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ゆめとうつつといつまでも  作者: きっしー。
1/1

その男は庶民だった。

夢をみた。

夢をみた。

夢をみた。

夢を、みた、だけ。

だからまた、眠ればイイんだ。

ほら、いつもの真っ白でふっかふかの布団に埋もれて、ちょっとふっかふか過ぎて、ちょっと腰と手足が沈みやすくて、ちょっと痛いくらい冷たい………、

うん。

知ってた。

人の入らない積もりに積もった雪の上やんね…。

スキー場のリフトの上から見たことある。

柱の周りとかこんな感じだよね、縦に入ったら姿見えなくなるアウトなやつでさ、そんな感じが広く広く広がった平原?雪原?って言うのかな。

もう酸ヶ湯温泉じゃない?

テレビでよく見る、雪壁の上って感じ。

そんな上に横たわってる。

むしろ下半身埋まってる。

凍傷確定の危機。

いやもう生命の危機だ。

何で?

誰もいないし、道でもなさそうだし、何で?

何とか抜けた左腕をかざすと、まさかの素手。

ちゃんと長袖で、焦げ茶色のコートっぽいの着てるけど、七分丈みたいにまくれてる。

袖口にミント色の細いラインが三本はちょっとオシャレかも、とかどーでも良くて。

コレ、俺の腕じゃない。

こんな白人種みたいな色白じゃないし、こんなにちゃんとした筋肉ついてないし、こんなに傷のない腕じゃないんだ。

背中も痛いのか冷たいのかわからない。

もがいたせいか、もう胸元まで埋まってる。

雪は降ってなくて、風もないけど、絵に描いたような分厚い曇天であんまり時間帯がわからない。

朝なのか昼なのか、ちゃんと景色が見えるから夜じゃないと思うけど、こんな状態じゃ、動物すらいねーよな。

足先はもう、感覚もないや。

よくわかんないうちに、死ぬのかな。

それはそれで別にイイけど。

こんなろくでもない人間のクズな人生、いつでもイイけど。

なんかまぶた重くなってきたかも。

遠くに、黄色い点が見えてる気がする。

近くなったら、レッツゴー来世かな?

来世ってあるのかわかんないけど、こんな人生だったら地獄の閻魔様に怒られて鬼にシバかれて、来世どころじゃないかな。

ま、いいや。

本当に、もういいや。








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