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刻印戦記-Crimsonuniverse  作者: ワサオ
1-②悪だくみNova-
63/77

【Part41】俺らの影響はこんなもんじゃない!

 

「はぁ、はぁ……閉じたのか」

「の、ようね」


 二人は立ち上がり、球体があった場所を見るがそこにはクマも刻印石のカケラすらもなかった。

 そして、あるモノが無いことにも気づいた。


「そういえばドローンは?」

「あっ!吸い込まれた!?スマホも!!」


 さっきのブラックホールに吸い込まれたんだろうが、あの時はドローンにまで気に掛けている場合ではなかった。


「もういいや。バックアップは取ってあるし」

「ふっ」


 秋は呆れた顔で失笑した。

 東児と蓮も吸い込みが収まった事で身体の力を抜いた。


「石は吸い込まれたの?」

「ブラックホールのようなモノに吸い込まれた……ようだ」


 東児は先程木が抜き取った刻印石を握っていたが、蓮には告げずに懐に隠した。


「東児、空を見て……」

「ん?」


 蓮の頼りない声で、東児は空を見上げた。

 空にカーテンのようにゆらゆらと揺れているオーロラが広がっていた。

 綺麗の一言。だが、その反面で何故この場所でオーロラが発生しているのかと、東児の頭に過った。

 その光景に東児ら合流しようとしていた星夜らも足を止めた。


「オーロラ?」

「日本でも見れたんだ、オーロラって。綺麗〜」

「こんなところで、オーロラが見れる訳ないだろ」


 二人はすぐに東児と合流して、東児に問う。


「東児!日本でオーロラ見れたっけ?」

「一応北海道なら……って、星夜。その手」


 東児の指摘に自分の手を見ると刻印を解いているはずなのに、刻印が無意識に発動していた。

 だが、星夜も東児や秋、蓮らを指して指摘した。


「お前らも刻印が発動しているぞ」

「は?」


 全員が手の甲を確認すると、やはり無意識に刻印が発動していた。

 引っ込めようと力を込めるも、刻印が解かれる事はない。


「あの石が起こしたとでも言うのか?」

「それが分かれば、苦労はしないっつうの。今は考えるのもめんどくさいよ」


 東児と星夜が話している間に、蓮はスマホで色々と情報を調べた。

 SNSにてオーロラと調べると、日本全域でオーロラが確認されており、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ、アジア全域、地球全体でこ昼夜問わず関係なく、オーロラが世界各地で確認されている。"世界の終わり"、"神の怒り"、"人工兵器?"など様々な憶測が飛び交っていた。

 蓮が東児に見せて、このオーロラの状況を推測する。


「世界各地で、このオーロラが?やっぱり石の影響か?」

「確認された時間帯は何処も、この戦闘が終わった辺りだ。可能性大だね」

「でも、このオーロラが何を意味するんだ?」

「嫌な事につながらないと良いけどね」


 東児と蓮が話し合う中、星夜は一人辺りを見渡した。

 石が置いてあった場所には大きなクレーターが出来ており、建築現場は鉄骨や鉄パイプがブラックホールに吸い込まれて、骨組みは崩壊していた。

 閑散とした一帯を見て、星夜は苦笑いしてその場に胡座を掻いた。


「建設工事も延期だなこりゃあ」

「そうだろうね」


 秋も力が抜けたようにその場に座り込んで、両手を広げて地面に横たわった。


「私も疲れた」

「オーロラ見ても今は感動も出来ねぇな」

「見れるのは生涯これだけかもしれないから、私は目に焼き付けるよ」


 星夜は戦い終えて、疲れているのもあるが、ここからどうするかを一人考えていた。

 全員で逮捕されれば、クリーンフォックスから狙われる心配はない。だが、捕まれば皆んなの将来に関わるし、もしかしたら政府にも刻印の事を調べる実験材料にされるかもしれない。

 それなら──

 星夜が起き上がると、蓮が建設現場の方へと険しい顔をしていた。


「……何か来るよ」

「どうした蓮?」


 蓮が見つめる方向に青と赤の点滅が複数見え、それは徐々にこちらへと接近している。

 更には空にも複数のヘリが飛んでいる。


「パトカーのサイレンだ。それにヘリもだ」

「動きが速いこって」


 蓮だけが感じているサイレンの音は次第に星夜達にも聞こえるほど近くにまで接近していた。


「来たか、俺らの捕まえに」

「まぁ、犯罪者だからな」


 星夜は決意を固めて三人の前に立ち、一人迫ってくるパトカーの方へと歩いていく。


「星夜!?」

「俺一人で行く。ケジメをつけるために」


 一人歩き出す星夜に秋は止めに入る。


「でも、皆んなで行くって!」

「俺が仕掛けた事だ。俺一人で罪を償った方がいい。もしもの時は逃げるさ。刻印があるから余裕さ。それにこの状況なら、クリーンフォックスも俺らを追うには時間がかかるから、簡単には追ってこないさ」

「だからって、一人で!」


 秋の言葉を聞き入れず、星夜は息を整えて三人の顔を見て告げる。


「最後の最後にわがままを聞いてくれ。みんなは逃げてくれよ。じゃあな」


 と星夜は背を向けて三人に別れを告げた、その時──

 星夜の身体に糸が巻きつき、手足全部が糸に絡まり、身動きが取れなくなった。

 もちろん東児だと、東児へと振り向くが、その瞬間に腹部を拳で突かれた。


「うっ……」

「すまん」


 体力がない星夜は言葉を返す事も出来ずに、その場で気絶した。


「星夜。お前一人に良い思いはさせたくないんだ」


 残った二人も驚きを隠せずにいたが、東児はぐるぐる巻きになった星夜を投げ渡した。


「蓮、秋。星夜を頼む!」


 二人は何とかキャッチしたが、この状況をまだ読み取れてなかった。


「え?何で?何する気!?」

「機械の刻印はクリーンフォックスを捕まえるには必要な刻印だ。それにさ、捕まるのは慣れてるんでね。脱出も得意だ。クリーンフォックスの事を一番知っているのも俺だし。任せとけって」


 東児は二人の返しの言葉も聞かずに警察が集結している場所へと走って行った。

 蓮はすぐに追おうと考えたが、秋が手を横に出して止めた。


「行こう蓮。東児の行為を無駄にしちゃダメだよ」

「だからって……くっ!」


 二人は渋々星夜を担いで、その場から退避した、

 その頃、到着した警察達は──


「爆発でも起きたんですか?」

「わ、分からん……」


 この状況に慌てふためく警察官達。草木は折れ曲がり、付近の建設現場は崩落。更には爆発音など、普通の事件とは思えないほどの光景が広がっていた。


「誰か来るぞ!」


 警察官達は一斉に一箇所を見つめて警戒した。

 ライトが照らされ、両手をあげてパトカーの前に現れた東児は一言叫んだ。


「俺がこの騒ぎの首謀者だ!!さっさと捕まえやがれ!抵抗はしない」


 警察らは東児を取り囲み、一人の警察が手を突き出して落ち着かせるように東児へと問いかける。


「君らが本当にこんな状態を作り出したのかい……?」

「はい、と言っても信じてもらえるか分からないけどね」

「なら、署まで来てもらう。重要参考人として」

「構わないよ。証拠も持ってるし」


 7月24日──東児は抵抗する事なく警察に捕まった。

 だけど、警察達もこの状況には理解はできなかった。少年がこんなに破壊を出来るわけがない。もはやミサイルや爆弾を使わないとできないであろう程の損壊。

 だが、それを証拠とするものも現場には見つからない。

 なら、この少年が言ってる事は本当なのかと、現場に来た多くの警察が思ったと言う。






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