へ、へえ…」


美智「だからって健太とは付き合わないからね。私、恋愛対象女性だし」


健太「わかってるわ、そんなん」


美智「健太は?」


健太「え?」


美智「恋人は?いるの?いないの?」


健太「…いない、けど」


美智「だと思った。だから紹介しようとね」


健太「余計なお世話だ!」


美智「そうですか」


健太「…なんだよ」


美智「なんでもなーい」


健太「ちっ。

   その元…カノ?はどういう人だったんだよ」


美智「すごくいい人だった」


健太「じゃあなんで別れたんだ?」


美智「いい人すぎたから」


健太「よくわかんねえな」


美智「…お腹すいた!ちょっと屋台めぐろう〜」


健太「…いいけど。…振られたの?」


美智「いいや、振った」


健太「なんで」


美智「だから、いい人すぎたから」


健太「それがなんで」


美智「…聞きたいなら話すけど、え、聞きたい?そんなに聞きたいの?」


健太「うるさいな」


美智「まあ聞きたいって言うなら仕方がないけどさ〜」


健太「別に無理に聞き出そうとは思ってねえよ。話してスッキリするならいくらでも聞くけど」


美智「…やっぱり優しい。

恭子さんもね、優しいんだ。あ、恭子さんっていうんだけどね、

すごくいい人で、本当によくしてくれたんだよ。

身長も高くて、スラッとしてて、シュッとした顔つきで、でも笑うと子供みたいで、

笑顔が最高に可愛い。

私がどんなつまらないことを言っても笑ってくれるし、ノリもいいから一緒にいて退屈になることはないんだけど、」


健太「…」


美智「楽しいけど、窮屈になってきちゃって」


健太「窮屈?」


美智「恭子さんの方が年上で、経済力も包容力もあるから、どうしても甘えちゃうの。

それが窮屈。」


健太「甘えられるなら、甘えればいいんじゃねえの」


美智「ダメなんだよ。自分が情けなくなっちゃうから、ダメダメに思えてきちゃうんだよね〜

恭子さんは何も悪くないのに、恭子さんに対して嫌な気持ちになっちゃうんだ」


健太「そういうもんか?」


美智「そういうもん。

もしさ、健太の彼女の方が稼いでて、生活力もあって、全部健太の世話してたら窮屈になるでしょう?」


健太「母ちゃんか!ってなるな」


美智「そんな感じ。自分の役割がわからなくなるっていうかさ、…めんどくさいよな〜私」


健太「生まれた時からめんどくさいよ、美智は」


美智「うるさいな〜

人間関係ってさ、何かしらその関係内での役割があると思うのよ」


健太「ほうほう」


美智「例えば健太と私だったら健太のアホさ加減を私で補ってる、みたいなね」


健太「逆だろ。」


美智「でも、ずっと、恭子さんとの関係での、私の役割が見当たらないの。

恭子さんは私に良くしてくれるばかりで、私はそのお返しができていない。

でもそれで恭子さんは困っていないし。

困らせることもできない私がいる価値はなんなんだろう、って

恭子さんにとって私はもう必要ないのかもしれない。って考えて、考えれば考えるほど辛くなってくるから、

自分から遠ざけた」


健太「…」


美智「しょうもないよね、本当」


健太「…」


美智「…はぁ〜」


健太「本当にお前の言う通りだな。美智、お前しょうもないことで悩んでんじゃねえよ」


美智「え?」


健太「アホかお前は。」


美智「こういう時は嘘でも『そんなことないよ〜』っていうところじゃないの?」


健太「相性最悪なんだから言うわけないだろ」


美智「アンチだわ〜」


健太「お前はアホだわ〜。本当に。馬鹿なんですか?」


美智「そんなに言わなくてもいいでしょう」


健太「美智のジミチはどこからきてるかわかるか?」


美智「地味でしょ?知ってるよ。」


健太「それだけじゃないよ。地道な美智でジミチでもあるんだよ」


美智「地道も地味じゃない。同じことでしょ?」


健太「そりゃあ、お前は天才じゃないし、超絶美人でもないし、

中の上でも中の下でもなく、それよりも微妙な中な中だ。」


美智「お褒めのお言葉ありがとう」


健太「でもな、地道な努力は誰にも負けない。そんなやつだ。」


美智「…」


健太「特別じゃないからこそ、努力を知ってる。時間をかけて、少しずつ目標にたどり着くことができる。

努力は報われるって言葉が一番似合うやつだよ。

それに、よく言うだろ?チリも積もれば山となるってな。

地道な努力をいつもモノにしてきてんだよ。いつだってそうだ。今回もそうに決まってる」


美智「健太…」


健太「もし、恭子さんの偉大さに萎縮してるなら、自分もその偉大さに見合う人になればいい」


美智「どうやって?」


健太「まずはスポーツからファッションに移れ。やりたいことがあるなら、まずはその夢を叶えろ」


美智「…」


健太「ああ、もう!!しゃんとせい!!」


美智「っ…!」


健太「すぐになれるわけないだろ!時間がかかるのは当たり前だ!

でもな、時間をかけていいんだよ。

時間をかける分、お前はその間いろいろなことを学んで、いろいろなことを経験して、

最終的には全部繋がっていくんだ。人生はそう出来てるんだって」


美智「健太に人生の何がわかるのさ」


健太「お前な〜今はひねくれてる場合じゃないだろ。」


美智「…」


健太「現状に不満か?だったら変えればいい。

道に迷ったら夢を追え。

目標さえあれば、人はいくらでも変えられるんだ。」


美智「…なんか…かっこいい」


健太「…おぉ。なんか自分でも言ってて、ちょっと自分に惚れちまったわ」


美智「…ありがとう。いいこと言えるんだね」


健太「少女漫画だけじゃなく、少年漫画とかスポーツ漫画だって数え切れないくらい読んできたからな」


美智「健太こそスポーツ雑誌の編集しなよ」


健太「俺は、文字はかけないから」


美智「(笑う)」


健太「(微笑む)」


美智「エメの編集部に行けたら、もうちょっと自信、持てるかな?」


健太「え、エメ?」


美智「うん」


健太「お前エメ目指してんの?!」


美智「知ってるの?」


健太「ま、まあな。プリメーラモールが特集されたからな〜」


美智「そうなんだ〜、あ、見たことあるかも」


健太「有名な雑誌なのか?」


美智「うん、ファッションやってたら誰でも知ってると思う」


健太「悪いな〜美智。お前よりも先に、エメに携わっちゃって」


美智「なんかムカつくー」


健太「俺のレストランが載れるなら、美智なんてすぐにエメの編集できるだろうよ」


美智「そう?」


健太「そんで、その有名雑誌エメの編集をしてるキャリアウーマンとして、恭子さんも惚れ直すんじゃね?」


美智「そうかな?」


健太「そうだとも」


美智「ふふ、ありがとう。元気でた。」


健太「いえいえ」


美智「やっぱり健太は優しい。ねえ健太?」


健太「ん?」


美智「なんで、中学の後、連絡途絶えちゃったの?

やっぱり、私のせい」


健太「(遮って)こ、高校デビューってやつ?してみたかったんだよね。

だからその前の過去は全部削除したって言うか」


美智「本当に?」


健太「そうそう。痛いやつだったよな〜高校デビューとか」


美智「痛い痛い(笑)」


健太「…で?美智はまだ恭子さんのこと、好きなんだろ?」


美智「…好き」


健太「だったら家帰ったらちゃんと連絡するんだぞ」


美智「え?」


健太「そして謝れ。自分勝手な理由で関係切ろうとしてごめんなさいって」


美智「別に、関係を切るとまでは言ってな-」


健太「そんで、うちの店に2人で来いよ。結構雰囲気おしゃれだし、カップルに人気なんだぜ」


美智「そうなんだ。うん。誘ってみる」


健太「おう」


美智「友人割引とかないの?」


健太「料理の量を少し盛ってやるよ」


美智「わーい!ありがとう」


健太「行くときに連絡だけしてくれたら、サービスできるからさ」


美智「うん!あ、待って、健太の連絡先何も知らないんだけど」


健太「あ、そうだった。I D 交換するか。」


美智「うん!あ、ダメじゃん。スマホ死んでるよ。

あ!じゃあさ、」


健太「?」


(間)


美智「ペン借りてきた。手出して。」


健太「?」


美智「携帯番号、ここに書くからさ。」


健太「おいおい、『好き』とか書くんじゃねえよ〜」


美智「ありえないから安心して〜」


健太「はぁ〜はいはい」


美智「よし。かけた。健太もほら」


健太「ん?」


美智「私の手に携帯番号書いてよ」


健太「ああ」


美智「『好き』とか書いても速攻断るからね〜」


健太「わかってるよ!」


美智「(笑)」


健太「はい。」


美智「ありがとう。ペン返してくるわ」


健太「おう」


(間)


美智「じゃ、家帰ったら連絡入れるよ」


健太「おう。そろそろ駅向かうか」


美智「うん。」



ーーー



健太「駅に向かっててもまだ結構花火見えるな」


美智「ね〜すごい上がってる」


健太「もうそろそろ最後の方なんじゃね?」


美智「夏ももう終わるね〜」


健太「そうだな」


(間)


美智「なんかごめんね、私ばっかり話してたかも」


健太「いいよ、俺聞き上手だから」


美智「昔っからね。

へへ、健太が初恋でよかった」


健太「なんだよそれ」


美智「なんでもない」


健太「俺も、美智が初恋でよかったよ」


美智「ありがとうね、親友。これからもよろしく。」


健太「おう。またな、親友。」


美智「レストラン、遊びに行くから!」


健太「おう!」


美智「ハチのことは任せて!」


健太「おう!」


美智「糖尿病には気をつけて!」


健太「おう、は?」


美智「ほら!かき氷のシロップ全部飲んでたじゃない」


健太「ああ、ていうかいつまで引き伸ばすんだよ。俺はもう行くぞ!」


美智「あ、健太!」


健太「いい加減に」


美智「(口パク)」


健太「…!!…おう!」



ーーー



健太「あ、もしもし田中?お前ら今どこよ?

了解。じゃあそっち向かうわ。


え?俺?さっきまで美智と一緒にいたわ。

な。ほんと懲りねえよな〜俺

8年越しの片想いだぜ(笑)


なんかいる?ついでに買っとくけど。

はいよ、じゃあ後でな。」


(手のひらをみて)


健太「『幸せになれよ』か…


やっぱまだ好きだって書けばよかったかな…」



【終】

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