エピローグ
東児が捕獲された頃、海──
オーロラが未だ広がっている空を海の真ん中に漂っているウルフ。浮かんでいながら、無言でオーロラを見つめていた。
星夜に負けた悔しさなのか、はたまたオーロラが珍しいのか、それはウルフにしか分からないだろう。
そこに大型のボートがウルフにライトを照らして止まった。
「あらあら、ウルフともあろうお方がこんな所で海開きかしら?」
ボートから顔を出したのは、クマに薬物を投与した女だった。
嫌味ったらしい言葉を交えながら、ウルフに浮き輪を投げた。
「クラスAの貴方が子供相手に負けるなんて、アタシらの稼業が危ぶまれるわよ」
ウルフは何も語らず、何も耳に受け入れず、黙り込んだまま空を見上げ続けた。
「どうしちゃったの。そんなにオーロラが珍しい?」
「……まぁな」
「なら、次はオーロラが見れる場所に配属する?」
「頭冷やすのに丁度いいかもな」
冗談を交えながら、ウルフはボートに引き上げられた。
ウルフを引き上げると、女の後ろから現れた複数の傭兵に連れられ、手錠を掛けられた。
「相方は死亡、部隊は全滅、大勢の逮捕者。護衛対象の会社は近々捜査が入るみたい。これは大目玉ね」
「煮るなり焼くなりなんとでもしろ」
「まぁ、貴方は数少ない生き残りかつ、刻印って奴? との戦闘した貴重な存在だから、死刑は魔逃れわよ。その代わり、また戦わされるかもしれないけど」
その言葉にウルフはニヤリと笑みを浮かべて、傭兵の静止を振り切って女の顔面を睨みつけて言い放った。
「あぁ、その時はリベンジをしてやる。ガキどもに」
*
少し時間が戻り、東児逮捕前──
一人の少女が、制服姿でスマホで悪巧みNovaの配信を観ながら山の中の石段を登っていた。
それは男達に詰め寄られていた所を秋に助けてもらった女の子だった。
「あっ」
少女は足を止めた。
星夜の配信が途中でBanされて、配信が打ち切られたのだ。
「配信終わっちゃった……はぁ」
少女はその場に立ち尽くし、スマホをポケットに戻し、寂しげな顔で空を見上げた。
「私もあの女の人みたいにヒーローになりたいなぁ」
再び歩き出して階段を登っていく。
刻印戦記-悪巧みNova Fin
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